〈末次由紀先生ご本人メッセージあり〉40代ママが主役の漫画『MA・MA・Match』が「泣ける!」
一緒に学んだり挑戦することで、親子の濃密な時間を共有。そこから見えてくるものとは?そんな習い事をテーマにした、40代ママが主役の漫画『MA・MA・Match』が「泣ける!」と話題。苦しみも喜びも分かち合える習い事が、双方向の関係性へと親子の成長を後押ししてくれます。
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習い事を通じて親子が〝同志〟になる
漫画家・末次由紀先生
1992年「太陽のロマンス」でなかよし新人まんが賞佳作を受賞。映画化された「ちはやふる」では数々の賞を受賞し日本を代表する少女漫画家として活躍中。

◯『MA・MA・Match』作者からのメッセージ
『MA・MA・Match』は、子どもの習い事であるサッカーに、運動が苦手なママが挑戦するという、いわば〝無理めな挑戦〟から始まりました。 でも、その無理を引き受けて一緒に走ることで、子どもが「ママもやってくれるんだ」 と心から喜び、 新鮮な関係が生まれていきます。
小学生くらいの子どもの心の動きをつぶさにみていると、子ども達が求めているのは上意下達の一方的な関係ではなく、親が喜んだり、はしゃいだり、馬鹿馬鹿しいことにムキになったりすること。「自分の好きなことで一緒にはしゃいでくれる親」を求める瞬間があるのです。
特にそれが親も子どもも初めて経験するスポーツだと、 その場面だけは同志になって上も下もない関係が生まれます。親が子に教えるだけでなく、子が親を応援し、教えてくれる関係性――そこには、共通のフィールドで生まれる信頼と、 互いを一人の人間として尊重し合う感情がありました。
協力者になるって、家族の形を更新することだと思うんです。 この作品を描きながら、私自身 「わかり合う努力の先には、 想像以上のドキドキがある」 と何度も感じました。 読者の皆さまにも、そんな親子の可能性を感じていただけたら嬉しいです。
末次由紀
「上手くできなくても楽しんで良い」というロールモデルに親がなること

こども心理学部教授。公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士として教育と子育て支援に貢献しメディア等幅広い分野で講演多数。
親と子で習い事を始める時、親が経験者だと無意識に子どもの領域に踏み込み支配的になることがあります。思春期は自立心が芽生え、干渉されたくないけど応援はしてほしい。そんな微妙な心の動きがあるので、親も未経験の習い事であれば一緒に壁を乗り越えたり努力する経験が、親子の絆を深めてくれるでしょう。
思春期は「できない自分を受け入れる」が大きな課題。学校や塾、習い事など成果で評価されがちな中、できなくても夢中で楽しむ大人の姿が希望になる。小さな発表会で緊張したり失敗を恐れる素の姿でもいい。好きで挑戦を続ける背中を見せることが、子どもの励みになり、親も子どもの気持ちをより深く理解できるでしょう。もし子どもの成果に自分の感情が乱れるなら、距離感を保って。
親と子は一方的でなく、自由に行き来できる柔軟な関係が理想。親が上から指導するだけでなく、子どもから教わる、という子が上の関係、親が子の意見を聞きながらサポートする斜めの関係、対等に意見交換する横の関係。柔軟に立場を変える視点も必要です。
親世代には「辞めたら負け」「成果が全て」という価値観を見直し、多様な生き方を示してほしい。それが親自身のセカンドライフを彩る力にもなります。
撮影/坂根綾子 取材/小仲志帆 企画発案者/読者・吉浦 薫さん ※情報は2025年10月号掲載時のものです。
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