君島十和子さん「動悸からはじまった更年期は、人生の第2ステージと前向きにとらえて」
STORY世代にとっての美の女神、希望の星とも言えるのが今回登場してくれた君島十和子さん。美容への探究心とともに彼女を輝かせているのは、誰にでも訪れる更年期に対するフラットで前向きな考え方でした。
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○ 君島十和子さん(56歳・実業家、元女優、元モデル)
1966年5月30日、東京都生まれ。中学時代からモデル活動を開始し『JJ』の専属モデルなどを経て女優としても活躍。美の秘密とライフスタイルを惜しみなく披露した著書『アラ還十和子』(講談社)も好評発売中。
突然の動悸で更年期デビュー。
これからが人生の第2ステージだと
逆に前向きになれています
これからが人生の第2ステージだと
逆に前向きになれています
更年期症状を感じたのは52歳くらいの時、動悸(*1)が最初でした。
家でテレビを観ているようなリラックスタイムに、まるで心臓がせり上がってくるようなドキドキを感じました。病院で心電図をとっていただいたところ、ドクターに「年齢的なことでしょう」なんてサラッと言われて、でも納得できなくて。ネットで調べてみたら代表的な更年期症状としてホットフラッシュ・肩凝りの次に動悸と書いてあって、動悸は“更年期症状ベスト3”にランクインするほどよくある症状と知ってビックリ。不思議なもので、原因が分かると妙にスッキリして、動悸も感じなくなりました。
【*1・動悸】
閉経前後の時期は卵巣機能の低下や女性ホルモンの分泌の低下によって、脳の視床下部がつかさどる自律神経の調整が不調に。自律神経の乱れは、身体の活動時に活発になる交感神経と、安静時に活発となる副交感神経のバランスが崩れた状態。更年期症状に加え精神的ストレス、寝不足や不規則な生活などが原因で自律神経が乱れることもあるそう。実際には動悸を起こす原因はひとつだけではなく、いろんな原因が絡みあって起こっていることも。心臓疾患の場合もあるのでまずは内科を受診し、問題がないようなら婦人科で診てもらうのがお勧めです。
◇ 50代に入り、体が顕著に変化。ムダに心配してモヤモヤを抱える不安感こそストレスに。だから不調を感じたらすぐ病院へ
— 君島十和子さんは『JJ』の専属モデルとして表紙を飾るなど、同世代から圧倒的な支持を得ていた人気モデル。結婚で芸能活動を引退し、しばらく子育てに専念されたあと、その変わらぬ美しさと美容への探究心が再び話題となりました。自身のコスメブランドを立ち上げるなど、今や幅広い年齢層から美のカリスマとリスペクトされる存在に。そんな十和子さんが自身の変調に気づいたのは50代に差し掛かった時。突然感じた“動悸”を最初は更年期だと思わず、内科や循環器内科などをめぐったそう。
動悸は更年期によるもの、と分かってから急に体調が落ち着いたように、人間の体って不調の原因が判明すると症状が一気に軽減します。「どうして具合が悪いのかな」とモヤモヤ不安に思うのがいちばんストレスに繫がると思うので、おかしいなと思ったらすぐに病院を受診するのがいいと改めて思いました。「これが世に言う更年期なのね」と腑に落ちてからは、ホットフラッシュや倦怠感などは特に感じずに今に至ります。
◇ 生理の周期や痛みが変化し、1カ月間低用量ピルを飲んだことも
更年期とは別の話ですが、私は閉経前後から急に生理痛がひどくなりました。40代までは生理期間もきっかり5日間で周期も28日と決まっていたのですが、50代に入ってからは不規則になったり、量が不安定になったり。痛みも強くなったので子宮の異常を疑い婦人科を受診。結果、子宮などに疾患はなく、低用量ピルを1カ月飲んだだけで症状は治まりました。この経験からも、何か変わったことがあったら時間をおかずに検査した方がムダに心配せずにすむ>ことを痛感しました。
更年期症状や更年期障害は、女性ホルモン、主にエストロゲンが急激に減少することで起こる不調です。症状があると、減ってしまったホルモンを補充すればいいという考え方もありますが、私はどちらかというと自然に任せたい派。エストロゲンが分泌されなくなると骨密度が減少するため、顔の骨格も変化するという影響ももちろんありますが、だからといって美容のためだけにホルモン補充したいとは思っていないのです。
