青木裕子さん「本が読めない!育児中ママにこそすすめたい爆笑エッセイ」【新連載】
撮影/金 玖美
VERYモデル青木裕子さんによる、本にまつわるエッセイが今月からスタート! 読書好きの青木さんに今、読みたい本、子どもと読みたい本をお聞きします。「忙しくて本を読む時間がない!」、そんな人にこそすすめたい一冊は?
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今月の一冊
忙しくて本を読む時間がない! そんなときこそ読みたい本は?
バタバタな新学期におすすめは
「壮絶なのにとにかく笑える」エッセイ
4月ってなんでこんなに忙しいんだろう。入学や引っ越しで新生活が始まる人は特に、そうじゃなくても、慌ただしいです。新学期が始まったら学校に提出する書類を忘れないようにしなくちゃとか(長男はアレルギーに関して病院の先生に書いてもらう用紙があるのですが、アレルギー外来が週に1回しか開かないから早めに予約を入れないと提出期限に間に合わなくなってしまうんです)、学年が変わってちょっとずつズレる習い事の時間を調節しなくちゃ(学年が上がるとどんどん遅くなる習い事の時間に夕飯の時間が左右されるし、何とかうまくいっていたきょうだいの送迎がどう頑張っても無理になってしまうことに気づいて愕然としました)とか。花粉症でボーッとする頭をフル回転させて、モレがないように細心の注意を払う日々です。
撮影/川﨑一貴〈ajoite〉
ということで、こんな時期の読書時間は、現実から離れてほっと一息つけるお楽しみ時間であってほしいというのが私の個人的な思いです。読みたいのは、すらすら読めて、笑えて、心が安らぐ本! 今回ご紹介する、にしおかすみこ著『ポンコツ一家』はまさにそんな本です。現在までに、「1年目」「2年目」とシリーズ2冊が刊行されていて、特に私は2年目のほうが好き。テンポのいい文章は小気味よく、クスリと、時にガハハと笑わせてくれます。冒頭から口は悪いし、壮絶な状況なのに、まったくいやな気分にならないのは、筆者の筆力とそして全編通して存在する家族愛ゆえだと感じます。
いろいろあるけどさ……
と前を向けた本
例えば「2年目」の冒頭。母親と姉を歯医者に連れて行ったというエピソードでは、か み合いそうでかみ合わない会話に思わず笑ってしまいます。〈「お姉ちゃん、大きくあーん。い つもウチで歌うときの口だよ」と言ったら、ハミングの口になる。なぜ鼻歌のほう。反抗期 か〉なんて具合いにさえわたる筆者のツッコミ。その一方で、母親と姉の後ろ姿を見ながら、その景色が好きだと書く筆者からは、深い家族愛が感じられます。さらに私が気に入っているの が、〈なんにもスムーズに進められないけど、悪い日ではない〉という結びです。できないことばかりに目が行ってしまいがちな自分の毎日を反省し、「私も前を向こう!」なんて気持ち に……。ほんの10ページほどのエピソードなのに、笑って、ほっこりして、元気をもらえます。日々、その大小にかかわりなくさまざまな問題に直面している私たち。「でもさ、いろいろあるけど、大切なのは愛だよね、愛」なんて、読んだ後にはちょっぴり気持ちが軽くなるかもしれません。何かと忙しい4月に、『ポンコツ一家』ぜひ読んでみてくださいね。
撮影/須藤敬一
『ポンコツ一家2年目』
(にしおかすみこ 著/講談社)
にしおかすみこさんによる、笑って泣ける家族との日々を描くエッセイの第2弾。母、81歳、認知症&糖尿病。姉、48歳、ダウン症。父、82歳、酔っぱらい。そして私、47歳、元SMの女王様キャラで「エンタの神様」でブレイクした一発屋芸人……。「壮絶だけど笑って泣ける」家族のリアルな物語がさらにパワーアップ!
【絵本・児童書】子どもの本のおすすめは?
「親子で読みたい手塚治虫作品」
六本木ヒルズ森タワーにて開催中の「火の鳥展」に次男と一緒に行きました。そこで見つけたのが『火の鳥』の絵本。「生きるってどういうこと?」と、大切なことを語り掛けてくれる美しい絵本です。ちなみに、我が家には、『火の鳥』『ブッダ』『ブラック・ジャック』のコミックがそろっています。私自身は子どものころに手塚治虫作品に親しんだわけではないのですが、今になって息子たちと一緒に名作の数々を楽しみ中です。人生を豊かにしてくれる名作は世代を問わず楽しめますね。絵本を入り口にして漫画を読み始めても、漫画を読んだ後に絵本の世界を味わっても。『火の鳥』との出会いは、親子で共有できる宝物のような経験になるかもしれません。(※「火の鳥展」は六本木ヒルズ森タワーで5月25日(日)まで開催予定)
『火の鳥 いのちの物語』
(手塚治虫 原作、鈴木まもる 文・絵/金の星社 )
手塚治虫の『火の鳥』が初の絵本化! 子ども時代から手塚作品に憧れてきた人気絵本作家が命の尊さを鮮やかに描く本。
最近の青木さんは?
息子たちは新学期! 実は冷蔵庫でクリオネを飼っています……。




青木裕子さん
VERYモデル。小学生2人の男の子の母。「本は紙で読む派」で、忙しい日々のなか自宅やお子さんの学校近くの書店に立ち寄るのが楽しみだとか。
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