もし家族がバラバラなときに被災したらどうする?普段から持っていた方がいいものって?

家で被災したことを想定して防災グッズなどを準備しているけれど、もし家以外で家族がバラバラなときに被災したら…。「それぞれがきちんと安全に行動できるかしら」と心配になることもあるはず。そこで今回は、家族がバラバラな時間帯に災害が起きたときはどういう行動を取り、どういうことに注意したらいいのかを学びましょう!

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教えてもらったのは・・・

アクティブ防災NPO法人 冨川 万美さん


青山学院大学卒業後、大手旅行会社・PR会社勤務を経てフリーランスに転向。東日本大震災の母子支援を機に、子連れや家族のための防災を啓発するためにNPO法人ママプラグ設立に携わる。被災体験を元にした「アクティブ防災」を提唱し、全国各地でのセミナー・自治体との連携・イベント・企業との協働・書籍の出版及び監修など様々な分野で活躍中。東京都「東京くらし防災検討・編集委員」、農林水産省「あってよかった家庭備蓄」委員、厚生労働省「非常時における児童館の活動に関する調査・研究」委員、東京都「帰宅困難者対策に関する検討会」委員などを務める。主な著者に、「子連れ防災BOOK」、監修本に「いまどき防災バイブル」

家族がバラバラなときに被災したら、大事になってくるのが「安否確認」と「集合」

災害時にもし大切な家族と連絡が取れない/会えない時間が続いたら不安ですよね。帰宅困難者などのニュースを見るたびに不安な気持ちになる人も多いでしょう。家族がバラバラなときに被災したら大事になってくるのは「安否確認」と「集合」です。

安否確認の取り方を事前に決めておきましょう

第一前提として、スマホの電源を切らさないことが大切です。スマホはいまや大切なライフラインです。普段からモバイルバッテリーは持つようにしましょう。家族の安否確認はいつも連絡をとっているLINEなどのSNSで行うと決めておくのがオススメです。災害時は通常よりパニックになりやすいので、いつも使っているものが安心です。また、たとえばLINEのアイコン横の一言欄に「無事です」と入れておくと、家族以外の人とも安否確認し合えるので良いでしょう。

電話で安否確認をするという方法もありますが、皆さんが一斉に電話を使用することで回線が混雑し、つながりにくい状態になることも予想されます。このような事態では、いくら電話をかけてもつながらず、さらに不安は募る一方。それに、携帯電話の貴重なバッテリーを無駄に消費してしまうことにもなりかねません。そして最大の弊害は、消防や救急への緊急連絡を必要とする人の妨げになることです。安否確認や家族との連絡で使えるようにしておくと心強いのが災害用伝言ダイヤル(171)です日ごろから使えるように練習しておくことも備えの一つとして大事です。毎月1日、15日は練習できるようになっていますので、ぜひ家族でかけてみましょう。

とりあえず「自宅集合」を決めておく

人はどうしても自宅がある方向へ帰ろうという意識が働くもの。中間地点の行き慣れないところを集合場所として決めるより、慣れ親しんだ場所に帰るほうが難易度は 下がるので、基本は「自宅集合」がオススメです。ただ、自宅が倒壊している場合もあるので、次はここに集合という場所も設定しておく方がいいでしょう。自宅の次の候補としては、子どもや家族全員が共通で知っている場所であれば、公民館、学校、近所の誰かの家など全てOKです。被災する場所や時間帯などによって、どこに行くかは変わってきますので、自宅以外ならここにいる可能性があるという場所を、なるべく多く家族が共有し、優先順位も決めておくことが大事。それだけで、どこにいるか検討もつかないということが避けられます。会えない時間が長くなればなる程、子ども大人も不安になります。両親の職場が遠いなどで、被災後すぐに会えない可能性が高いご家庭であれば、確実に子どもが安心していられる避難先を設定しておきましょう。

もし…!家族とお互いに安否確認ができていなくて、自宅が倒壊していたら・・・

もし家族と連絡がつかないときは、一人ぼっちにならず、お友達の家や、親戚の家、ご近所さん…など、信頼のできる大人のいる場所が安心です。もし自宅に居られない場合は、そこに助けを求めるように伝えておきましょう。そして大切なのは、その相手のお宅も被災するわけですから、いざという時に助け合えるように、普段から連携をとっておくことです。

外出時は、もし自分が帰宅困難者になったら... というのを想像して準備を!

