今この界隈が熱い! STORY世代が「ボーイズ・ラブにハマる理由」多彩な魅力を放つ作品たちを熱量たっぷりで語ります
実は、 STORY読者の母娘にもファンが多いBL作品。漫画はもちろん、最近はドラマにハマる人も続出しています。BL作品はなぜそんなに人気なの?──その秘密を探るべく、BLを愛する4人が集結!本誌ライターT&娘I、BLドラマフリークのアラサーKさん、そしてBLデビューで“即沼落ち”した新人編集Aが、それぞれの本音を語りつくしました。「BLで心も体もととのう」というパワーワードまで飛び出したトークには、思わず共感してしまう人気の理由が隠されています。

今回の熱い座談会。参加者は?

生粋の漫画好き。小3で出合った『日出処の天子』から沼落ち。BLコミック実写化の妄想を脳内で繰り広げるオタク歴37年のママライター・T。

女子校は腐女子のオアシスと語る、オタク歴4年の女子高生・Iさん。

好きなバンドの同人作品から始まり、今はBLドラマを観ることがナイトルーティーン。関連の仕事にも携わる、オタク歴20年のクリエイティブ ディレクター・Kさん。

光文社の新人研修で出合った『能美先輩の弁明』から沼落ち。オタク歴半年の本誌新人編集・A
実は純文学か!?心の機微を描くBL漫画の魅力
T:昔から読んでいましたが、最近特にのめり込んでいますね。自分自身を恋愛に当てこむ時期が過ぎてしまったから?(笑) 普通の恋愛ものでは満たされない、カラッカラな心を潤してくれて、抗えないシチュエーションに胸を震わせてくれるのは、BL作品。なんだかんだ母娘で話し始めたのは、ドラマを一緒に観始めた最近なんですけれども。
I:中高一貫の女子校に入ったら、周りには漫画好きばかり。BL好きの子も多く、なんとなく読み始めたらハマっちゃいました。でも父に「腐女子ってなんだよ、それ」って言われてからは、あまり家では話さないようにしています。
A:男子には白い目で見られちゃいますよね(笑)
I:この前職員室に入ったら、目の前に誰かの没収されたBL漫画が積まれてて(気まずい〜)って。年配の男性教師もいるのに。
一同大爆笑
I:ほとんどの子たちがコソコソしていないとダメだし、親にバレたら恥ずかしいって気持ちもあるみたいなんですけれど、うちは母がオープンなので助かってます。
K:確かに今までは隠すべきことだったのかもしれないけど、BLドラマがここまで増えた最近の風潮からみて、好きを公言しやすくなった気がします。趣味を聞かれたら「BLドラマを観ること」って普通に答えちゃう(笑)。私はどちらかというとBLドラマのオタクなので、ドラマを観てから原作を読むことがほとんどですが、『高良くんと天城くん』は全巻購入して未だに読み返しますし、『美しい彼』も原作小説・漫画ともに素晴らしい作品でした。こんなに神聖で、美しい物語があるのかと。


A:私も読みました!『流浪の月』でも話題になった、凪良ゆうさんが原作なんですよね。思春期ならではの心の機微が細やかに描かれていて、文学作品としても推せます。
K:実は“ヒエラルキーが高い男子が受け”、そんな受けが攻めに夢中になってしまう、というギャップもよかったです。
T:純文学に近い、細かな感情表現がBL作品にはあるって思っていて。性別や年齢といった境界を越えて結ばれる、その想いに心を動かされます。ちなみに、ピュアな高校生作品だと、『消えた初恋』や『未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~』も好きです!
A:大学生作品だけど、私は『能美先輩の弁明』も好き。お顔がタイプ!と思って読み始めたんですけど、超強気クール後輩×ゆるクズ先輩という構図が最高で、二人の会話にときめきが止まりません…。

T:年下から攻める系もたまらないですね。『みなと商事コインランドリー』はガンガン攻める系男子高校生。しかも一途っていうのも最高!
I:『パーフェクトプロポーズ』もそうでしたね。子どもの頃に交わした結婚の約束がきっかけで、イケメン年下幼馴染が攻める。しかも相手はわんこ系リーマン!


T:『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』同様、お仕事系でいうなら、イチオシは『40までにしたい10のこと』!主人公に共感しまくりました。それと、『今日、何食べる?』も外せません。ヒューマンドラマ系にグッときます。漫画を読んでいると、つい自分の中で映像化しちゃうんです。本当に実写化されることも多いから、先見の明があるのではないかと自負してます(笑)

大豊作のドラマに、老若腐女子は大興奮!
A:最近のドラマだと、「40までにしたい10のこと」の庄司浩平さんの声にくらくらしちゃいました。こんな素敵な人、どこにいたのでしょう!?
T:風間くんも素晴らしい演技でしたね…泣きましたし。あんな可愛い40代います?あまりにハマって、インスタのストーリーズでドラマ仲間を探したら、かなり反響あったんです。いろんな性別・世代の人が観ていて、ファン層の幅広さに改めてびっくりしました!
K:劇場版の『美しい彼』で私も同じことを感じました。映画館に来ているファン層の広さに圧巻!私は作品が好きすぎた結果、映画館で30回ほど観ることになったんですけど(笑)、何回観ても毎度新しい発見があって。丁寧に大切に作りあげられていて、考察のしがいもあるから、また観たいという気持ちになっちゃうし、何より観るとサウナの後みたいに心が整うんです。だから仕事がありえないくらい順調でしたし、帰り道に男性から声をかけられることもあったくらい。満たされていて、確実に身も心も整っていました


