「3食きちんと食べるようになったら逆に痩せました」【元宝塚トップ 愛加あゆさん】のダイエット法とは?
退団後もさまざまなフィールドで活躍し、輝き続ける宝塚OG。その美しさの秘密を、宝塚仕込みの“素化粧”から紐解きます。今回は、永遠の少女のようなキュートさと透き通る歌声がファンを魅了してきた元雪組娘役トップスター・愛加あゆさん。普段のコンディションの整え方や宝塚時代から今に繋がっていることについて伺いました。
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体調を崩した経験から心身ともに健康第一。三食ちゃんと食べるのが舞台の基本です
《Profile》
富山県出身。中学時代は子役としてドラマに出演していたが、姉(元星組娘役トップ・夢咲ねねさん)の影響で宝塚受験を決意。2005年に91期生として4番の成績で入団。初舞台後、雪組に配属され、キュートな舞台姿が早くから注目を集め、2009年新人公演初ヒロインに。その後も地方公演などでヒロインを続け、2012年、壮一帆さんの相手役として「ベルサイユのばら」でトップ娘役に就任。2014年に退団後も、確かな演技力と美しい歌声が話題を呼び、舞台を中心に活躍中。
―舞台ごとに紹介されるメイクのインスタライブが人気ですね。
退団後は舞台メイクもいろいろ試しています。昨年雪組プレ100周年記念公演に出演したときも、客席から見てくださっていた先輩方が「あゆっちのメイクがすごくよかった!」と聞きに来てくださって嬉しかったです。
―舞台「The Agent」(終了)で激しいダンスとアクションシーンも。コンディションを整えるためにどんなことをしていますか?
精神統一しながら筋肉を高めていくヨガが合っているみたい。宝塚のとき、痩せなきゃというプレッシャーでひたすらダイエットしていたら一気にアレルギーが出てしまい肌もボロボロに。退団後は痩せるより健康になろうと、三食きちんと食べるようになったら逆に痩せました。共演者から「ずっと食べてるね」と笑われるくらい、稽古の休憩時間も大好きなお米を食べています。
―宝塚ではプレッシャーによるストレスもありましたか?
多分皆さん同じだと思うんですけど、宝塚に入りたての頃って怖いもの知らず。経験を積めば積むほどプレッシャーが大きくなっていくんですよね。今思えばもっと要領よくできたかも、と思いますが、若さゆえにがむしゃらになれた時期があったのはよかったなと思います。
―お姉さまの夢咲ねねさんの存在も大きかったのでしょうか?
宝塚に姉妹で入られる方って、芸名に同じ漢字を一文字使ったりするんです。でも私はまったく違う名前にしたし、当時は姉と比べられることに対してコンプレックスみたいなものがありました。でも3年目くらいに「こんなに近くに理解し合える人がいたのに今までなんで一人でもがいていたんだろう」と。それから急速に打ち解けるようになり、今は大事な相談相手。今もお互いの舞台を必ず観に行って、一緒に帰りながらホットな感想を伝えます。姉妹だからこそ率直な意見を聞けるのはありがたいですね。
―今に繫がっていると思う宝塚時代の作品は何ですか?
一つ挙げるならば「心中・恋の大和路」でしょうか。相手役の壮一帆さんと退団を発表した直後の作品でしたが、演出の谷正純先生のイメージにたどり着けず、ボロ泣きしながら稽古するという最初で最後の経験をした思い出深い作品です。卒業してからもお客様に対する思いなどは全く変わりませんが、宝塚の娘役にはあの世界だけで求められる正解の像がありました。今求められているのはリアルな人間像。芝居も歌声もそれを意識しています。
―最後に、愛加さんにとって「美しく生きる」とは?
「自分を愛すること」。宝塚では毎日必死すぎて、自分のことは常に後回しでした。コロナ禍のとき、親しい方が亡くなったりして、深い喪失感でふさぎ込んでしまった時期があって。そのとき姉と「人生は一度きり。美味しいものを食べたいと思ったら食べに行く。我慢はやめよう」と決めたんです。それだけで生きていくモチベーションが上がる。今、自分が何をしたいかを大切にして、人生を楽しんでいきたいです。
我慢をしないと決めたら生きるモチベーションが上がりました
自分をリセットするために大事にしているのはバスタイム。公演中は朝もお風呂に入っていきます。今はサウナにもハマっていて。熱いサウナと水風呂に交互に入ると本当に体が温まります。そういう時間を持つことで自分を慈しんでいます。
《衣装クレジット》
ワンピース(ワイルドリリー)イヤリング(マッケナ)ともに参考商品 シューズ/スタイリスト私物
2024年『美ST』4月号掲載
撮影/向山裕信(cheek one) 〈人物・静物〉ヘア・メイク/三ノ宮あやめ スタイリスト/津野真吾(impiger) 取材/稲益智恵子 編集/石原晶子