“大家族石田さんチ”のお母さん、「夫婦関係って、女房の覚悟がどこまで決まっているかよね」

1997年から「石田さんチ」の愛称で親しまれてきたドキュメンタリー番組『7男2女11人の大家族石田さんチ』。リアルな家族ドラマに心を掴まれた人も多いはず。「石田さんチ」の大ファンであるライター小出が、お母さまの千惠子さんに、当時のこと、子育てのこと、夫婦のこと、いろいろ聞いてきました!今回の後編では、夫婦関係についてお聞きしたことをお届けします。

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今から45年前。おふたりが24歳、結婚当初のお写真。

「石田さんチ」で気になっていたお2人の関係性

テレビでは、夫の晃さんから一瞬ドキッとする発言があったり、千惠子さんも「モラルハラスメント」と書いた紙を家の壁に見えるように張っていたのを今でも覚えています。円満別居中の今、改めて石田さんチの夫婦のあり方について聞かせてください。

夫婦関係で気をつけていたことはありましたか?

小さい頃、大人が喧嘩してるのを見るのが嫌だったので、夫婦喧嘩はしないようにしていました。子どもの前だけではなく、言い合い自体もしないようにしていたんです。夫はいつも一言多いし、いらないことを悪気がなく言う人なんです。そういう人ってこっちが本気になると負け。流すしかないですよね。

—夫婦で、子育ての分担はしていましたか?

子育てを夫婦で話し合うことはしたことがなかったですね。もともと夫は仕事漬けで、月曜日に仕事に出て行ったら土曜日に帰ってくるという生活を送っていたので、今でいう「ワンオペ」で私は9人を育てました。“夫元気で留守がいい”という言葉がある通り、ウチに関しては、いなかったからよかったこともあったかもしれませんね(笑)。

—夫に「手伝って欲しいな」「なんで私だけが」と思うことはなかったのですか?

夫に「なんで私の気持ちがわからないの?」「なんでしてくれないの?」と自分が勝手に期待しておいて怒る妻がいるでしょう(笑)。そういうのはやめたほうがいいですよね。男の人は本当になにも考えてないし、思っている以上に忘れっぽいから。いちいち期待しないのが一番いい。夫だからこうしてくれることが当たり前と思わず、近所のおじさんくらいに思うこと。私の場合は夫を上司だと思って、子育てや夫の世話は私の仕事だと思って過ごしていました。嫌なことを言われても何事もなかったように布団を綺麗にしてシーツも洗って用意してあげて、「ご飯はどうしますか?」と聞いて「いる」と言ったら、(夫は隠してたけど高血圧と知ってたので)野菜をいっぱい入れていました。妻なんて家政婦みたいな存在でいいと思ってたから、特に何も思わなかったんです。他人に褒めてもらうなんてことは考えないのがいいんですよ。自分のことは自分で褒めてあげたらいいんだから。でも、たまに「どうしたの?」「大丈夫?」なんて夫が気を遣ってくれた日には「幸せ!」「ラッキー!!」と思ってガッツポーズするんですよ!

でも、心から夫のことは尊敬しているんです

正直ね、理不尽なことを平気で言う人だったけれど、高卒のたたき上げで大手化粧品会社の本部長までいった夫のことは「よく頑張ったね」と心から思うんです本当に尊敬してます。夫婦はお互いに尊敬がないとダメですよね。今は円満別居だけど、夫に対しての尊敬は変わりません。腹が立つことがあったとしても、私が何か強く言い返してしまうと、夫に対しての尊敬がなくなると思って、言いませんでした。相手への尊敬の気持ちは失いたくなかったんですよね。ここはすごいなと思う気持ちは、やっぱり相手に持っておくことが夫婦には大切だと思います。

夫婦関係って、女房の覚悟がどこまで決まっているかよね

振り返ると、夫婦関係で大変だったなと思うのは夫が少し仕事でパニックになったときですかね。退職やらなんやら考えちゃったんですかね。もうそういうときはそっとすることがいいんですよね。夫も思春期の息子と一緒夫の反抗期なんです、私が何か言ったところで自分への批判にしか聞こえないでしょう。こうなったら、私が責任を持って全員面倒見る!と、このとき腹を括りました。夫は仕事に生きると決めた人で、がむしゃらにやってたので、私は家のことと子育てを必死にやるという覚悟が持てました。夫婦って女房がどこまで覚悟が決まっているかだと思いますよ。奥さんは真ん中に立って見守ってあげるんです。

辛いときは、目の前の現実をよく見て、行動する!落ち込むのは5分まで

—大変なときも多々あったと思うのですが、辛いときはどうやって乗り越えてきたのでしょうか?

悩んだらどうしてこうなったのかと自分を責めるのではなく、まず目の前にあることをちゃんと見ること。トラブルとして起こっていることって、今まで自分がどう生きてきたかが全部関係していると思うんです。辛い時こそ目の前をちゃんとみて行動するんですよ。

それでも、どうしようもなくモヤモヤするのであれば、3分、落ち込んだり考えたりする時間を設けるんです。3分っていっても気づいたら5分になる時もあるけれど、それ以上は考えない。5分以上考えると余計なことを考えちゃうからダメなんです。あとは好きな歌でも歌えばいいんですよ。

お庭で取れた金柑をいただきました。

ガーデニングが趣味のお母さん。お庭のお花をアレンジして楽しんでいます。

子育てを精一杯やったから、今、ひとりの時間がとても幸せ

若い時に戻りたいっていう人がいるけれど、私は絶対嫌なんです!子育てが恋しいって人もいるようだけど、私は全く思わない。十分に、やりきった!っていう感覚があるから、今、1人で自由に過ごせることがとても有難くて幸せなんです。だからもし生まれ変わったら、独身人生をやってみたいと思うくらいで(笑)何も考えずぼーっとできる時間があるって幸せなことなんですよ。

40代のSTORY読者に今、伝えたいこと

“ベストではなくベターを目指す”でいいんだよ

最近の若いお母さんたちって、頑張りすぎていることも多いなと思いますね。ベストを目指したらダメ、常に自分を限界まで追い詰めると、あとは落ちるしかないからプレッシャーになって苦しくなると思うんです。だから、まだ上があるベターをめざすこと。適当で、ゆるゆると心豊かに過ごせたらいいですよね。

たまに、自分の力ではどうにもならないくらい、苦しいときもあると思うけれど、そんなときは悩みすぎず、シンプルに今をどう生きるのかを考えるようにするんです。私も癌になったことがあったけれど、悩んでも、笑っても、時間は同じなんだと思うと、笑顔で過ごした方がいいなって。だから読者の方に伝えたい言葉は私にとっても大事な言葉。笑っても一緒、泣いても一緒。どうせやる人生なら楽しんだ方がいい。楽しんでいたらみんな自然と寄ってきますからね。そう思って頑張りすぎず笑って過ごしてほしいです。お母さんが笑顔なのが子どもにとっての一番の幸せですから。

取材の様子を大家族 石田さんチのYouTubeで配信中!

▼「ゆるゆる動画」大家族 石田さんチはこちら
【名言だらけの神取材!】「ズルくていい、ゲスにはなるな!」

撮影/西 あかり 取材/小出真梨子 

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