窪田正孝さん(37)「20代の頃なら味わえなかった、作品の意義」【映画『宝島』インタビュー】
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製作費25億円をかけ、アメリカ統治下時代の沖縄のリアルを鮮明に描いた映画『宝島』。本作で描かれるのは、米軍基地から奪った物資を住民たちに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たち。本作の主人公・グスク(妻夫木聡)の幼なじみであり、彼らのリーダー格であるオン(永山瑛太)の弟・レイを演じた窪田正孝さんは、「この作品に携わることができて幸せ」だと言います。そこには、現代を生きる私たちに伝えたい大切なメッセージが込められていました。
Profile
1988年8月6日生まれ、神奈川県出身。デビュー以降、さまざまなドラマや映画に出演。近年の主な出演作に、連続テレビ小説『エール』、『宙わたる教室』、映画『ある男』、『愛にイナズマ』、『悪い夏』など。主演舞台『チ。 −地球の運動について−』が10月8日より開幕。
『宝島』に携わることができて幸せだし、役者をやってきてよかったです

——映画『宝島』のプロジェクトが始動したのは2018年。新型コロナウイルス禍の影響により、二度の撮影延期を経て、2024年にようやくクランクインされたそうですね。
そうなんです。お話をいただいたのは、ずいぶん前なのですが、なかなかスタートすることができなくて。2度ほど、白紙の状態になってしまっていたんです。「面白そうな作品だったのにな…」なんて残念に思っていたら、そこからしばらくして「『宝島』の制作が本格的に始動する」という連絡を受けて。“この作品に挑戦する”ということ自体が、俳優としてすごく大きなものになるなという予感をしていたので、「ぜひ」とお返事をしました。
——それほど窪田さんの心を動かした、この作品に感じた魅力とは?
いちばん興味が湧いたのはキャスト陣と大友(啓史)監督という顔ぶれでした。僕の中では、“どんな作品か”よりも“誰とやるか”の重要度のほうがものすごく高いから。もちろん、この作品に込められたメッセージ性にも強く引かれるものがありました。
——舞台は、アメリカに統治された沖縄です。混沌とした時代背景と、そこで生きる“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちのリアルな想いに胸が打たれました。
戦争という大きなテーマを扱っているし、1952年と聞くと過去の物語だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、「自分たちの宝島を取り戻そう」という当時の沖縄の方々が抱いていた想いは、今の日本国民全体に向けて言えることだと思っています。
日本という島国は、いい土があり、水に恵まれて、いい塩が取れる。そんな資源に恵まれた日本は、“宝島”そのものですから。でも、最近は「どんどん日本が日本ではなくなってきている」と寂しく思う瞬間もあって…。
——戦後80年となる今年だからこそ、この作品を上映する意味があるかもしれません。
僕は、映画というエンターテインメントを通して、伝えられることってすごくあると思っていて。映画は、僕たちが大っぴらに言葉にしたくてもできないような繊細な出来事にも触れられることができる。“今、この時代に『宝島』を上映する”という意味を、作品を通して感じてもらえたらうれしいです。この作品に携わることができて幸せだし、役者をやってきてよかったなと思っています。
——37歳の窪田さんだからこそ、この作品のメッセージ性をより深く落とし込むことができたのでは?
確かに、それはあると思います。20代のころにこの作品をやっていたら、「大規模な作品に出られた!」というくらいにしか捉えていなかった気がする。今の僕がこの作品に挑戦できたからこそ、こうして伝えたいメッセージがあふれてくるのかもしれません。この映画が世界にも届いてほしいし、その結果として世界平和が生まれたら役者冥利に尽きます。
妻夫木さんの周りには、常に人があふれています
——突然オンが姿を消したあと、幼なじみのグスク(妻夫木聡)は刑事、ヤマコ(広瀬すず)は教師の道を歩みます。一方、レイはヤクザとなり、2人とは異なる世界を選びますね。
レイは単独行動が多いので、途中から妻夫木さんたちとも離れていて。脚本で知ってはいるものの、芝居を見ることはできなかったので、どんな空気感なんだろうと思っていたんです(笑)。だから、試写を観て初めて、ようやく『宝島』の全体像を把握できたという気持ち。自分が携わった映画なのに、新しい作品を観に来たような感覚になって…。なんだかすごく不思議でした。
——窪田さんの目に、妻夫木さんの演じるグスクはどう映りましたか?
妻夫木さんはグスクと同じように、常に周りに人があふれている方なんです。友人もたくさんいらっしゃるし、みんなの真ん中にどんと立っている姿が似合う。沖縄に特別な想いを持たれていたことはもちろん大きな理由の1つだと思いますが、そのほかにも妻夫木さんがグスク役にキャスティングされたことの意味みたいなものを感じました。それくらいシンクロするところが多かったですね。
沖縄ロケにはヨガマットが必須!

——ヤクザとなり、兄の面影を追い続けるレイ。すごく難しい役どころだと思いますが、演じる時に大切にしていたポイントは?
インターネットが発達している今の時代とは違って、1952年の人々は自分の足で情報を集めなければいけません。自分たちがどんなに苦しい思いをしているかを訴える術もなかったし、レイにとってそれは “暴力を振るう”という選択肢しかなかった。そうした彼の本質みたいなものは、自分がいちばん理解しなきゃいけないと思っていました。そうした意味でも、楽しみながら演じていたというよりは、“挑戦”の意味合いが強かったかもしれないです。
——沖縄で41日間のロケ撮影が行われたとか。どのようにリフレッシュしていましたか?
沖縄へヨガマットを持っていて、ヨガをしたりしながら汗をかくようにしていました。期間限定でしたが、沖縄でボクシングジムにも入会して。とにかく運動していましたね(笑)。
あとは、自分の時間を大切に過ごすようにしていました。撮影チームとはオンもオフもずっと一緒にいたので、1人で役と向き合ったり、逆に役と離れる時間を作るように意識していて。そこで切り替えられたからこそ、集中して作品に挑めたような気がしています。
information
映画『宝島』
1952年という戦後の沖縄を舞台に、“沖縄がアメリカだった時代”を正面から描いた、真藤順丈による同名小説を大友啓史監督により実写化。幼なじみのグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)は、突然消息を絶ったリーダー・オン(永山瑛太)の影を追いながら、それぞれの道を歩み始めるが…。●出演:妻夫木聡 広瀬すず 窪田正孝 永山瑛太 9月19日(金)全国公開 東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給
トップス¥66,000インナー¥24,200パンツ¥69,300(すべてセブンバイセブン/セブンバイセブン)
SHOP LIST
セブンバイセブン/セブンバイセブン 03-5785-6447
撮影/木村敦(Ajoite) ヘアメーク/菅谷征起 (GÁRA) スタイリング/菊池陽之介 取材/小林揚 編集/越知恭子