花粉による肌荒れ。実は「乾燥」が原因かも?暖かくなった春のうるおい対策とは

温かくなりワクワクする春の訪れを感じる一方、肌は絶不調に陥るシーズンが今年も来る!!  肌の不調は深刻化する前に先手を打つことが大事。なぜこの時期揺らぐのか、乾燥と花粉の関係、タイパ、コスパのいいケア法を、日本化粧品検定代表理事の小西さやかさんに教えていただきました。

教えてくれたのは?

小西さやかさん 日本化粧品検定協会代表理事

1979年生まれ。日本化粧品検定協会代表理事、北海道文教大学 客員教授、東京農業大学 客員准教授、日本薬科大学 招聘准教授。皮膚について、成分についての正しい知識を得た上での回り道をしない、最短最適で美しくなる「なまけ美容」を提唱。化粧品の研究開発にも携わる。私生活は5歳の女の子ママ。

春先に肌が揺らぐのはなぜ?

冬場は夏に比べて湿度が低く、更にエアコンの影響もあり外気の環境で肌の乾燥を感じている人は多いと思います。肌は乾燥するとバリア機能が損なわれ、本来のうるおいが逃げやすくなることで、空気中の刺激物質が肌内部に侵入しやすくなります。そこから肌の炎症が起き、ターンオーバーが乱れ、更にバリア機能が損なわれ・・・ と負のスパイラルに。春先は、肌表面に付着し刺激する花粉、黄砂、ほこり。肌の角層内に入りこみ肌を酸化させる、PM2.5、排気ガス、タバコの煙などが大気中にまっているため、肌が揺らぎやすい状態になるのです。

また、年を重ねると女性ホルモン・エストロゲンの減少で、細胞の水分保持能が低下したり、皮脂も急激に減少。体の機能的にも、肌が乾燥しやすいことがわかっています。

乾燥(保湿)ケアはエイジングケアにも? そもそも肌が乾燥すると何が起こるの?

昨今、すべての肌悩みは炎症が理由と言われています。その炎症は乾燥から起こりやすいので、つまりは乾燥がすべての肌悩みの原因とも言えるわけです。シミは、バリア機能の低下で紫外線が肌内部に侵入し、その炎症からの刺激でメラノサイト生成が始めることでできますし、シワも炎症が起こりコラーゲンやエラスチンの分解が始まり、できてしまう。ニキビだって炎症の1つです。乾燥すればうるおいをキープする水分保持能が下がり、肌弾力の低下を、乾燥で角層が乱れれば光が乱反射してくすみにもつながります。乾燥は肌表面がガサガサする肌あれ症状ととらえている人が多いのですが、実は、エイジングの要因でもあるのです。

エイジングケアに注力したいなと考えている世代こそ乾燥ケア(保湿ケア)をし、まずは肌の土台を強化し、肌あれの負のスパイラルから抜け出すことが大切です。

STORY世代のおすすめ乾燥(保湿)ケアは?

うるおいを与えるだけでは蒸発してしまうので、自らうるおいを生み出し、キープする力を育てる必要があります。肌のうるおいを保つ成分の中には、角層細胞と、細胞と細胞の間を結ぶ細胞間脂質というものがあり、細胞間脂質の半分は、「セラミド」という成分でできています。そう、セラミドは、もともと肌に存在している保湿成分(保湿因子)なんです。他には、アミノ酸という保湿成分や、細胞の外に皮脂膜という油のラップのようなものがあり、セラミド、アミノ酸、皮脂膜で肌のバリア機能が守られています。

乾燥(保湿)ケアには、セラミドがおすすめ!?

水分は、外気が乾燥すると蒸発してしまいます。ですが、細胞間脂質は水、油、水、油のように何層にもミルフィーユ状になっているので、水分が動かず、外気が乾燥しても水分を肌内部にとどめておくことができるのです。その肌内部でとどめておくことができる(肌の中で水分を結合できる)水のことを結合水といいます。結合水を作り出すことができるのがセラミドになり、つまり、肌の中でうるおいをとどめてることができる唯一の成分がセラミドになるわけです。しかも安全性も高い成分で敏感肌の人でも刺激になりません。

「うるおいを与えるだけでなく、自らうるおいを生み出し、キープする力を育てる」乾燥ケアをするには、セラミドが必要不可欠なのです。

セラミドって化粧品で補えるの?

通常、コラーゲンやヒアルロン酸などは分子量が大きいので、塗布しても肌内部のそれらが存在している真皮までは届きません。ですが、セラミドは、肌の表面に近い角層に存在しているので、化粧品で塗布すればそのまま自らが持つセラミドと同じように働くというデータが多くとれている稀有な成分。化粧水、美容液、クリームなど与える化粧品だけではなく、洗顔、クレンジングなどの洗浄成分に配合しても、肌から水分が蒸発する量が減ると言われています。

セラミドには種類があるの?

化粧品に配合されるセラミドは、動物型、植物型、ヒト型、疑似型の4種類に分けることができます。ヒト型セラミドが肌のもつセラミドに形が似ているので、体感値が高いのですが、価格も高価。ヒト型に近いもので安価で作ったものが疑似型セラミドになり、ヒト型に近いぐらいの水分保持力を期待できると言われています。

ヒト型セラミドにも種類があり、セラミドNP(3)は、バリア機能の回復により優れているので花粉でゆらぐ人におすすめです。セラミドEOP(1)は肌の弾力に優れているのでエイジングケアにおすすめ。セラミドNG(2)は、水分をとどめる力に優れています。セラミドAP(6)は、ターンオーバーを整えてくれるので、肌のカサつきニキビができやすい人に適しています。

より効果的なアイテム選び、使用法はありますか?

1番効果実感が高いと言われるヒト型セラミドでさえ、量が少なければ効果は低くなります。化粧品の全成分表示は多い順に書いてあり、〇〇エキス、〇〇液のような成分は少量でも効果が高く、一般的に1%以下で配合します。そのため、これらの成分よりも、表示が後にくるなら1%以下で配合されている可能性が高いのです。

セラミドは上記のように油分と水分がミルフィーユ状になってできていますが、7~8割は油分。どちらかというと油原料に分類される成分なので、みずみずしいアイテムよりもクリームの方が配合量を増やしやすい特質があります。クリームや、化粧水だったらとろりとしたテクスチャーのものを選ぶのがおすすめです。

より効果的な使用法はありますか?

セラミドは食べ物(米、こんにゃく、桃、パイナップルなど)やサプリメントからも摂取できる成分。化粧品で外側から、食べ物やサプリメントで内側からケアするとより効果的です。

また、セラミド自体を塗るだけでなく、肌に存在するセラミドを増やしてくれるライスパワーNo.11、ナイアシンアミドを配合した化粧品と組み合わせるもの有効。

更に最後に、ラップ効果のあるワセリンやスクワランなどの油分系成分を配合したものでスキンケアを仕上げると理想的です。

▼小西さんおすすめのセラミドケアアイテムはこちら
肌の中でうるおいをキープできる唯一の成分【セラミド】乾燥に効くアイテム10選

 

取材/味澤彩子

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