国生さゆりさん(58)「更年期は、意識しすぎないことでふんわりと乗り越えられました」

経験を重ねることで気づきがあるのが人生。それを軽やかに示してくれるのが国生さゆりさん。自分が本当に好きなものを探し続けたことが、更年期を健やかに過ごす助けになってくれました。
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国生さゆりさんprofile
1966年12月22日、58歳・タレント。鹿児島県生まれ。1985年にデビュー、1986年には「バレンタイン・キッス」でCDデビュー。その後、歌手・俳優として幅広く活躍中。2020年から執筆活動を開始。
「過ぎて分かる」くらいがちょうどいい
「暑いな」「すごく汗をかくなあ」と思っていたのが50代前半。今思えば、あれが更年期症状の始まりでした。でもそのころは更年期についてよく分かっていなかったので、友達と話している時に「それってホットフラッシュじゃない?」と言われて初めて自覚した感じ(笑)なのですが、心拍数がひどく高い時が出てきて、明らかにおかしいなと思い始めました。
根が心配性なので仕事に対しての緊張や不安なのかなと思いつつ、一応内科なども受診しましたが異常はなく、わらにもすがる思いで「救心」を飲んだりしていました。
今50代前半を振り返ると、のぼせやほてり、発汗、動悸(*1)、疲労感、指輪が入らないほど指も浮腫みましたし、強張り(*2)もありましたね。メンタル部分で言えば意欲の低下、不安、憂鬱な気分になる、などありとあらゆる症状が当てはまっていました。
でも当時はあまり意識しすぎないことで逆にふんわりと乗り越えられた気がします。月のものも徐々に不定期になっていくけれど、それも当たり前のことなのかなと思っていたので特に気にしていませんでした。でも心が平安になった今考えると、長らくちゃんと通っていたトレーニングに急に行きたくなくなったことも、サボってしまった自分を必要以上に責めて罪悪感のかたまりで辛かったことも、「更年期だったからなんだな」と腑に落ちてスッキリするんです。
【*1・動悸】
更年期の症状に意外とよく見られるのが動悸。心臓疾患の場合もあるので、もし頻繁に動悸を感じるようなら内科または循環器内科を受診して、異常がないなら婦人科を受診するのがおすすめです。
【*2・ 強張り】
急激な女性ホルモンの低下により、関節の不調を招くことも。
更年期症状のフルコースは、東洋医学や食事療法で
— 国生さゆりさんはおニャン子クラブのメンバーとしてデビュー後、確かな存在感で幅広く活躍していらっしゃいます。現在58歳と聞くと驚いてしまうほど、透明感ある肌と潤いあるロングヘア、そして何よりも弾けるような笑顔がとても魅力的です。
備えあれば憂いなしと言いますが、私の場合は事前に調べすぎなかったおかげで、その時の自分を追い詰めすぎなかったのが功を奏した気がします。
更年期は時がくれば終わります。多くの人が通る道で、そこまで恐れるものではないのではないでしょうか。自分が何をしたらご機嫌でいられるか、楽しいか、心身ともに健康でいられるかを知っていれば、人生の次のステージに向かう過渡期とも言える時期を健やかに過ごせると思います。
私の場合は食事トレーニングと漢方茶による東洋医学、ビタミン点滴やプラセンタの投与、そして友人との小旅行で乗り切っていた気がします。食事トレーニングの先生はフードトレーナーの三戸真理子さん。自分のメンタルにムラが出てきてコントロールが難しくなったのが食事を見直すキッカケでした。
毎日近所のトレーニングセンターで筋トレしていた時期に、どうしても行く気分になれない日が出てきたんです。行けない日は自分を責めて罪悪感がひどくなったり、逆に不意に高揚感が訪れる時もあって、不安定なことに悩んでいた時に三戸さんを紹介していただきました。三戸さんのもとでは、まず〝食物過敏症セミパネル〟という検査をしますが、それはどのような食品が体に合っているか、また、好みであっても消化に時間が掛かってしまい、体の負担になってしまうものを調べる検査。ちなみに私の場合は大麦、牛乳、卵白、カゼイン、イースト等々が合っていないと判明。いつも食料品を買いに行くお店に三戸さんに同行してもらい、一緒に品質表示を見てそれらの食品をなるべく摂取しないような商品を選ぶよう心がけました。毎日食べた物を撮影して指導を受けることで、だんだん体調を良好に保てる食事の仕方が分かってきました。
