阿部サダヲさん(55)×松たか子さん(48)が振り返るアラサー時代「あの頃は目標を決めてたけれど…」【ドラマ『しあわせな結婚』で共演】
The post 阿部サダヲさん(55)×松たか子さん(48)が振り返るアラサー時代「あの頃は目標を決めてたけれど…」【ドラマ『しあわせな結婚』で共演】 appeared first on CLASSY.[クラッシィ].

2025年夏ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)で主演を務める阿部サダヲさんと松たか子さん。映画や舞台などでは何度も顔を合わせてきたお二人が、連続ドラマでは初共演、“結婚から始まる物語”という新たな関係性で再びタッグを組みました。10年ぶりの夫婦役で臨んだ現場での感慨や、互いの芝居へのリスペクト、そしてご自身の体験談を交えつつ、CLASSY.読者世代へのアドバイスも伺いました。笑いあり共感ありのスペシャル対談を前後編でお届けします。
結婚から始まる新たな関係性にワクワクしています
――10年ぶりの夫婦役ということで、今回の再共演にはどんな感慨がありましたか?
阿部:よく「10年ぶりの夫婦役ですね」と言われるんですけど、あまりそういう意識はなかったんですよね。松さんとは、その間も舞台を観に行ったり、ちょこちょこ顔を合わせていたから、「久しぶりです!」っていう感覚があんまりなくて。でも、やっぱり共演できるのは嬉しいし、楽しいです。
松:私も、阿部さんとご一緒できると知ったときはとても嬉しかったです。しかも、今回は連ドラということもあって本当に楽しみで。結婚から始まる関係性というのも初めてだったし、新鮮だなあと思いました。
阿部:夫婦という近しい関係だから、これまでより深く関われるのも楽しみでしたね。舞台とはまた違う感じで面白くなるかなって。あと、今回の脚本が大石静さんなんですよ。僕もそんなにご一緒したことがあるわけじゃないんですけど、松さんは初めてだって聞いて、「ネルラっていうキャラクターをどう演じるのかな?」ってすごく楽しみにしてました。
松:そうですね。何度かご一緒してきた中でもまた新しいチャレンジになりそうだなって、ワクワクしました。
――松さんにとっては大石静さんの脚本は初めてとのことですが、実際やってみていかがでしたか?
松:面白いです。ただ、その面白さがすぐにスッとわかるというよりは、「あれ? なんか面白いぞ……」とじわじわくる大人の脚本というか(笑)。登場人物のひとりひとりに大石さんがチラチラ見えるんですよね。幸太郎さんにも、ネルラやその家族にも、それぞれに脚本家の視点が透けて見えるというか。大石さんのいろんなお顔を見せてもらっているような登場人物たちだなあと思って。そういう意味でも、とても味わい深い作品です。
松さんの“台本にない仕草”に感動!

――お互いの芝居で「ここはすごいな」と思ったところはありますか?
阿部:ネルラが「うち行きませんか?」って言ったあとに、「口が勝手に……」って口を押さえるシーンがあるんですよ。その松さんの一連の動作を見て、「あ、このドラマは大丈夫だな」って確信しました。台本に「口を押さえる」って書いてなかったんですよ。でも、それが自然に出てくるところがすごい。もう現場の男性スタッフみんな、空想の中でネルラの家に行っちゃいました(笑)。
松:家に行ったんですか!?(笑)
阿部:行った、行った、空想で。あの仕草は本当、見事でした。
松:私は今回、阿部さんが演じる幸太郎さんが「かっこいい!」っていうのが大前提の物語なので、その魅力を際立たせられたらと思っていました。女性陣が割と強めだけど、ただ、変わった女性を好きになる男の話じゃない。視聴者の方に「なんかわかんないけど、かっこいい」と思ってもらえるようにすることが大事なんだろうなと。そのために自分がどういたらいいか、常に意識しています。
――初共演から10年以上経っていますが、お互いに「変わったな」と感じる部分はありますか?
阿部:ないです。むしろ、変わらないのがすごい。いろんな役を演じてるから多少の変化はあるはずなんだけど、「私はこういう芝居のスタンスです」じゃないところがすごくいいなあと思う。空気感も全然変わってないですよね。
松:そうですね。ご一緒した作品を振り返っても、どれも面白かったなって思えるし、自分にとっても大事な作品だったなあとちゃんと記憶に残っている。そして、わりとユニークでチャレンジングな作品でご一緒できているというのが自慢です。共演の回数だけが増えるんじゃなくて、意味のあるものとして思い出せる作品ばかりです。
アラサー前後は、目標を紙に書いて貼っていました

