“クズ男”役で話題の中島歩さん(36)「まったく共感はできません(笑)」【ドラマ『愛の、がっこう。』裏話】
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朝ドラ『あんぱん』で、ヒロインの夫・若松次郎役を演じ、その優しい好青年ぶりが話題となった中島歩さん(36)。劇中で、命を落とすと、SNSを中心に“次郎さんロス”に陥る人が続出しました。しかし、放送中のドラマ『愛の、がっこう。』では、そのイメージが一転。主人公と婚約しておきながら、裏では別の女性と二股をするという、クセのあるキャラクター、川原洋二を好演しています。お世辞にも好青年とはいえない川原を演じるにあたり、中島さんはどんな思いで現場に臨んでいるのでしょうか。俳優という仕事に対するスタンスも含めて、語ってくださいました。
Profile
1988年10月7日生まれ。宮城県出身。大学在学中からモデルとして活躍し、2013年に舞台『黒蜥蜴』で俳優デビュー。2014年、『花子とアン』で朝ドラ初出演。2019年には、中国映画『サタデー・フィクション』で海外進出を果たし、さまざまな作品で独特の存在感を放っている。
“クズ男”と話題のキャラクターにも「お茶目さを感じてもらえたら」
――ドラマ『愛の、がっこう。』で演じられている川原洋二は、二股をしているかと思いきや、急にストーカー化したり、クセの強い人物ですが、どんなことを意識して役作りをしていますか?
演出の西谷(弘)さんともお話ししたんですが、川原が“ただの怪物”に見えてしまったら大失敗だと思うんです。意味もなく人を傷つけるようなキャラクターだったら、見ている人が興味をなくしてしまうじゃないですか。だから、1人の人間として説得力を持たせることを意識しています。川原の言動の裏には、彼なりの理由がちゃんとあるんだと、伝わっていたらうれしいです。
――たしかに、川原のことを「クズ男だな……!」と思う反面、なぜか憎めない雰囲気も感じます。
実は、西谷さんからも「滑稽で可愛らしく見せてほしい」とオーダーをいただいていて。ドリンクバーでコーヒーを溢れさせたり、ベッドで寝ながら柿ピーを食べていたりするシーンも、その一環です。かわいこぶった演技をしているわけではないですが、愛嬌やお茶目さを感じてもらえたらと思っています。
共感できないセリフにも、説得力を持たせるのが俳優の仕事

――そんな絶妙な川原のキャラクターは、すぐに掴めましたか?
正直、僕には“キャラクターを掴む”っていう感覚がわからないんです。その役のイデオロギーは、受け入れるしかないというか。役に共感できないから、演じにくいということもないですし。人を傷付けたり裏切ったり、自分では絶対にしないような言動でも、説得力を与えるのが、俳優の仕事だと思っています。
――なるほど。ちなみに、中島さんご自身としては、川原に対してどんな印象を持っていますか?
彼は、学歴主義の被害者なので、可哀想だなと思う部分もあります。でもやっぱり、変わってる人ですよね。第2話で、「2人同時に付き合わないと燃えないでしょ。彼女(※主人公の愛実)を幸せにするためにも君(※浮気相手の雪乃)が必要だし、君と付き合うためには妻という女が必要なんだ」というセリフがあるですけど、僕にはぜんぜん意味がわからなかったです(笑)。
ただやっぱり、僕自身の気持ちは、役を演じるうえでは関係ありません。どれだけ理解しがたいセリフであっても、僕が演じるその人は本気でそう思っているわけですから。とにかく熱心に伝えて、心の底から理解してもらおうとするだけです。
大好きな『白い巨塔』の西谷弘×井上由美子タッグに「出演できたことがうれしい」
――作品全体のお話もお伺いします。中島さんが思う、本作の魅力はどんなところにありますか?
まずは、西谷さんの演出が素晴らしいですよね。第1話を見たとき、タイトルバックまでの流れが完璧だと思いました。登場人物のイントロダクションをしたうえで、これからどんな話が始まるのか、期待を高めるような描き方だったので。その後、愛実とカヲルが屋上で話すシーンでは、2人のやり取りにたっぷりと時間を使う大胆さもあって、本当にすごいなと思いました。
それから、脚本の井上由美子さんが書くセリフも魅力的なんです。先ほど挙げた川原のセリフも印象的ですし、僕自身は、夏希の「学校も親も、適当すぎるんだよ。褒めておけば私が思い通りになると思ってる」「カヲルは違う。私のことバカって言ってくれた」という言葉が、すごく刺さりましたね。人間のワイルドさを受け入れて生きているカヲルの言葉が、お嬢様学校に通う夏希には、すごく響いたんだろうなと思います。
――たしかに、この演出と脚本の組み合わせは、すごく贅沢ですよね。
僕は、西谷さんと井上さんがタッグを組んでいた『白い巨塔』が大好きだったので、この作品に出られて本当にうれしいんです。台本を読みながら、これからどんな展開や結末が待ち受けているのか、予想がつかずにワクワクしています。現場でも、西谷さんやスタッフのみなさんのアイデアと、僕たち俳優部のアイデアが重なり合って膨らんでいく過程がすごく楽しくて。充実した時間を過ごせています。
リフレッシュ方法は「瞑想」。自分の心と向き合ってメンタルヘルスを保っている

――話題作への出演が続く中島さんですが、忙しい日々の合間に、どうやってリフレッシュをしていますか?
お風呂上がりに、寝そべりながら瞑想をしています。楽しかったことも腹が立ったことも、客観的に振り返って、自分の心の状態にアクセスすることが、リフレッシュにつながっている気がします。もう3年くらい続けている習慣ですね。
――瞑想を始めてから、何かいい影響はありましたか?
まず、メンタルを整えることができるようになりました。それから、視野が広がって周りに気を配れるようになったり、自分の体の感覚が研ぎ澄まされたりするので、芝居にもすごく役立っていますね。新しいアイデアも、どんどん湧いてくるようになりました。自分の心の状態を理解しておくことは、とても大切だと思うし、訓練次第で誰にでもできるので、瞑想はおすすめのリフレッシュ方法です。
information
中島さんが出演する『愛の、がっこう。』は、フジテレビ系にて、毎週木曜22:00〜放送中。高校教師の愛実(木村文乃)は、生徒を迎えに行った夜の歌舞伎町で、カヲル(ラウール)というホストと出会う。まったく違う世界で生きてきた2人だったが、愛実がカヲルに文字を教えることで、少しずつ距離が近付いていく。
撮影/新道トモカ 取材/近藤世菜 編集/越知恭子