SNSで話題の漢方薬「防風通聖散」は【やせ薬ってホント?】漢方のプロの見解は
ダイエット方法のひとつとして「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」が気になっているという人は少なくないのでは? 「お腹の脂肪を減らす」というキャッチコピーに惹かれるけれど、飲むだけで簡単に痩せられるのか、食欲が抑えられない場合でも効果があるのかなど気になることが多いはず。防風通聖散を飲んで痩せるメカニズムや痩せるまでの期間、効果を引き出す食生活などを解説します。
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1.「防風通聖散」によるダイエットが期待できる人、できない人って?
防風通聖散を飲んで痩せるのは、体質改善によって痩せやすくリバウンドしにくい体を目指せるためです。
防風通聖散は、「脂肪の吸収を抑える」「便秘を改善し、脂肪を便と一緒に排出する」「体を温めて溜め込んだ脂肪を分解・燃焼し、脂質の代謝を良くする」などの働きでダイエットしている人をサポートします。
「運動や食事制限などを頑張っているのに年齢による代謝の低下や便秘やむくみが原因でなかなか痩せない」という人に対しては、防風通聖散は脂肪を減らす効果が期待できます。
「まったく運動をしていない」「いつも食べ過ぎてカロリーオーバーしている」という人は、防風通聖散を飲んで痩せるのは難しいでしょう。
2.「防風通聖散」を飲んでどのくらいで効果がある?
一般的に、脂肪の減少がみられるのは、防風通聖散を飲み始めてから2〜4週間程度。2〜3か月ほど継続すると、変化が実感できるといわれています。人によっては、飲み始めて数日で便通が良くなったりむくみにくくなったりすることで体重が減る可能性もあります。
ただし、防風通聖散のような漢方薬を服用する際には、自分の体質に合っているか見極めることが必要です。自分に合わない漢方薬を服用しても効果を実感しにくく、場合によっては副作用が出ることもあります。防風通聖散を飲み始める前には、漢方薬に精通した医師や薬剤師に相談しましょう。
3.「防風通聖散」の効果を引き出す食事のポイント
防風通聖散の効果を引き出し、ダイエットを成功させるための食事のポイントを5つご紹介します。
①冷たい食べ物や飲み物を控える
冷たい食べ物や飲み物は、体を冷やして代謝を低下させます。
防風通聖散の代謝アップ効果を引き出すには、冷たいものはできる限り避け、温かいものを摂って体を温めましょう。例えば、野菜はサラダではなく温野菜やスープで食べる、水分補給は冷水ではなく白湯や常温の水にするなどが効果的です。
②脂質と糖質の摂取量を減らす
脂質と糖質は、エネルギーとして消費されなかった分は脂肪として蓄えられます。脂肪を効率良く減らすために、脂質と糖質の摂取量を減らしましょう。
脂質を減らすには「1日1食は魚料理にする」「揚げ物を避ける」「煮る・蒸す・網焼きのような油を落とす調理法を選ぶ」「脂肪の少ない食材(鶏むね肉、鶏ささみ、無脂肪乳)を使う」などの方法があります。
糖質を減らすには、炭水化物の量を減らしましょう。1食の中で、ご飯は小盛り、麺類は半玉、食パンは8枚切りを1枚程度にするのがおすすめです。毎食の炭水化物を減らすのが難しい人は、夕食のみ抜くといいでしょう。夕食を全て抜くと最低限必要なエネルギーまで不足してしまう可能性があるため、炭水化物のみ抜くのがポイントです。
また、ダイエット効果をアップさせるには、就寝の4時間前には夕食を終わらせましょう。
③たんぱく質の摂取量を増やす
脂肪を効率良く燃やすには、エネルギーが必要です。糖質や脂質を減らして不足した分のエネルギーは、たんぱく質で補いましょう。
また、たんぱく質が不足すると、筋肉が減りやすくなり代謝が落ちる原因にもなります。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18〜64歳のたんぱく質の1日の推奨摂取量は女性が50g、男性が65gとされています。
たんぱく質50gの食材別のおおよその目安は、鶏むね肉240g、さば200g、たまご8個、納豆6パックほどです。
メインの食材のみで十分に摂ることが難しい場合、料理にたんぱく質が豊富な食材を足しましょう。ツナやささみのパック・缶詰、しらす干し、おからパウダーなどは、料理にプラスしやすい食材です。
④摂取カロリーが消費カロリーを上回らないようにする
防風通聖散を飲むと代謝が上がるため、通常よりも消費カロリーが増えやすくなります。しかし、防風通聖散でアップした消費カロリーよりも摂取カロリーが多ければまた脂肪が増えてしまいます。防風通聖散を飲んで痩せるには、摂取カロリーが消費カロリーを上回らないようにしましょう。
ただし、摂取カロリーを極端に制限すると、生命維持に必要なエネルギー(基礎代謝量)が不足してしまい、健康を損う可能性があります。
基礎代謝量の計算式は、女性の場合は「9.247 x 体重(kg)+3.098×身長(cm)-4.330×年齢(歳)+447.593=基礎代謝量」、男性の場合は「13.397 x 体重(kg)+4.799×身長(cm)-5.677×年齢(歳)+88.362=基礎代謝量」です。基礎代謝量分のエネルギーはしっかり摂り、摂取カロリーが消費カロリーを上回っている分を減らしましょう。
⑤食べる順番に気を付ける
食べる順番に気を付けて血糖値の急上昇を防ぐと、脂肪を溜め込むのを防ぐ効果が期待できます。
血糖値が急上昇する原因は、炭水化物に含まれる糖質がすばやく消化・吸収されることにあります。血糖値の急上昇を防ぐには、最初に食物繊維が豊富な野菜(スープ、サラダ、おひたし)、次に肉や魚などのたんぱく質(メイン料理)、最後に米やパンなどの炭水化物の順番で食べましょう。
この順番で食べると、食物繊維が糖質などのほかの栄養素の吸収をゆるやかにし、血糖値が急激に上がりにくくなります。
また、炭水化物の前にたんぱく質を摂ると、胃から小腸への食べ物の動きがゆっくりになり、血糖値の急上昇を抑えられるとの報告もあります。
食事の仕方に気を付けて防風通聖散の効果を引き出し、ダイエットを成功させましょう。
医薬品登録販売者。ドラッグストアでの医薬品・化粧品販売を経て、市販薬の使い分け方を広めるべく執筆・情報発信を行う。美容薬学・アロマテラピーの資格を保持し、インナーケアや女性の不調ケアにも精通している。表面的な悩みの奥にある潜在的な悩みをくみとり、対症療法ではなく根本改善を目的としたアドバイスを得意とする。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。
編集/根橋明日美 写真/PIXTAほか
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