T:丁寧に作られてますよね。デリケートな題材でもあるから、ドラマで描くときには、キャラクターの背景や物語を深掘りするのか。役者さんの演技に深みが増す感じもします。
K:最近はBLドラマが”若手俳優の登竜門”と言われるくらいですもんね。細かく作りあげていくからこそなのか、BLドラマに出演するとその俳優さんの演技力がさらに上がる気がします。『スメルズ ライク グリーン スピリット』は演技の部分含め、久しぶりに引き込まれた作品です。思春期男子特有の悩みや葛藤を交えていて、恋愛がメインではないからこそ、他とはちょっと違うというか。美しい友情と絆、友情の中に芽生える愛、様々な人間模様が描かれていて、どの世代でも考えさせられるものがあるんじゃないかと思える深い作品でした。制作している方々の作品へのリスペクトや愛も感じられて、とにかく満足感がすごかった!
I:私は『タカラのびいどろ』でドラマデビューしたんです!岩瀬くんも小西くんもカッコよすぎました。同級生にもBLドラマ好きが多いから、おすすめを教えてもらって観ています。それと『パーフェクトプロポーズ』は初めて課金して観たドラマ。少ないお小遣いを出して…(笑)。でも今は観たいドラマがあるときは母に相談できるから、一緒に推し活できてめっちゃ楽なんです!
K:そんな貴重なお小遣いで(泣)、エピソード含めて尊い!個人的に思うのは、BL作品の登場人物には悪い人が一人もいないなと。だから安心して観ていられるし、あたたかい気持ちにもなれる。『みなしょー(みなと商事コインランドリー)』は特にそういう要素が詰まっていて、未だに熱いファンが多い印象です。


A:実は私、昔からアイドルオタクなんですけど、BLドラマを観ているときに「これってシンメ※みたいなもの?」って思う瞬間があるんです。二人の関係値を勝手に想像してドキドキしちゃうあの感じ…。
※ステージ上で左右対称の位置で踊ることが多い二人組のこと。そこから派生して、ペアとして愛される二人を指すこともある。
T:私が好きなK-POPでもあるあるです。「推しの横に女は要らん!」って思っちゃう。だからBL観ていると、妙に安心するというか、落ち着くんですよね。
A:わかります!私、TikTokで流れてきたドラマの切り抜きから、タイプの俳優さんを発掘することが多いんですけど、横にヒロインがいるとモヤっとするときがあって…。BLは純粋にイケメンに集中できるので、推し活がストレスフリーになりますよね。
K:BLってノイズが少ないですよね。恋愛ストーリーとしては従来の男女の恋愛ドラマとそんなに変わりはないけど、それが男性同士になるだけで見え方が180°変わって新鮮だし、尊くも美しくもなる。自分に置き換えることも入り込むこともできない2人だけの世界だから、より作品に集中できるのも魅力なのかも。あと、全体的に“両片想い”という構図が多い気がするんですけど、そこにもどかしく思いつつもキュンキュンさせられている気がする(笑)。BLからしか得られない栄養って言語化するとこういうことなのかも!(笑)
A:萌えますね!もう、ただひたすらイケメン同士にイチャイチャしてほしい!って思ってます(笑)
これから始まるBLドラマで、注目している作品は?
T:話が尽きませんが(笑)これから観られるBLドラマでおすすめってありますか?
I:『修学旅行で仲良くないグループに入りました』は俳優さんも素敵だし、話もめちゃくちゃ面白いから絶対観てほしいです!
K:私も『修学旅行で仲良くないグループに入りました』は俳優陣に期待しかないです!去年放送されてファンから待望されていた『25時、赤坂で』と『コスメティック・プレイラバー』の続編も!特に『25時、赤坂で』は人間模様が深く描かれていて咀嚼のしがいがあったので、Season2もすごく楽しみ。
T:私は漫画で好きだった『10DANCE』がNetflixでドラマ化されるって聞いて、大興奮してます!
A:手越くんがBLに初挑戦する、『ぼくたちん家』にもドキドキします…。
まだまだ、まだまだ、BL熱は冷めやらず!
世代を超えて愛されるBL作品。特に40代女子にとっては、日々感じる煩わしさをいっとき忘れて、非日常感を味わうことのできる時間でもあるのかもしれません。純粋に作品そのものを愛するのもよし、イケメンを愛でるだけでもよし。若手俳優を”推し”として発掘するのも、ベテラン俳優の意外な一面にときめくのもよし。それぞれの楽しみ方ができるのが、BL作品の魅力でもあります。
そしてもうひとつ、社会的な視点から見ても、このジャンルには希望があると感じます。多様性が尊重される今の時代、「BLが好き」と公言することも、BLにピンとこないことも、また何らかのマイノリティであることも、すべてが個人の自由。互いを受け入れ合える、やさしい社会のかたちが、BLの中に垣間見える気がするのです。(あくまでBL好きライターの個人的な思いですが)
もしかしたら、BL作品は思春期の母娘の関係性を少しやわらげる、そんな役割だって担っちゃうかも?
さまざまな希望に満ちたBL作品から、これからも目が離せません!
取材/竹永久美子