フィリピンで活躍する同世代・西側愛弓さんのこれから
「すべての人に夢とファッションを」というスローガンのもと、フィリピンのスラム街の子どもたちにファッションで夢と希望を与えている西側愛弓さんは、偶然にもJJライター石津と学生時代からのお友達。大学在学中に始めたフィリピンでの活動を、卒業後も続けられた理由、そして今後の展望までじっくり語ってもらいました。
前回の記事はこちらをチェック→「同世代のNPO法人代表・西側愛弓がフィリピンで活動し始めたきっかけって?」
西側愛弓さんって?
1995年生まれ、神戸出身。神戸女学院大学在学中に、雑誌『Charmer』を刊行。その後、NPO法人『DEAR ME』を興す。最近ではマリエさんとコラボし、『coco lab』でTシャツなどを制作。そのクラウドファンディングで集まったお金は、フィリピンに学校を作る費用に充てられます。インスタアカウント:@ayupooonn
夢のために成長したくて就職・退職
石津(以下A):在学中からフィリピンで活動していたのに、大学卒業して一度就職したのはなぜ?
西側さん:自分には夢を叶える実現力が足りないと思っていたから。大学時代にも雑誌を作ったり、フィリピンでファッションショーをしてきたけど、将来はファッションで社会を良くしたいという大きな夢があって。この夢を叶えるために、まずは社会に出て修業したいと思って。
A:なぜサイバーエージェントなの?
西側さん:サイバーエージェントって、IT広告からAbemaTVみたいなメディアやゲームなど幅広く事業展開していて。枠にとらわれずに可能性を感じたら挑戦する企業や人の姿に憧れて、私もそういう人になりたいと思った。実際に働いてみても、素敵な会社だった。仕事は大変でもストイックにやり切る先輩、同期の姿からは学ばせてもらうことばかりだった。私は商品開発や営業をして、ビジネススキルも学べたのと、それ以上に社員の方やお客様たちとの出会いが一番の財産で今も感謝してるの。
A:ひとまわり成長して退職したあゆぽんだけど、フィリピンとのトラブルはある?
西側さん:それは山ほどある…特に今年2月に連携していた現地のモデル事務所にファッションショーを乗っ取られそうになったことかな。子供たちのファッションショーなのに、事務所のモデルのショーになりそうで。結果、ショー1週間前に連携が白紙になり、かつ訴えると脅されたり。本当に悪いことしてなかったから訴えらなかったけど!
A:わ〜、大変だったね。
西側さん:あのときは精神的にも結構きつかった。トラブルになった相手が信頼してた方だったか
ら余計に。人を信じられなくなりそうで、フィリピンにいることも、正直嫌になりそうだった。
A:それはつらかったね…。そんなトラブルも経て、今後の展望は?
西側さん:来年の9月にフィリピンでスクール開校予定していて!
A:えええ、来年の9月!? すごいペース。
夢を持っても努力できる環境がない
西側さん:ファッションを軸に現地で教育と雇用機会を作って、夢が誰もが平等に描いて叶えられる社会をつくりたいなって思う。 本当に社会って平等じゃないよね。それは世界中どこでもそうなんだけど。ファッションショーでランウェイを歩くと、子供たちみんながいろんな夢を描いて教えてくれるの。こういう夢をもったから英語の勉強一生懸命やってるんだよとか。でもスラムで育った子供たちって、やっぱり就職先が本当にない。女の子は性風俗の道に進むコも多くて、その仕事がダメということではなく、選択肢が少なすぎる。そういう現実を目の当たりにして、夢のために努力して、働ける環境をつくりたいって思ったの。
A:だから、教育が必要だと思ったんだね。
西側さん:教育と雇用。スクールもモデルコースと、トータルビューティーコースの2コース設けようと思っていて。ネイルとかマツエクの技術を学べるコースに。あとは日本でアパレルブランドと、将来フィリピンでネイルサロンやマツエクサロンを作って雇用に繋げたい。
A:ファッションショーで上を向いて歩くことで夢を持てた子供が、スクールに入って技術を学んで、就職できることまでやろうってことだよね。やることいっぱいあるね! お金も必要…。
西側さん:初期費用と運転資金半年分で500万必要。なので、今必死にクラウドファンディングと、協賛企業を探してるところ。でも私の夢は、ファッションで世界を変えることだから! 諦められない。
A:ガッツがすごい。
西側さん:もうね、実験のつもり。自分を使って、人生かけた実験。
A:そういえば、もっと個人的な夢のほうは?
西側さん:めちゃくちゃあるよ! 結婚して子供を3人以上産みたい! フィリピンにもいっしょに行って、子供同士仲良くさせたい!
A:それは何年後?
西側さん:…3年後かな?
A:そこは、来年とか半年後とかじゃないんだ(笑)。意外と奥手なあゆぽんの素が出たね。
西側さん:だってまず、出会わないと! 一緒に人生冒険できて、海のように心が広い人と来年出会う予定(笑)。
A:きっといるよ! お互いその夢も信じようよ!
私の大好きなフィリピンの妹たち
今もパタヤスに住んでいます。夢に向かって進む彼女たちから、たくさんのパワーをもらっています! これからも一緒に頑張ろうね。
撮影こぼれ話
「編集部からDMもらったとき、嬉しくて泣きました!」と言ってくれた西側さん。取材をしていて、私たちも胸が熱くなって涙をこらえるのに必死でした…。国や年齢が違っても、私たちはみんなSister。心から応援しています!
撮影/杉本大希 取材/石津愛子 編集/小林麻衣子
※この掲載の情報はJJ12月号を再構成したものです。