『私の夫と結婚して』小芝風花さん「パートナーは“面白い”の感覚を共有できる人」

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NHK大河ドラマ『べらぼう』での熱演が記憶に新しい、俳優の小芝風花さん。10代でデビューし、主演作も多数。若くして実力派としての地位を確立していますが、以前は、葛藤や焦りを感じた時期もあったと話します。28歳を迎え、現場では後輩も増えている今。先輩の立場で意識していることや、変化しつつある仕事観について聞きました。

自分らしさは模索中。強いて言えば、しょうもないことで笑うのが自分らしさかな

現場では年下世代が相談しやすい環境を作っていきたい

これまでの俳優人生で転機になった作品はたくさんありますが、『べらぼう』もそのひとつ。「演じられて良かった」と心から思える役でしたし、「大河を観て好きになりました」と特に女性から声をかけていただくことも増えて、とてもうれしかったです。蔦重のひとことでジェットコースターのように気分が変わる役柄でもあったので、感情の機微を細やかに演じることに重きを置いていたのですが、視聴者の方が毎回気付いて反応してくださったのも原動力になりました。こだわって役に向き合えば、ちゃんと届くことを改めて実感でき、これからも妥協せずに役の感情を表現していきたい、と目指すべき俳優像がより明確になった作品でした。20代後半になり、現場では、年下世代が増えています。自分は「私についてきて!」というタイプではないですが、主演をやらせていただくときは、笑い声が響く現場にしたい。どうしてもスケジュールがハードになってしまうからこそ、雰囲気が良くて、みんなが楽しく働ける場所を作りたいです。年下世代も居心地よくいられて、相談しやすい環境にしたいので、率先して喋りかけることも心掛けています。最近は、「このシーン、どうしたらいいと思いますか?」とか「今のお芝居で大丈夫ですかね?」と相談してくれるケースも多々あります。アドバイスを求められた際に意識しているのは、自分の意見を押し付けないこと。「あくまでいち意見として聞いてね」というスタンスで伝えます。私が言えるのは、数ある選択肢の中のひとつでしかないけれど、真剣に学ぼうとしている姿勢には寄り添いたいと思っています。

作品に恵まれず
もがいていた時期は自己否定ばかりしていました

20代前半の頃は、同世代の方と比べたり、「あの役を演じたかった」「この作品に出たかった」と悩んだ時期もありました。自分の足りない部分を考えても答えがないから、どうしていいか分からない感じでしたね。未だに正解は見つからないけれど、続けてきて思うのは、ひとつひとつ丁寧に向き合っていたら、見てくれている人はいる、ということ。手を抜いていたら抜いていたなりの未来があっただろうし、一生懸命続けてきたから繋がっているご縁もあります。プレッシャーのかかる主演やチャレンジングな役は、もがいた経験がなければ、全うできなかったかもしれない。最近になってようやく、苦労した時間は無駄じゃなかったと思えるようになってきました。

ドラマ『私の夫と結婚して』では、“自分らしい生き方”を模索する美紗を演じます。私にとって“自分らしさ”は宇宙並みに答えが出ないもの。こうやって話している自分も取り繕っているわけじゃないけれど、家族といるときとは全然違う。強いて言えば、笑い上戸なので、しょうもないことでケラケラ笑っているのが自分らしさかも(笑)。それは理想のパートナー像にも通じる部分で、一緒にいたいのは「この人といるとずっと笑ってるな」と感じる人。ドキドキ感は時間と共に薄れていくかもしれないから、“面白い”の感覚を共有できた方が、より良好な関係を築いていけるのかな、と思います。

【取】
体からの危険信号に、ちゃんと向き合うようになりました

昔はちょっと疲れても睡眠を取れば回復していましたが、ここ1、2年で疲労が蓄積されていくのを実感。心身ともに健康でないといい仕事ができないし、ゆとりがなくなると周りに優しくできなくなったりもするから、体の危険信号を無視せず、向き合っています。それまでは目の前のことに追われて、自分の体調は後回しだったし、痛みに鈍感な方なので、赤信号レベルのサインが出るまで自覚できないこともありました。今は、鍼に通ったり、ストレッチで体をほぐしたり、意識的にケアする時間を作っています。心の栄養も大事なので、食事で自分にご褒美をあげる日も。好きなのは、ポテトフライ。揚げ物で大体機嫌が取れます(笑)。

【捨】
我慢しなきゃいけない人付き合いをやめたらストレスフリーに

『私の夫と結婚して』で演じる美紗にもリンクしますが、違和感や引っ掛かりのある関係性からは距離を置いて、私のことを大切に想ってくれる人を大事にしたいと考えるようになりました。昔は人に嫌われるのが怖かったから、攻撃的な相手にもいい顔をしたり、無理して合わせたりしたこともありましたが、そういう人たちにまで好かれる必要はないな、と気付いて、だいぶ楽になりました。急に会わないようにするとか、素っ気ない態度を取るのではなくて、自分の平穏が保てる心の距離感を意識して接することができたら、一番いいのかなと思っています。

編み物に没頭する時間が一番のリフレッシュです
高校生の頃に母に教わって始めた編み物。最近、友人に「教えてほしい」と頼まれたことがきっかけで、私もブームが再燃。100円ショップで毛糸を探して、撮影の待ち時間や移動中にトートバッグや帽子を編んでいます。作品に入っている時期は、つい仕事脳になってしまいますが、編み物中は編み目を数えることに全集中。気持ちをリセットできるのも好きなところです。

小芝風花さん/FUKA KOSHIBA
1997年生まれ。大阪府出身。2011年、「ガールズオーディション2011」でグランプリを受賞。翌年、俳優デビュー。2014年には、『魔女の宅急便』で映画初主演を果たし、第57回ブルーリボン賞新人女優賞、第24回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。主な代表作は、NHK連続テレビ小説『あさが来た』、NHK『トクサツガガガ』、テレビ朝日『波よ聞いてくれ』など。NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では、伝説の花魁を演じ、幅広い層から注目を集めた。6月27日より世界同時独占配信中のAmazon Originalドラマ『私の夫と結婚して』では、佐藤健さんとW主演。夫と親友の裏切りにより命を落とし、二度目の人生で復讐を決意する、神戸美紗を演じる。

【衣装クレジット】ジャケット¥88,000スカート¥55,000(ともにガニー/ガニー 渋谷パルコ)シルバーイヤカフ¥36,300チェーンネックレス¥41,800(ともにプリュイ/プリュイ トウキョウ)ゴールドイヤカフ¥33,000ボールネックレス¥28,600(ともにリューク)バングル¥36,300右手のリング¥30,800左手のリング¥28,600(すべてレム)

撮影/佐藤航嗣(UM) ヘアメイク/青山佑綺子(BOND) スタイリング/小川未久 取材/坂本結香 編集/越知恭子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2025年8月号「私たちの取捨選択」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。