外出先で、災害などにあったらどうしよう?…ふと、そんなことを考えることってないですか?地震だけでなく、豪雨による川の決壊、交通機関の麻痺などで家に帰れない可能性も。そんな時、「0次の備え」としてオススメしたいのが、いつも携帯している「ポーチ」に災害時に役立つアイテムを忍ばせておくこと。ポーチならお財布と同様、バッグを替えてもいつも自分と一緒に移動する物だから「家に置いてきちゃった!」ということも少なく安心なのです。

防災を意識して備えることは大事ですが、あれもこれもと気負ってしまわなくても大丈夫。自分がもし、帰宅困難者になり、駅などで動けない状態 になってしまったら、何があれば最低限生きられそうかを考えてみてください。

可愛いハートのキーホルダー。実はホイッスルなんです!

①いつも持ち歩いているポーチ…「災害は、いつ自分自身の身に起こるかわからない」ことを忘れず、普段から使っているポーチに災害時に必要なものを入れておきます。

②小型ライト…停電時には、昼夜を問わず小型ライトが活躍します。キーホルダー状になったものならポーチに着けておけるからいつでも携行できます。

③ホイッスル…建物内に閉じ込められた場合や、救助を呼びたい場合などに役立ちます。キーホルダータイプのものをポーチの外側につけておくと、すぐに使えて安心です。

④撥水風呂敷…広げて肩にかければ防寒や日除け、雨避けにも。バケツ代わりに水を運ぶこともできたり、水を入れて圧をかけると「シャワー」にもなります。撥水機能のある風呂敷はアイデア次第で用途はいくらでもひろがります。防災グッズ」としてバックに1枚潜ませておくこと便利。

⑤お菓子…飴や羊羹など、小さくて手軽に食べられるものを常備します。常温で長期保存ができるものであれば、なおよいでしょう。

⑥モバイルバッテリー…停電が起きている地域では、スマートフォンの充電ができず困ってしまうこともあります。そのようなケースに備え、モバイルバッテリーも常に携行するようにしましょう。

⑦飲み物…食べ物だけでなく水も必要です。外出時は常に500ml程度のペットボトル飲料または水筒を持ち歩くようにすると、災害時の水分補給に役立ちます。

①ポーチ/参考商品 ②小型懐中電灯¥1,323/LUMINTOP ③effe heart お守りホイッスル¥3,300/プラスジャック ④撥水風呂敷ながれ(平織96cm)¥4,290/朝倉染布 ⑤一口羊羹・飴・キャラメル/参考商品 ⑥モバイルバッテリー/参考商品 ⑦水筒/参考商品

防災は特別なことではなく「日常の延長線上でやる」という意識が大事

“防災”というと 、何か特別なことをしなきゃと思い込みがちですが、日常の延長線でやるのが好ましいです。スーパーに行くときは、ストックできる食品を買い足したりして、親子で「これを買 っておけば 、災害のときに食べられそうだよ ね 」などの話をしておくと良いでしょう。普段から 「頭上には物を置かないようにした方が地震がきても安全だよね」などの声かけが家庭のなかにあるだけでも変わってきます。いつ発生するか分からない大地震に備えるというのは、なかなかやるきっかけがつかみにくいものです。だからこそこれをきっかけにして、ぜひ家族で話し合う機会を設けてみてください。

撮影/草間智博、イラスト/村澤綾香、取材/笹 利恵子

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