大草直子さん「VERYは“ママ”というドレスコードをオシャレにしてくれた」

白のタンクトップとデニムに白のジャケットを肩掛けした大草直子さん

“ママ=オシャレを諦める”はもう過去の話。自分らしく着ること、生きることを後押ししてくれるファッションの力。今回は、大草直子さんが語る「VERY」が切り開いた、“ママ”というドレスコードを自由に、スタイリッシュに変えてきた軌跡に迫ります。

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VERYは、“ママ”という
ドレスコードを、オシャレにしてくれた

ファッションエディター/スタイリスト 大草直子さん

創刊時は「主婦雑誌に服なんて貸せない
と言われたこともあったけれど…

長男が3歳だった2008年、初めてスタイリストとしてVERYに参加しました。前編集長の今尾朝子さんが、「女性をもっと自由に楽にしたい」とおっしゃったのを覚えています。VERY初登場時の肩書は、ママスタイリスト。職業の前の“ママ”という枕詞が周囲へのエクスキューズのように思えてしまい、当初は困惑したのが正直な気持ちです。それまで仕事では子どもをダシにしたことはなかったし、ましてやママであることが仕事の邪魔になることも貢献することもないと思っていたから。けれどVERYでスタイリングをするうえでは、ママとしての経験がすべて活きていました。天然素材は洗えるからリネンもカシミアも乳幼児期に最適なこと、3cmヒールならギリギリ走れること、スニーカーが相棒になり得ること。ママである人生が、ファッションの引き出しを増やしてくれたのです。VERYが一貫して発信していたのはきっと、女性たちがプライベートとオフィシャルをどこでどうスイッチしてもいいという自由な生き方の提案。読者からの嬉しい声が私の元へ届き始めたとき、“ママスタイリスト”というカテゴライズがその風穴を開けられたのかもしれないと思えました。

白のタンクトップとダメージデニムに白のジャケットを肩掛けした大草直子さん

信じられないかもしれないけれど十数年前はまだ、ママがオシャレをしてはいけない、ママがオシャレをするのはうつつを抜かすことだとされる時代感でした。けれど、オシャレを諦めなければならないはずがない。その思いを牽引してくれたのがVERYであり、“ママ”というドレスコードをオシャレにしたのもVERYだと思います。HYDEE.Bはママチャリをカッコイイ存在へと押し上げ、お母さんは記憶に残らない服を着るべきだという固定観念を払拭した。ママでいることはダサくないし、真面目すぎもしないし、つまらなくないし、人生がストップすることでもない。ファッションを通して、そんな当たり前のことを伝え続けてくれたからこそ、ママたちが息をしやすい世の中になったのだと思います。

PROFILE

1972年生まれ、東京都出身。大学卒業後、現・ハースト婦人画報社へ入社。雑誌『ヴァンテーヌ』の編集に携わった後、独立。自身のメディア「AMARC」での編集長、スタイリスト、執筆業など、枠にとらわれずにファッションを発信し続けている。3児の母。近著に『見て触って向き合って 自分らしく 着る 生きる』(マガジンハウス刊)がある。

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撮影/玉村敬太〈TABUN〉 ヘア・メイク/MAKI 取材・文/藤井そのこ 編集/太田彩子
*VERY2025年7月号「大特集・インタビュー」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。