【雅子さまと愛子さま、紀子さまと佳子さま】母と娘のお気持ちの違いは〝園遊会お着物デビュー〟の装いに表れていた
本日12月1日に23歳の御誕生日を迎えられた愛子さま。2024年の秋の園遊会が“園遊会での和装デビュー”でした。ピンクの本振袖の着姿は、初々しく品があり、見目麗しいと話題に! 多くのお着物ファンが楽しみにしている園遊会という場での和装デビューは、女性皇族方が通る一つの節目。奥が深い和装だからこそ、いつもにも増して注目される着こなしについて、放送作家で皇室ライターのつげのり子さんに伺いました。
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園遊会での “お着物デビュー”の装いには、それぞれのお立場とお気持ちが表れている
「和装は、着慣れている洋装よりも奥が深く、その選びや着こなしも難しいと思います。皇室に嫁がれた方々は、皇室の習わしに合わせることを大事にお召し物をお選びになるでしょうし、皇室で生まれ育たれた方々は、生まれながらに皇室の和装というものを見て、お召しになって、幼少期から慣れ親しまれているので、自分がお召しになりたいもの、表現したいものをお選びになるのではないでしょうか。園遊会での和装デビューのお着物、着姿には、そのお立場の違いが感じられます」(つげさん、以下同)
雅子さまと紀子さまは、周囲へのご配慮とご自分らしさのバランスを取った上品な着こなし
—雅子さま
雅子さまの園遊会での和装デビューは平成6年の春の園遊会。皇室に入られてから11カ月が経った頃のこと。フレッシュでありながら豪華で見ごたえのある小振袖は、滑らかで光沢のある淡青の地に金箔でほどこされた流水文様、その中にお祝いの意を表す菊や松、扇などの吉祥文様を配したもの。着物と色調の合った大柄の帯であでやかさをプラスされています。流れるように配された柄は、正面からと真横から、見る角度によって雰囲気がそれぞれ違うのも印象的。
「天皇陛下とご結婚される前は、海外生活が長く、外交官として働いていらっしゃったので、決して着物を着慣れているわけではないはず。周りの方々から多くのアドバイスを受けられたのではないでしょうか。皇族の和装の定番柄がすべて盛り込まれたお着物から、皇室に早く馴染みたいというお気持ちが表れているように感じました」
—紀子さま
紀子さまの園遊会での和装デビューは、平成2年の秋の園遊会。まだ皇室に入られてから5カ月目のことでした。お召しになった振袖は、ぼかし染めの丸の中に、四季折々の花を取り込んだもの。綴れ帯の結び方もフレッシュで華やかです。
「1枚目の写真はデンマークの女王夫妻にカーテシーをされているお姿。この時は、平成の即位礼正殿の儀に参列した海外の賓客などを招いて開催された園遊会で、紀子さまにとって国際親善デビューの場でもありました。丸く終わりがないことで縁起がいいとされることから、花丸文を選ばれたのかもしれません」
愛子さまと佳子さまは、ご自身の魅力と個性が溢れる現代的な着こなし
—愛子さま
今回の園遊会で話題となった愛子さまの和装デビュー。菱文様の帯には、天皇と内廷皇族だけが使用できる「十六葉八重表菊(じゅうろくようやえおもてぎく)」の紋が、艶やかに前面を飾っています。デビューと言われながらも、日頃より和装に慣れ親しんでいるからこそ着こなせる、あでやかな装いです。
「幼少期はブルー系のお召し物が多い印象でしたが、最近はピンクをお好みのご様子。この日の和装も、淡いサーモンピンクからはっきりとした色合いに変化する、若々しい振袖をお召しになっていました。皇室に入られたばかりの頃の雅子さまの和装がそうであったように、流れる水の上に浮かぶ大きな扇面の図柄には、牡丹や梅などの花々が華麗にあしらわれています。愛子さまがお召しになると、凛とした品格の中に初々しい可愛らしさが醸し出されているように思います」
—佳子さま
佳子さまの園遊会での和装デビューは、実は2023年の春の園遊会。2019年9月にオーストリアにご訪問された際、大統領への表敬訪問でお召しになった振袖を、園遊会の和装デビューでもお召しに。紗綾形の淡い橙色の地に霞、菊、梅、竹、蘭などの柄が配された、おめでたい文様。帯は、以前眞子さまも締めていらした宝相華文です。
「大学をご卒業された年は令和の即位関連の儀式が相次いだために園遊会が開催されず、その後もコロナ禍の影響で開催が延期されたため、園遊会デビュー自体が28歳になられてからとなりました。可愛らしさの中に、丸い蘭や直線的な霞などモダンにアレンジされた柄や、ヘアをアップではなくダウンにアレンジされている着こなしに、ファッションにこだわりのある佳子さまらしさを感じさせる装いでした」
教えてくれたのは…
放送作家・皇室ライター
つげ のり子さん
テレビ東京系『皇室の窓』の放送作家。2001年の愛子さまご誕生以来、皇室番組の構成を担当し、皇室研究をライフワークとしている。ワイドショーから政治経済番組、ラジオまで様々な番組の構成を手掛け、現在は西武文理大学非常勤講師も務める。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)『素顔の雅子さま』『素顔の美智子さま』(ともに河出書房新社)などがある。
取材/味澤彩子
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