日本では半数以上の夫婦が陥っているといわれるセックスレス。一般社団法人で働く麻也子さん（仮名・48歳）も、事実婚状態のパートナーと性交渉はないそうです。45歳くらいまでは不満を感じていたものの、気づけば「パートナーのことは好きだけどレスはもうどうでもよくなっていた」自分に驚いたといいます。そんな麻也子さんは、同窓会で思わず「レスでも“普通”なのは何歳から？」と女友達に尋ねてしまったのだとか。

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■シングルマザーから事実婚へ

麻也子さんは40歳のときに10歳年上の夫と死別した経験を持つシングルマザー。現在のパートナーである映像制作会社勤務の大さん（仮名・48歳）はバツイチで、高校時代の元彼です。ふたりはそれぞれのマンションを行き来しながら生活しています。
「彼は20代で結婚と離婚を経験しています。離婚理由は性格の不一致。飲まない彼と酒好きの元妻はケンカが絶えず、結局彼女が出ていったそうです。彼には子供はいませんが、私には大学2年生の娘がいます。今は娘が家を離れたので、久しぶりにひとり暮らしをしているところです」。
麻也子さんの亡くなった夫は病院嫌いで、病気が見つかった時にはすでに手遅れ。緩和ケアに入ってからあっという間に亡くなってしまったといいます。
「悲しみや不安で茫然自失になった私を支えてくれたのは両親、そして女子校時代の友人や地元の仲間たちでした。今のパートナーとも、女友達から『そういえば彼も今は独身だし引っ越しの手伝いに呼んでみる？』と声をかけてもらったことがきっかけで再会したんです」。

■7年続く事実婚関係

41歳で始まった交際は、今年で7年目。
「周囲には“別居している事実婚パートナー”と説明しています。娘も成人して『ママも大変だったし好きにしていいよ』と言ってくれています。とはいえ、私と彼にとってはこのままで何の不都合もないんです」。
麻也子さんの両親はともに耳が遠く、現在はデイケアに通所中。大さんの両親は健在で元気に暮らしています。
「この年齢になって親に改めて『結婚したい』なんて言うのも気恥ずかしいし、持ち家や親の介護、財産のことを考えると再婚はむしろ面倒。以前、彼に『再婚って考える？』と聞かれましたが、私は『事実婚でいいと思う』と答えました」。

■交際4年目からの変化

「高校時代に付き合った期間は半年間で、私だけ浪人して自然消滅。当時はプラトニックでした。再会後は友達のようなノリで付き合っていましたね。最初は性交渉もあり、『ようやく初恋が実ったね』なんて笑い合っていました」
ところが、交際4年目頃からそれぞれの布団で眠るようになったそう。
「レスになって最初の1年は“セックスレスカップル”という言葉がネガティブに頭をよぎり、焦りもありました。でもそのまま何も対処せずに過ごしていたら、45歳を迎える頃には気にならなくなったんです」。
もともと彼の家に泊まるのは娘が不在の日だけで月に数回。
「娘が一人暮らしをしてからは週の半分は一緒に過ごすようになったせいか、性交渉がなくても絆や安心感が深まりました。今は、高校生の頃みたいに漫画を読んだり自転車に乗ったりしているだけで楽しく、大人の男女として退化している感すらあります」。

■同級生も“恋バナ”をしなくなった

そんな折、中高時代の友人たちも、急に恋愛関連の噂話をしなくなったことに気がつきます。
「思い切って同級生の女性だけの飲み会でレスかどうかを聞いてみたら結果は半々でした。『うちはお中元お歳暮くらいの頻度』『ある。習慣みたいなもの』『彼氏とラブラブ。不倫だけど』という声もあれば、『15年ない』『老夫婦みたい』『あるわけない。子供が成人したら離婚する』なんて話も」。
さらに「レスでも普通なのって何歳から？」と聞くと、「めっちゃ人による」「20代からレスの人もいるし会社の先輩はアメリカ人のご主人と60代でも人前でチュッチュしてる」などはっきりとした答えは出なかったそう。そこで気になったのは、「離婚する」と宣言している、かつて最も恋多きタイプだった同級生の変化。
「彼女はずいぶん長く仮面夫婦で、とはいえ恋人は途切れない人。マッチングアプリやママ活にハマっていたほどの恋愛体質です。でも今は推しのミュージシャン一筋で、海外遠征までして追いかけているそう。『彼氏は作らないの？』と聞いたら『もうそういうのはいい』と吐き捨てるように言っていました」。

■ 48歳、“恋愛の熱”が落ち着く頃？

「人それぞれだけど、ホルモンの変化とともに恋愛熱が少しずつ冷めていく時期なのかもしれない」。
そう感じた麻也子さんは、これからもパートナーと「恋人以上、家族未満」といった距離感で、自然体の付き合いを続けていくつもりだそうです。

※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。
取材・文／星子　編集／根橋明日美　イメージ写真／PIXTA

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