〝浴衣の着崩れ〟を自分で簡単に直せる3ステップとは? 大人女性が知っておきたい、外出中の予防法も

花火や夏祭りなど、日本ならではのイベントが本格的に戻ってきた今年の夏。数年ぶりに、今年こそはご無沙汰していた浴衣で暑い夏を楽しみたい!という方も多いはず。でも、「せっかく綺麗に着付けをしたのに、出先で着崩れてしまって困った…」という経験もあるのでは? 40代の大人の女性こそ、”だらしなく見えない、凛とした佇まい”で品よく浴衣を着こなしたいもの。そこで、”きものスタイリスト”の秋月洋子さんに、着崩れを防止する方法や、着崩れた時に外出中でも自分でできる対処法について伺いました。

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読者さんに聞きました…「私が浴衣を着たとき、こんな失敗しちゃいました(涙)」

髙見澤れいかさん

「花火大会に間に合わない!」と焦って小走りしたら、見事に着崩れ…後で直すのが大変でした。車や電車に乗る時に普段通りドスンと座ったら、裾が下がって着崩れてしまったことも。

甲斐彩香さん

地べたに座って鑑賞することの多い花火大会では、座り姿勢の時に浴衣がどうしても引っ張られてしまう…立ち上がった瞬間に腰回りが膨らんで着崩れています(涙)。

香道実華さん

人混みに揉まれながら歩いている時にうっかり裾を踏んでしまい、一気に着崩れた経験が…あとは、お手洗いに行く度に緩くなって着崩れてしまうので、どうにかしたいです。

まずは着崩れを〝防ぐ〟ことがいちばん! 姿勢と所作を意識して

着物スタイリスト秋月洋子さん

1枚の生地を纏う浴衣の構造上、洋服感覚で動くとどうしても着崩れてしまうもの。ちょっとしたコツを身につければ、一気に着崩れるのを避けることができます。着崩れを防止する姿勢と所作を意識するだけで、自ずと綺麗な身のこなしに。美しい立ち振る舞いで、気品のある佇まいになりますよ。 着崩れを最低限に抑えるために、最も基本的で重要なのが「姿勢」です。猫背になると、老け見えする上に胸元が崩れやすくなるので要注意。軽く胸を張って、肩甲骨同士を寄せるようにして背筋を伸ばして顎を引いたら、頭を上から引っ張られているような感覚で首を立てます。最初は少し大変に感じるかもしれませんが、慣れたら姿勢をキープできるようになるはず。

外出中に気を付けたい、動き方のポイントは3つ!

①立ち方、座り方、歩き方

背中に1本の棒が通っているような意識で、背筋を伸ばして立ちます。お尻にキュッと力を入れつつ、肩は力を抜いて程よくリラックスさせることがポイント。脇も締めるように意識して。

座る時には、浴衣が引っ張られないよう浅めに座るのが鉄則。深く座ると着崩れの原因になるだけでなく、背もたれで帯が押し潰されたり緩んだりする心配があるので気をつけましょう。

また、普段と同じような歩幅で歩いてしまうと裾から着崩れてしまいます。急いでいる時でも、常に小股で歩くことを意識してみてください。

②しゃがみ方

しゃがんだり階段を昇り降りする時も、浴衣が引っ張られないようにするのが大切。腰のあたりを軽く摘んで、ちょっと引き上げながら動くのが大切です。

③物の取り方

何か取りたい物がある時、そのまま手を伸ばしてしまうと着崩れの原因に。遠くのものや高いところにあるものを取りたい時は、その方向に身体を向け、脇を締めたままそっと袂をつまんで下に引っ張りながら手を伸ばしましょう。袂を押さえることで、所作も美しく見えます。

それでも着崩れてしまったら... 重要な「3か所」を直せばOK!

