医師に聞いた…乳がんが発覚した人の「その後」【治療法は?かかる費用は?】

現代女性にとって誰でもなり得る病気〝乳がん〟。定期的に検診を受けるなど、万が一への備えはできていますか?まだ若いから関係ない、と考えずに正しい知識を身につけて、もっと〝自分事〟にするのが第一歩です!

仕事やお金のこと…乳がんになったら生活はどう変わる?

乳がんが発覚した〝その後〟については案外知られていないもの。どのような流れで治療が進められ一体どのくらい治療費が必要になるのか…とあるCLASSY.世代女性の例でご紹介します。

【検診で異常が見つかってからの流れは…】

    乳がんが発覚した〝その後〟につ

    【1】マンモグラフィや超音波などの検診で異常が見つかる
    胸に硬いしこりのようなものが触れる・分泌液が出ている・萎んだり膨れたりしている場合にはすぐに病院へ。特に症状がなくても定期的な検診で健康状態を把握しましょう。ピンクリボンブレストケアクリニック表参道の場合、検査当日に医師から結果を説明してもらえる「フルコース(マンモグラフィ・超音波検査・視触診)¥18,000」が一番人気のプラン。

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    【2】がんの範囲や種類を調べるために精密検査に数回通う→病理検査・治療方針決定
    しこりの組織の一部を針生検で採取して、病理組織診断を行います(約¥15,000)。乳がんの診断がついたら、さらに詳しいがん性質の検査や(¥10,000~20,000)MRIやCTでの広がり診断(¥10,000~20,000)を行い、適切な手術や薬物を選ぶための検査をします。ここまでは全て外来受診のみでOK。仕事をするなど、普段の生活を送りながら手術に向けての準備をします。

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    【3】しこりが大きい場合はがんを小さくする投薬治療から開始
    しこりが大きい場合、手術前に抗がん剤治療を行う「術前化学療法」を選ぶ人も。手術が困難な進行乳がんを手術できるようにしたり、しこりが大きく乳房温存手術が難しい乳がんをできるだけ温存できるようにする効果が期待できます。ただし化学療法中にしこりが大きくなった場合には、手術を早めることも(約¥100,000)。

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    【4】乳房を全摘or部分切除の外科手術でしこりを摘出
    乳がんの手術は腫瘍部分のみ切除する「部分切除」(通常2泊3日の入院、¥300,000~¥500,000)と乳房全体を切除する「全摘出」(通常1週間~10日の入院、¥400,000~¥600,000)に分けられます。また、乳がんは進行とともにリンパ節に転移することが知られており、その場合は病巣の切除とともにリンパ節をまわりの脂肪組織ごと切除します。

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    【5】退院後は外来で治療を継続。部分切除の場合は放射線治療へ進む
    退院後、部分切除の人は放射線治療のため3週間毎日通院することが必要です(合計約¥100,000)。少量の放射線を分割して当てることにより、病気の細胞だけを退治し、正常な細胞を保護します。一方、全摘出の人は局所再発率が低いことから、基本的に薬物治療のみで、放射線治療の必要はなし。乳房再建を望む場合には、別途手術&入院費がかかります。

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    【6】治療を終え、10年程の経過観察で再発や転移が発見されなければ完治!
    日常生活へと戻り、仕事をしながら経過を見守ります。他の臓器への転移が認められず、10年ほど再発も確認されなかった場合、晴れて「完治」ということに。※今回ご紹介したのはあくまで一例であり、推奨されている治療の流れというわけではありません。乳がん治療はがんの性質や進行具合、かかった人がどのような治療を望むかにより大きく流れや費用が異なります。

教えてくれたのは…ピンクリボンブレストケアクリニック表参道・島田菜穂子院長

放射線科専門医・日本乳癌学会専

放射線科専門医・日本乳癌学会専門医・認定NPO法人乳房健康研究会副理事長。国内でのピンクリボン運動の普及に寄与し、乳がんに関する知識の啓蒙に尽力。

取材/伊藤綾香 漫画/菜々子 再構成/Bravoworks.Inc