50歳レス妻に“女”を取り戻させてくれたのは教習所講師だった【セックスレス AND THE CITY -女たちの告白-】
日本では、半数以上の夫婦が陥っているといわれるセックスレス。双方が納得していれば問題はありませんが、なかには「納得していたけれど突然寂しくなった」というケースも。電機メーカー勤務の波子さん(50歳、仮名)は、IT企業勤務の夫・翔平さん(53歳、仮名)と15年近く性交渉なし。2人の息子が親離れしていく時期を迎え、急に寂しさを感じ始めました。
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■レスも気にならないほど多忙だった年子男児育て

波子さんと翔平さんは、社会人になってから通い始めた大学院の同級生。20代後半に出会い、30歳で結婚しました。
「30代前半から半ばにかけて、実質年子で2学年差の2人の男の子を出産して、都内に新築マンションを購入しました。ブランド地域ではないとはいえ、我々には背伸びした買い物。ローンを返すために夫婦二人三脚で忙しく働き、子育てしてきました」。
次男が誕生して数年後に、完全なセックスレスになったといいます。
「30代後半でプレ更年期を迎えていましたし、『セックスレスでも別によくない?』と思っていました。もちろん夫がしたいというのなら話し合ったと思いますが、夫側ももう完全に家族モードで、誘われることもありませんでしたね。男性と女性から『親』になったのだなと。抵抗はありませんでした」。
波子さんは、男の子2人を育てるなかで、次第に翔平さんにイラッとすることが増えたそう。
「結婚前はおおらかで男らしいと思っていた部分が、大雑把で繊細さに欠ける気がしてしまい、ケンカが増えました。これで浮気疑惑でもあれば離婚に発展したんでしょうけど、私に見えるところではそんなこともなく、『ローンを返し息子を育てるチーム』だと思えば、ケンカしながらもなんとかやっていくことができました」。
■息子の親離れで、急に寂しくなる

波子さんは、「顔は自分に似ている」という長男と次男を、目に入れても痛くないほどかわいがって育ててきました。
「息子2人も甘えん坊で、10歳まではいつも体のどこかがくっついている感覚がありました。『触れ合いで幸せホルモンが分泌される』という話を聞いたことがありますが、確かに当時は充足感がありましたね。夫も息子をかわいがりましたが、割と体育会系ですぐ外遊びでケガをさせるので、そんなところで揉めていました」。
大切に育ててきた息子も大学生と高校生になり、母親と出かけることを嫌がるように。
「面と向かって『かったるい、めんどくさい』とか言われれば言い返せるんですけど、うちの子は変に優しいので『今日はお腹が痛いから買い物に行きたくない』とか、明らかな嘘をついて親離れしようとしてくるんです。余計に傷ついて切なくなります」。
昔のように息子を抱きしめることもなくなり、急に「私は女としてこのまま終わっていくのだろうか」と不安になったといいます。
■夫は誘いたくないし、推し活も面倒
「とはいえ、です。今さら夫に『セックスしよう』なんて言うくらいなら、一生レスのほうがよっぽどマシです」。
翔平さんの大雑把さが嫌になってから、美点だったたくましさも苦手になってしまったんだとか。
「趣味でつけたムダな筋肉とか濃い体毛とか、お互いさまの加齢臭とか。昔は好きだったことが、生理的に受けつけなくなりました。じゃあ嫌いか?と言われると、パートナーであり相棒なので、そういうわけでもないんです。私が夫に小言を言うと『おふくろかよ』と言われるので、きっと向こうも同じなんだと思います」。
そこで波子さんが試みたのが、推し活です。
「息子と私の好きなバンドのボーカルがイケメンなので、息子とのコミュニケーションもかねてライブに行ってみたんです。楽しかったし、上の息子は反抗期を抜けたのか、それともお小遣いがほしいのか付き合ってくれましたけど……。『推す』気持ちにはなれませんでした。だって存在が遠すぎますし、曲が好きなアーティストに限って若いんです。もう息子の友人のイケメンくんにしか見えなくて」。
■ペーパードライバー講習で推しを発見

推し活をあきらめたころ、波子さんの母親が転倒して足を骨折し、入院。
「推し活とか女としてとか言っている場合じゃなくなって。今はタクシーを使っていますが送迎をしてあげたくて、慌ててペーパードライバー講習を受けることになりました」。
そこで出会ったのが、30代後半の講師・明さん。
「私史上、一番イケメンだった元カレに似ていて、初対面でドキッとしてしまいました。顔の小さなモデル体型や、ユニセックスな顔立ちなのに低い声がそっくり! 急に女性ホルモンが出たみたいな高揚感があって、2回目からは、さりげなくおしゃれなナチュラルメイクを研究して、ボディソープを加齢臭対策のものに変えるくらい『女性としての自覚』が戻ってきました」。
明さんには妻子がいて、5歳の男の子の子育てについてよく相談されるそう。
「あくまで推し活なので、妻子がいても悲しくありません。むしろ『優しい子育てをしているんだろうな』『奥さん美人なのかな? 韓国ドラマみたいな美男美女なら素敵だな』なんて想像が膨らみます。嫉妬がゼロといえば嘘になりますが、不倫願望は、向こうがそんな空気ゼロなので、私もないです」。
あくまで目の保養感覚で、イケメン講師との時間を楽しんでいる波子さん。
「ペーパードライバー講習が終わったら、ギターとか和太鼓とか楽器を始めてみたいです。マンツーマンで講師を選べる習い事がいいですね! アイドル推し活と変わらない動機だと思いますが、興味のある技能も身につくので、一石二鳥じゃないかなと思っています」。
※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。
取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA
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