――CLASSY.の読者は30歳前後の女性が多いのですが、お二人が30歳前後のころを振り返って、「あの時やっておいてよかった」と思うことはありますか?
阿部:僕は28で結婚して、30で子どもが生まれたんですよ。そのころ、「今年中に車を買う」とか、紙に書いて部屋に貼ってたんです。それを目標にして実際に達成してた。いつから書かなくなったんだろうなぁ……。
松:かなったからじゃないですか?
阿部:そうなのかなぁ。
松:私は……どうしてたかな? 「1年に1本は舞台やりたいな」って思ってた時期はあったかもしれないけど、今はそういうのないなあ。あとで振り返ると、「あれってそんなに必要だったかな?」って思うこともあるんですよね。たぶん、頑張ってたんでしょうね、当時は(笑)。
――目標を持って頑張ったからこそ、達成できたという部分もあったのでは?
阿部:そうだと思います。あのとき決めていたからこそ、動けた部分もある。
松:そうですね。
阿部:(CLASSY.8月号の表紙を見ながら)テーマが「悩むから一番楽しい」って書いてありますね。
松:あ、本当だ(笑)。
阿部:悩む時代ってことですもんね。もう僕たち、悩みなくなっちゃってるから(笑)。
松:30歳の頃、私、こんな感じになれなかったですよ。(頭の上から耳に手を回しながら)表紙のポーズみたいに、ここに手回せなかったと思う(笑)。
阿部:僕、最初にここに手を回してるの見たのは、宮沢りえさん。
松:私はできなかったなぁ。
阿部:できないよねぇ。
ファッション雑誌も読みます。化粧品特集が大好き!
――撮影で一緒にいる時間も長いと思いますが、改めていかがですか?
松:楽しいです。
阿部:でも、今回の現場で初めてかもしれない。松さんと芝居してて、カットがかかった後、「これで良かったのかな?」って悩みながらやってましたよね。
松:そう。「大丈夫? どうしよう」って毎回言ってる(笑)。阿部さんと二人のシーンや、長尺で何かを明かすようなシーンは緊張もするんですけど、でもそういう撮影を乗り越えた後に、「ああ、阿部さんでよかったなあ」と思うことが本当に何回もありました。
阿部:僕も思いましたよ。ちなみに、こういう雑誌って読まれるんですか?
松:読みますよ。化粧品特集とか大好きです(笑)。でも30歳って若いですね。私、30のころ、こんな格好できなかったですもん。
――阿部さんの30歳のころはどんな作品に出られていましたか?
阿部:ちょうど『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)のころですね。宮藤官九郎さん脚本の『木更津キャッツアイ』(2002年)は32〜33歳のとき。海ほたるを渡って千葉に通ってました。当時、海ほたるパーキングエリアの料金が高かったでしょう。毎回、通るのが嫌でしたね(笑)。
――最後に、お互いのどこが好きか、改めてお聞かせください。
松:どこが好きかですか?
阿部:まず、顔ですよね。
松:え〜ッ、やだ!(笑)
阿部:あと声、それに、意外と「自信がない」みたいなことを言うところとか、もう全部です!
松:私は、「この人は俳優さんだな」って思えるところ、ですかね(笑)。
阿部:(むせる)
松:ごめんなさい、大丈夫ですか? 上手く言えないんですけど、阿部さん自身はとても穏やかで、静かで、平和を望む感じがして。芝居中は、阿部さんがセリフを言うと、音楽が流れて、リズムが生まれるような感じがするんです。それは止まっていても、動いていても漂っている空気感で、そういう雰囲気を持っている俳優さんってとても面白いと思います。それと、悪い目をしているところ。なんか、悪い顔をしていらっしゃいますよね。それがもうたまらないです(笑)。
阿部:その言葉、すごく嬉しいです!
Profile
阿部サダヲ
1970年4月23日生まれ。千葉県出身。1992年より大人計画に参加。2008年、映画『舞妓Haaaan!!!』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。2019年、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』では主人公・田畑政治を演じた。昨年は、主演ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)が大ヒット。グループ魂ワンマンライブ「羽田で単発のバイト」が2025年9月10日(水)Zepp Hanedaで開催。
松たか子
1977年6月10日生まれ、東京都出身。A型。歌舞伎俳優の9代目・松本幸四郎の子として生まれ、10代で舞台デビュー。2009年の映画『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。近年の主な作品は、主演ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年)、映画『夏の砂の上』(2025年)など。
information
木曜ドラマ『しあわせな結婚』
テレビ朝日系・毎週木曜21時より放送中。弁護士・原田孝太郎(阿部サダヲ)は、電撃結婚した妻・ネルラ(松たか子)と新婚生活をスタートさせる。しかし、突然現れた刑事・黒川竜司(杉野遥亮)から15年前にネルラの元婚約者が死亡した事件の再捜査が始まること、そしてネルラが疑われていることを告げられ…。
(松さん)ブラウス¥26,400パンツ¥29,700 (ともにLE PHIL/LE PHIL NEWoMan 新宿店)
撮影/You Ishii 衣裳(阿部さん)/丸山佳奈 スタイリング(松さん)/杉本学子 ヘアメーク/窪田健吾 取材/服部広子 編集/越知恭子