漢方茶は鹿児島にある「薬膳小町」さんのものを愛飲中。気血水学に基づいてさまざまな体質の人向けに「キキョ」「インキョ」「ケッキョ」などのお茶があって、レモングラスやルイボス、桑の実、陳皮などを飲みやすくブレンドしたお茶が揃っています。パワースポット巡りもメンタルケアに効果的。詳しい友人に連れられて、神社仏閣や気の良い土地をまわって、たくさんの温泉宿に泊まりました。そうしているうちに身を置く環境の大切さにも気づきましたね。
また喫茶店の楽しさを知りました。お気に入りなのは駒場東大前にある日本近代文学館の「BUNDAN」。名作から希少なものまで多くの本に囲まれた、撮影不可の店内で静かに本をめくりながら美味しい珈琲をいただく時間は何物にも代えがたい至福の時。心からリラックスできる空間に自分を置いてあげることでメンタルを整えるようにしています。
パラレルキャリアへの道が、不安から救ってくれた
— 「無理は無理と口にする」「仕事にすがらない」「待つことの大切さを知る」「上手でなくて良い」というのがモットーだと言う国生さんが50代半ばから取り組みだしたのが、小説を書くこと! 芸能の仕事以外に自己表現の軸を持つことで、これからの人生の展望が拓け、更年期にもいい影響があったと言います。
更年期を過ごしてみて感じたのは、環境を整えることの大切さ。友人との旅行やパワースポット、好きなカフェなどで気分をフラットに保つことも大事だし、理不尽に厳しいことをぶつけてくる方や、一緒にいて楽しくない方とは距離をとることも50代以降は必要ではないかと思います。環境が人を作る、と思っているので、自分らしくいられない、ストレスが溜まるだけの環境にいると自分の輪郭が歪んでしまいます。わがまま上手になることを自身に許していい年代なんじゃないでしょうか。
40代以降は仕事にすがらない、自分で自分の機嫌を取って、自分自身のために生きることが大切になってくるのではないかと思います。私は10代から芸能の仕事を一生懸命やってきましたが、この仕事は人の気分や動向に左右されがちで自分軸をキープするのが難しい。どこか他の世界でも身を立てたいし、自分が演じなくてもいいようにしたいという思いがずっとありました。でも、小説を書くという道が見つけられた時、周囲から「これってパラレルキャリアですね」と言われた時に、人からはそう見えるんだと驚いたと同時に、ようやく自分軸で進んでいける世界に出合えた気がしました。
それができたのは、多分〝孤独〟と真剣に向き合ったからではないかと感じています。いろんなことがあった40代、更年期の時期を振り返って思うのは、孤独を大事にして向き合える人が豊かな人生を作っていけるということ。孤独って漢字がちょっと暗いし、孤独という単語がつく言葉でポジティブなものは少ないけれど、孤独っていいものだと思うんです。それがないとクリエイティブなことはできないし、闇がないと新しいものも生まれないのではないでしょうか。
もともと、ある時から自分を孤独な環境に置いたからこそ、自分軸を取り戻すことができたし、人から何を言われても関係ないと思うことができましたし、コロナ禍の非常事態宣言時に、本当に家に一人きりで何もできなくなって孤独ととことん向き合った中から小説を書くという創作行為が生まれました。絵を描くことでもいい、歌でもいい、孤独を楽しむ方法を見つけられれば自分軸を持てて、人生はより深く豊かになる気がします。


〈TOP写真〉ジャケット¥42,900(ツル バイ マリコ オイカワ)ブラウス¥8,800(ルージュ・ヴィフ/アバハウスインターナショナル オンラインストア)パンツ¥26,400(カリテ/カリテ スケープ コレド日本橋店)サンダル¥47,300(プリティ・バレリーナ/F.E.N.)ピアス¥11,000(ワンエーアールバイウノアエレ/ウノアエレ ジャパン)ブレスレット¥13,200(アビステ)3連リング¥22,220リング2本セット¥21,780(ともにバルブス/ZUTTOHOLIC)〈末尾写真〉ジャケット¥9,900Tシャツ¥5,500パンツ¥7,700キャップ¥2,530スニーカー¥19,800(すべてプーマ)ピアス¥25,300(ウノアエレシルバーコレクション/ウノアエレ ジャパン)
撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/中村恵巳 スタイリスト/MaiKo yoshida 取材/柏崎恵理 撮影協力/DNPプラザ 外濠書店 ※情報は2025年4月号掲載時のものです。
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