いつかはやめなくてはならない時がくるのなら、できるだけ自力で努力した方がいいと考えています。食事の改善をしたり、骨粗鬆症予防のためならビタミンDのサプリメントを摂ったり。自分に合ったやり方を試行錯誤して楽しみながらコントロールしていけば良いのではないでしょうか。自力でコントロールするということは、己を知る、常に自身の体の状態を正確に知ることが必要です。
私は人間ドックの血液検査では、必ずホルモン値検査のオーダーを入れています。50代に入ってここ数年、それはもうキレイにホルモン値が、教科書にあるみたいな右肩下がりの下降線を描いています。今は申し訳程度の値になっていますね(笑)。
— 自身の身体をリアルタイムで正確に把握し、それに合わせて自力でできる方法で問題点を改善していく。それには何事も冷静に受け止め分析する知性も必要です。十和子さんの凜とした美しさ、年齢とともにより豊かに輝くオーラは、自然体を貫く信念とフットワークの軽さにあるのかもしれません。
すぐに相談できるドクターを見つけておくというライフハックの他にも、定期的な運動や腸活を優先した食事など、体に良いと思うことで自分が継続してできるものは続けています。
運動は、2019年から始めた週に1度のパーソナルトレーニングやウォーキングがメイン。年齢を重ねるともともとのウィークポイントがさらに弱くなるそう。私の場合は下肢が弱いので、スクワットなどで強化するようにしています。胸椎や背骨がかたまってくると姿勢も悪くなりますし、スマホ首のようにストレートネックになると途端に老けて見えるから要注意。筋力アップしてシルエットが類人猿に逆戻り(笑)するのを食い止めなければなりません。腸活は多彩な菌を腸内に取り入れるために、発酵食品や食物繊維などを意識して多めに、かつバリエーション豊かにいただくようにしています。
また体以外、心の健康もとても大事。私の元気の源は推し活やインスタライブ。今もっとも推しているTWICEはライブに参加させてもらうといろんな刺激を感じることができます。メンバーのパフォーマンスの熱量に感動するのはもちろん、観衆の若いパワーを目の当たりにすることでも元気が湧いてきます。
また、毎週日曜日の朝10時から11時に定期的に行っているインスタライブでの発信もパワー源。私のような世代にとってSNSの世界はまるで「第3の世界」にいるような感覚で新鮮ですが、その一方で、無料のインスタライブは例えるならば渋谷のスクランブル交差点で、たった一人で叫んでいるようなむき出し感。最初は、どこの誰から何が飛んで来るか分からない怖さがありましたが、今の時代、発信することを恐れていては何もできません。時々はコメント欄が荒れることもありますが、そんな勢力以上に、治安を守るために闘ってくださる方々がいてくれて心強い。不特定多数の方に向けての発信も楽しめるようになってから、仕事に対する熱量も1段階上がった気がします。
そしてアーカイブを見直して自分の不意の横顔や姿勢、立ち姿をチェックするのもいい気づきになります。動画で客観的に見ると猫背になっている、首が前に出て老けて見えるなど、シビアにチェックできるので40代以降は自分の現実を直視するのにお勧め(笑)。インスタライブもそうですが、私は更年期以降こそ、素直になることと、何事にもチャレンジする攻めの姿勢、両方が大切だと考えています。
そして考え方を更新すること。昔は更年期に恐怖感を抱いていた方が多かったかもしれません。女として終了、みたいな考え方をして隠したり、悲観したり。閉経というワードもネガティブなイメージが先行していた気がします。でも生理があるうちはホルモンに振り回されてPMSに苦しんだり、冷えやむくみに悩んだりしたけれど、閉経して更年期を過ぎれば全部フリーになるんです。それって人生の第2ステージと言えませんか?ホルモンバランスから解放されて晴れ晴れとした新しい局面を迎えられるはずです。何事も諦めずにマイ美学を見つけつつ、どんどん楽しんで生きたいですね。
<TOP画像>ジレ¥49,500 パンツ¥36,300(ともにyori)中のトップス、ピアス(ともにスタイリスト私物)<末尾画像>ワンピース、ピアス(ともにスタイリスト私物)
撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/黒田啓蔵(Iris) スタイリスト/青木宏予 取材/柏崎恵理 撮影協力/レーナ・マリアSPA 青山本店 ※情報は2023年6月号掲載時のものです。
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