最近よく聞く「グレーゾーン」って何!? みんな違ってみんないい、だってそれは「個性」だから
「私たちのCHALLENGE STORY」を担当しているライターの孫 理奈です。
今月は「わが子が発達障害?グレーゾーンを支えるのは愛しかない!」というテーマで何人かをご紹介しています。その中から、私が取材させていただいた「グレーゾーンの子供を持つ親の会・クローバー」代表の尾藤百合さんの撮影の裏話を書きたいと思います。
尾藤さんが代表を務めるクローバーは、兵庫県尼崎市の園和幼稚園と園和小学校と園田中学校の父兄により、12年前に結成されました。尾藤さんには発達障害のお子さんがいますが、早くから診断してもらっていたため同じ境遇の親と知り合い、相談できる環境だったそう。しかしグレーゾーンは、子供が成長する過程で親が徐々に「もしかして?」と気づくため、同じ悩みを共有できる親同士が知り合いになるのが難しいという問題があります。「『親同士が繋がり、子ども達の個性を知ってもらいたい』という声を聞き、校長と教頭に相談をしたのが会を立ち上げるきっかけでした」。
会ではグレーゾーンの事情を知ってもらうために、地域の方へ向けて「クローバーパネル展」を開催しています。今回、私が尾藤さんを見つけたのは、そこを訪れた方が書いたブログを発見したのがきっかけ。すぐに園和小学校の教頭先生に電話をして、尾藤さんに繋げていただきました! 毎月「私たちのCHALLENGE STORY」に出ていただける方を探しているのですが、私の場合は検索から始まります。幸いにもこちらの「グレーゾーンの子供を持つ親の会・クローバー」は、校長、教頭先生が異動になっても申し送りをしてくださるほど協力的なので、「それが本当にありがたい」と尾藤さんも言っていました。
グレーゾーンの場合、子育てのしづらさを感じていても、親がどこかで踏ん切りをつけて事実を認めなければならない場合があるので、この会の月1回の集まりは基本的に自由参加だそう。カミングアウトをしていないために一度も来ない方もいらっしゃるそうです。「でもこのクローバーは親たちにとっての駆け込み寺のような存在で、『SOSが出せる場所』であり、『繋がりや情報を共有できる場所』であってほしい」と尾藤さん。尾藤さんが発行している「クローバー通信」の発行は不定期ですが、現在では何と90号を超えました!「実はグレーゾーンな達人」ということで、モーツァルト、トム・クルーズ、マイケル・フェルプス、スティーヴン・スピルバーグなどを紹介している号もありました。「苦手なこと=できないことではないのです。方法を変えるという発想の転換は大切なことなんですね」という文章を読み、本当にその通りだと思いました。私の三男も障害があり、できないこともありましたが、少し手伝ってもらったり、それを便利にできる道具の力をちょっと借りたら、上手くできることもたくさんありました。早めに親が子どもの苦手なことに気づいてあげることは、子どもが生きやすくなるということだと私も思っています。
「グレーゾーンの子供を持つ親の会・クローバー」が作った「にじいろのなかまたち~みんなちがってみんないい~」という手作りの本が素敵だったんです。発達障害を7人の子ども達になぞらえ、その個性を漫画やイラストで説明してあり、子どもが読んだら、この子達の得意なこと、苦手なことがすんなり理解できる! それだけでなく「すごいね」と尊敬もできるし、苦手なことに自然と手を貸せるようになる、そんな絵本でした。ぜひ道徳の教材にして、全国の子ども達に読んでほしい! 理解をするにはまずは知ってもらうこと、親も孤立して悩むことがないように、この会のような地域に密着した会が全国に増えたらいいなと思いました。尾藤さんの元気いっぱいの笑顔が印象的だった取材が終わり、関西に行ったら必ず食べたくなる551蓬莱の豚まんを買って帰宅。今後も取材を通していろいろな方とお会いするのが楽しみです!
撮影/前川政明