【鈴木六夏さんVERY卒業インタビュー】たどり着いた,自分らしい美しさ
6月7日発売の7月号のVERYで、モデル・鈴木六夏さんが卒業! 読者モデル、美容ライター、そしてモデルと足かけ17年VERYに携わってくれた六夏さん。先日行われた最後の撮影には、多くのスタッフやモデル仲間がサプライズで駆けつけました。今回は、誌面に載せきれなかった卒業記念インタビューを3回に分けてお送りします。(2回目はこちら・3回目はこちら)
読者から美容ライター、そしてモデルへ。六夏ちゃんがたどり着いた、自分らしい美しさ
——撮影が終わった直後に涙を見せた六夏さん。静けさを取り戻したスタジオで改めて話を伺います。
「最後の最後まで、撮影の前はずっとソワソワでしたね。本当に17年間、ありがとうございました。読者としてVERYに登場する前も細々とモデルをしていたのですが、当時は20歳で売れていないと厳しいと言われた時代。子どもがいて、20代後半に差し掛かっていた自分に『次号からモデルで登場してほしい』と編集さんに言われたときは、とても驚いたのを覚えています。でもやっぱりうれしかった。ずっと雑誌が好きだったし、雑誌=モデル、という気持ちはあったから」
撮影では毎回気合いが空回り。でも、だんだん笑顔を褒めてもらえるように
——そこからモデルとなったものの、慣れない撮影では悩みも多かったんですよね。
「編集長にモデルのビビアーニ大野さんの撮影に連れて行ってもらい見学させてもらったり、組み(他のモデルと一緒に撮影すること)も多かったから、見ていないふりをしてモデルさんの動きを観察したりとか(笑)。モデルになりたての頃は、シャッター音に合わせてポーズを止めて撮影していくスタイルが主流だったので、ポージングの練習もたくさんしました。それからいつからかナチュラルな、自然な動きの一瞬を切り取るような撮影スタイルに変わっていきましたよね。それはそれで、自分が見透かされるような感じもしたしすごく難しくて。カメラの前で自然体でいなきゃ、服も素敵に見せなきゃだし、かわいくも写りたいと(笑)、毎回気合いが入りすぎて空回りしている時期もありました。でもだんだんと『笑顔がいい』って褒めてもらえるようになっていきました。
プライベートを誌面で語ることも多いVERYという雑誌だからこそ、モデルとしてはコンプレックスだらけでも『人間味』みたいなものを見てもらえたのかな、と思います。がんばって子育てや仕事をすることがモデル業の糧になったし、この雑誌ではただ外見を磨くだけでなく、中身も成長したいと思いました」
——ライター、モデルとして常にいろんな価値観、良いと言われるものに触れてこられたと思うのですが、美容の分野では、ここ数年で方向性が絞られてきたそうですね。
「ちょうど数年前に湘南に引っ越した時期とリンクするのかな? だんだん、ナチュラルにしていこうという気持ちが強くなってきました。都内に暮らしていたときは、何かをインプットしなきゃとか、買い物していても『これ私服スナップに使えるかな?』とか、常に走り続けているような感じだったんです。それは必要なことでもあったと思う。でも40代になり湘南に引っ越して、自分に休むことを許可できたような気がします。刺しゅうをしたりカゴ編みの教室に通ったり、気づくと夜中に無心で編んでいる自分がいました。そういう時間が自分を救ってくれる気がしたんです。趣味がなかった人生なので、いまとても新鮮ですね。
そういう気持ちの変化があって、美容に関しても、削ぎ落として本来持っている力を取り戻す方に注力してみたいと思ったんですね。植物療法を学んでいたこともあり、こっちかも!って。ファンデを石鹸で落ちるものにすればクレンジングで肌を痛めないで済むし、肌が自分で潤う力が養われると感じて。あと、化粧品のブランドを立ち上げたことも大きい。商品として何を出したいか真剣に考えたとき、化粧品でも地産地消の原料で、地域活性に貢献できることを知りました。自分もきれいになりたいけど、きれいになって、みんなにとってもいいねというツールになれたらいいなと思います」
——化粧品の他にアパレルも、自分の会社を立ち上げて手がけられていますね。プロデュースという形ではなく自分でやろうと思ったのはどうしてですか?
「2015年に子ども服を出したときも、『大手と組んでプロデュースする方がリスクが少ないよ』と周りから言われたけれど、もっと自分の軸になる方法を探したいと思いました。相手があることだから、もうやめますと言われたらそれで終わり。だから、自分で会社を立ち上げて、リスクをとってでも自分でやってみたかった。フリーランスのライターやモデルとして活動していた中、お仕事の量も収入も保証はない。『あれ!?』っと焦った日々も糧になっています。相手に期待しすぎるのは違うなと思えるようになった。経済的にも自立することが、心の自立にも繋がっていると感じました。期待しない、というのは友人や夫、子どもに対してもそう。ネガティブな意味ではなく、依存したり期待しすぎず、自分は自分で立つことが、自分を幸せにするのかなって。だから例えば、モデル仲間へ化粧品のギフティングなども積極的にはしていなくて。差し上げたら『SNSに載せなきゃ』と気を使わせてしまうのも嫌だし、自分もどこか期待してしまいそうで。誰かに期待するよりも、今いる自分のお客様と向き合いたい、そう思っています」
ライフスタイルの変化や人との出会いによって、なりたい女性像も変化していったという六夏さん。続編の第2回では、六夏さんといえばの「ミニマムクローゼット」の話を伺います。
撮影/西崎博哉<MOUSTACHE > 取材・文/有馬美穂
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