2児の母・榮倉奈々さん「ブランド始動まで約5年。家族はずっと背中を押してくれていた」
生活リズムや優先順位が変化しても、大切にし続けたい好きなこと。子どもの成長とともに余裕が生まれた朝、コーヒー豆を炒りながら、頭の中を整理するという榮倉奈々さん。昨年「newnow」をスタート。新たな一歩を踏み出した彼女が今、考えていること。
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俳優・榮倉奈々さんは……
コーヒー豆を炒るのが好き!
❝家族が起きてくるまでの時間が
自分と一番平常心で向き合えます❞
ミックスストライプシャツ¥74,800中に着たロングスリーブTシャツ¥29,700ヘビーリネンパンツ¥67,100(すべてニューナウ/ランドエヌケー)
子どもの成長とともに、
朝に余裕が生まれました
いつもおいしいコーヒーを淹れてくれる友人が教えてくれた自家焙煎。早起きできた朝に、専用の鍋で生豆を炒りながらコーヒーの香りに包まれる時間が好きです。私の好みは、十数分炒って仕上げる程よい深煎り。丁寧に淹れた一杯を飲みながらPCを開いて頭の中を書き出すこの時間が、一番自分と平常心で向き合える気がします。5時に起き、子どもたちが起きてくるまでの2時間で、豆を炒ってお弁当を作り、仕事までできたら十分いい感じですよね。けれど現実は6時台、そううまくはいきません(笑)。
母6年目、下の子が3歳になり、かつてあんなに慌ただしかった朝がだいぶ落ち着いたと感じます。子どもたちの成長はもちろんですが、私自身が変われたこともきっと大きい。産後しばらくは、責任感から肩の力を抜くことができていなかったと思います。今、振り返ると、無理をしていたなと。6年経てば子どもは自然と立派に育つ、こだわりたかったのは私だけだったのかもしれません。今ではしっかり好き嫌いの意思も出てきたので、朝ごはんも子どもたちの意思を尊重する。その分私も、自分の時間を見つけながら過ごしています。うまく肩の力を抜けるようになったことが、気持ちいい朝の捻出に繫がったと思います。
仕事や育児に頑張る女性を
エンパワメントできる服
去年「newnow(ニューナウ)」という、受注生産を基本とするアパレルブランドを立ち上げました。子どもが生まれてから、“私が自立しなければ守りたい存在を守れない”という思いがあり、本名の賀来奈々として、何かを始めたいと考えていたんです。
14歳でファッション雑誌からスタートした芸能界。自分はここに戻ってくるのだなあと、今、人生が線で繫がった感覚です。「newnow」は忙しい女性、例えば仕事や育児を頑張る女性がパッと手に取ったときにでも、美しく魅せられる服を目指しています。公園にも行けて、ディナーにも行ける振り幅のある服。“気負わずに着られること”が前提で、おしゃれを諦めていた過去の自分のもどかしい日々もどこかで投影しているんです。とはいえ現実があるのも知っていて、同じ思いを抱く女性の力に少しでもなれたら……。抱っこ期間を終え、私自身子どもの成長とともに選べる服が広がるのを実感しています。当時焦っていた自分に言いたいです、自由になれる日はすぐだよって。
自分自身で社会と繫がる感覚が欲しかった
親という立場になり、社会を知りたいと思うようになりました。たしかに子どもを通して社会と繫がることはありますが、“それは子どもの世界”という感覚もどこかで持っていたんです。誰かのために働き、社会の中で生きてみる、その方法が「もう一つの仕事をもつこと」でした。俳優という仕事に加え大きな責任は増えましたが、“育児を頑張らなきゃ”と、自分に勝手に課した重圧から解放された気がします。おかげで子どもたちは伸び伸び過ごしていますし、家族も楽しそうです。最初に思い立ってから始動まで約5年がかかりましたが、家族はずっと「やってみたら?」と背中を押してくれていました。私の選択をいつも肯定し、どっしり構えて人生を応援してくれる。本当に心強い存在です。
PROFILE
●榮倉奈々さん
えいくらなな●俳優。1988年生まれ。2002年に雑誌Seventeenでキャリアをスタートさせ、2004年からは俳優として数々の話題作に出演。2023年、LAND NK(株)を設立しCEOに就任。“変わりつづける今を生きる服”をコンセプトに据えた「newnow」をローンチ。
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撮影/佐藤航嗣〈UM〉 スタイリング/上杉美雪〈SENSE OF HUMOUR〉 ヘア/KENICHI〈SENSE OF HUMOUR〉 メーク/YUMI〈eight peace〉 取材・文/藤井そのこ 編集/城田繭子
*VERY2024年6月号「オトナになっても好きなこと」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。