【南果歩さん】乳がん罹患から7年「病気を経験しなかったら離婚してなかった」
南果歩さんは、ご自身の乳がん罹患から7年。今もがん経験者として発信し続け、多くの人を勇気づけると同時に、アグレッシブに自分の人生を楽しんでいらっしゃる印象の明るい女性!罹患、寛解を経た境地と、ママの先輩としてのアドバイスを、優しさいっぱいの笑顔でお話ししてくださいました。
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南果歩さんからママたちへメッセージ
「自分の体は、たった一つ」
当たり前のことだけど自分だけ
無理をして頑張ればいい
っていうものじゃない
ニット¥511,500※店舗限定 スカート¥123,200※参考価格 シューズ¥220,000※参考価格(すべてファビアナフィリッピ/アオイ)左耳イヤカフ(上)¥74,800(下)¥110,000 リング¥83,600(すべてヒロタカ/ヒロタカ 表参道ヒルズ)インナーはスタイリスト私物
◉profile
兵庫県生まれ。俳優。テレビ、映画、舞台などで活躍。近著のエッセイ『乙女オバさん』(小学館)では半生を振り返りながら読む人にエールを送る。イキイキとしたプライベートも垣間見られるインスタは@kaho_minami。
病気を経験していなかったら
離婚してなかったと思います
──南さんが乳がんを罹患されたのは7年前、52歳のとき。それ以来、ご自身の治療や思いなどを積極的に発信していらっしゃいますね。
南さん 病気の話は決して楽しい話題ではありませんが、私が話すことによって、誰かの気づきや検診を受けに行くきっかけになったらいいなと思っています。1度聞いてピンとこなかった人も、2度3度と見聞きすることで、頭の中に入ってくることがある。働き盛り、子育て真っ只中の女性もいつ罹ってもおかしくない。まずは検診。特別な人間ドックとかじゃなくていいから、市区町村でやっている無料検診を有効活用してほしい。
──ママたちって子どものことならすぐに病院に駆け込むのに、自分のことは二の次になりがちです。
南さん 子どもがまだ手がかかった時期。子育てに追われ、仕事に追われ、とにかく時間がなかったあの状況、よーくわかります。でも病気になってみると、いかに健康がかけがえのないものか。私も自分は後回しにしてきたけど、自分の人生は自分の体が資本なんだなと。その自分の体はたった一つしかないんです。自分だけ無理をしてちょっと頑張ればいいっていうものじゃなく、自分を大事にできないとまわりの人も幸せじゃないっていうことにも気づきました。「ご自愛ください」ってお手紙の定型文でよく使いますけど、自愛することってすごく大事だと思います。
「時間が一番大事」病気と
共存していくって決めたから
今できることを今やり尽くし
自分のために時間を費やしたい
──著書も拝読しましたが、闘病中もポジティブ。そして、現在の南さんもとても輝いて見えます。
南さん 病気ってとても不思議なもので、これからどう生きていくべきか?ということを考えるチャンスを与えられたって思ってます。私は〝病気と闘う〟っていう言い方はあんまり好きじゃない。命に関わることなので、もちろん治療中の辛さも、その後続く再発の恐怖もありますが、それは病気と共存しながら自分の人生を見つけていくことなんだと思っているんです。これまでとは違う状況に置かれた自分を、新たなスタートと捉えていければいいなと。
後悔したくないんですよね。今できることを今やり尽くしたいっていう気持ちは強くなりました。私、病気を経験しなかったら離婚してなかったと思います。波風立てたくないっていう性格もあるんでしょうけど、私が多少の我慢をすれば丸く収まると思っていたかも。でも、時間が一番大事だから。ひいてはそれはまわりのためになるから、自分の幸せのために時間は使いたいと強く思うようになりましたね。
──乳がんの話から離れますが、先ほど子育て中のお話も出ましたが、息子さんは2023年28歳。ご結婚もされました。南さんの子育てを振り返るといかがでしょうか?
南さん もう危ない橋をいっぱい渡ってきたと思います(笑)。自分と子どものスケジュールを何とかやりくりするために、助けてくれる人の手は全部借りました。でもそのおかげか子どもはスクスク育ってくれました。やっぱりお母さんが笑顔でいることって大事だと思いますね。仕事柄、子どもを置いて泊まりがけの仕事も多くいろいろ心配もありましたが、子どもを置いて仕事をするんだからそれ相応の結果を出さなきゃっていう気持ちにもなるし、もう出かけてしまったら子どもに申し訳ないって気持ちは持たないようにしていました。
子どもが幼い頃、私はシングルマザーだったので、あなたのご飯を買うために、あなたの教育費のために働いているんだっていう意識で、子どもにも言っていました。でも、過ぎてしまえば、やっぱり子育てにほとんどの時間を使っていた頃、寝る前に3冊の絵本を読んでいた頃が、うん、一番幸せだったかもしれない。いつも眠くて、時間に追われて、ゆっくり何かをする時間もなく過ごしていましたが、とても豊かな時間だったなと。過ぎてみて、息子も大人になったからこういうふうに思えるのだと思うのですが。最中はもう必死でそれどころじゃなかったけどね(笑)。
人は最後まで〝進化〟するもの
30、40代を楽しんで!
──毎日、毎月、毎年、時間の経過が早すぎて怖くなったり、30代から40代が見えてくると「もう若くはない」「このままでいいのかな?」と漠然とした不安を感じたり。輝いている人生の先輩としてアドバイスはありますか?
南さん 不安があるということは影が差すってことだからそれは味わいですよ。私は、人は最後まで〝進化〟すると思っています。年をとることを人は老化と言うのだけれど、私は進化と呼んでいて、同じところに留まっていると自分で自分に飽きるから、ちょっと影を抱えた自分も楽しんでほしいなと思います。30、40代は体力、気力が十分にある時期だし、そうやって30、40代を過ごしていると、50代はもっと楽しいですよ。息子も独立して、1人になったので、時間割りがもうガラッと変わって、家族のシフトを考えなくていいっていうところでは、もう20代に戻ったみたいです。いろんな経験を積んで、いろんなことを知って、いろんなネットワークができた後の20代ですから、最高に決まってますよね(笑)。
南さんのライフワークの一つは
読み聞かせ。2022年絵本も
出版されています!
『一生ぶんの だっこ』(講談社刊)
文 南 果歩 絵 ダンクウェル
南さんがコロナ禍で朗読をしていた作品を基に書き下ろしを加え、編集した完全オリジナルの作品。絵は温かみのある柔らかな画風のダンクウェルさんに依頼して完成させたとのこと。
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撮影/酒井貴生(aosora) スタイリング/坂本久仁子 ヘア・メーク/黒田啓蔵(Iris) 取材・文/嶺村真由子
*VERY2023年11月号「ママががんになったから、伝えたいことがあります 自分をもっと抱きしめよう!」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。