胸元の衿、脇、おはしょり部分に、特に気を配って

1枚の生地でできている浴衣は、凹凸のある人の体に連動して動くため、長時間の外出となれば大なり小なり崩れてしまうもの。だからこそ、「浴衣は崩れる」という大前提に立って、姿勢や所作を意識しながら自分で応急処置ができるようにしておくのが正解です。外出中ずっと着崩れを心配するよりも、多少着崩れても直せば大丈夫!と思える方が、イベントも思いきり楽しめますよね。 着崩れは、動くことで生地が引っ張られ、緩んでしまうために起こるので、正しい順番で、もとの位置に引き戻せばOK。まず着崩れを起こしやすいのは胸元なので、衿や脇の部分を直してからおはしょりを整えれば、簡単に着崩れを直すことができます。

ステップ①まずは、両脇にできた生地のたるみを左右に引く

まずは、両脇にできた生地のたるみを左右に引く

腕をあげすぎたりして両脇下の生地が引っ張られると、帯の上あたりにたるみができてしまいます。これが衿のゆるみや開きの大きな原因となるので、まずはここを直しましょう。

右手で前身頃の衿をつまんだら、左脇の空いているところ(=身八ツ口(袖付けと脇の縫いの間にある空きの部分))から手を入れて生地を内側から持ち、たるみを両サイドに逃がすように左右に引っ張ります。たるみを左右に溜めたら、次のステップです。

ステップ②つぎに、おはしょりを下に引っ張って両サイドに溜めたたるみを流す

つぎに、おはしょりを下に引っ張って両サイドに溜めたたるみを流す

胸元の生地は、おはしょりと繋がっているので、おはしょりを下に引っ張ると胸元のたるみが解消します。ステップ①で両サイドに流したたるみを下に逃すように、帯のすぐ下のおはしょり部分をつまんで下に引っ張りましょう。片方ずつ、左右同じようにすると上半身の浴衣が身体にぴったり添うようになります。

おはしょりの前面が平坦になるように、帯下に指を入れて生地をならして

全体的に帯上のたるみが下に流せたら、おはしょりの前面を整えます。帯の下側をつまむようにして指を入れてサイドに流しながら、指の背で平坦になるようたるみをならせばOK!

ステップ③最後に衿元のゆるみを後ろから引っ張れば、お直し完了!

最後に、最も崩したくない衿元のたるみを後ろにしっかり逃がすように、背中側のおはしょりを下に引っ張れば完成!
外出中は後ろ姿のチェックも忘れずに!タレが上がっていたら下ろすようにしましょう

ステップ①②で前面の生地のたるみを全体的に直せたら、最も崩したくない衿元のたるみを後ろにしっかり逃がすように、背中側のおはしょりを下に引っ張って。これで、簡単お直しは完成です!

ちなみに、意外と盲点になりやすいのが後ろ姿。お手洗いに行った後に帯のタレが上がったままになっている人が多いので要注意! 必ず姿見でチェックして、タレが上がっていたら下ろすようにしましょう。前から見た時の佇まいがどんなに素敵でも、後ろ姿で台無しになってしまうのは勿体無いですよね。

 

教えてくれたのは…着物スタイリスト 秋月洋子さん

2003年にフリーランスのきものスタイリストとして独立後、雑誌や書籍でのスタイリングと記事執筆のほか、テレビドラマ、CM、映画等でのスタイリング、着付、衣裳デザインなどに携わる。 着物まわりの小物ブランド『れん』、オリジナルデザインの帯留『九九』など商品プロデュースを手掛けつつ、書家 秋月李雨(あきづきりう)としても活動。書作品の他、自筆の着物や帯のデザイン、制作も行っている。

インスタグラム:@uan_9_giorno

〈モデル着用〉松煙染 矢車菊柄ゆかた ¥91,300(反物価格/竺仙)、麻名古屋帯 ¥57,200 (竺仙)、紋紗帯揚げ ¥16,500(れん/きもの円居)、麻帯締め ¥9,680(つゆくさ)、カゴバッグ ¥26,400 (ヴィオラドーロ/peach)、ラフィアの草履 ¥49,940(辻屋本店)、白足袋 ¥4,070(福助)、簪:Arc Liner comb Silver ¥16,500(三代目板金屋/伊勢丹新宿店 呉服)
★この浴衣はどんなシーンにおすすめ?コチラからチェック!

撮影/沼尾翔平(モデル分)、イ・ガンヒョン(読者分) モデル/西山真以 ヘア・メーク/小松胡桃(ROI) スタイリスト/秋月洋子 取材/渡部夕子

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