女優・久保田紗友さん『本当は相手のことが気になってしまうタイプ』

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バランスの難しいポージングに、

バランスの難しいポージングに、ワンカットごとに変わる表情。オープンマインドでとても表現力豊かな久保田さんは根っからのポジティブ、と思いきや「本当は相手のことが気になるタイプ」と等身大な一面も。自分自身をどう叱咤激励しているか、考え方を聞きました。

「相手はたのしかったかな」と気にしてしまうけれど、
「私がたのしかったんだからきっと大丈夫」と
自分軸で考えるようにしています

最近友人たちも自分も、会社や仕

最近友人たちも自分も、会社や仕事に慣れてきて、少しだけ余裕が出てきたと感じています。例えばレストランにちゃんと予約して行くようになったり、食べるものも遊び方も変わってきました。そういう環境の変化の中で「大人になっているんだな」と実感しています。これまでは現場でも自分が一番年下だったのが、後輩が増えて、どんどん年長になっていく。もう誤魔化せない年齢というか、きちんと筋を通さないとすぐに見破られて、残っていける人間になれない。長くこの仕事を続けるためにも、人間力を高めないといけないと思っていて、今はそのフェーズにいる感じです。
意識しているのは、ポジティブ変換をすること。例えば、ものすごく落ち込むことに対して、それにどっぷりハマる瞬間もありますが、「自分が変わるきっかけが訪れた」とか「この試練を乗り越えたら、もっと成長できる」と捉えるように。あとは、調味料もこだわって選んでみたり、良質な食生活も大事にしています。いいものを摂ると心に余裕が出て、イライラしなくなったり、人に優しくなれる気がするんですよね。学生の頃は、友達と歌いながら歩いているだけでも楽しかったけど、徐々にそういう“無敵感”がなくなってきました。だからといって、この年齢で昔と同じことをしているのはどうかなと思って(笑)。友人たちとも「いい歳の重ね方をしたいね」とよく話します。

インスタ見ていると、みんなたのしそうだなと落ち込みます

インスタを見ていると、「みんな

インスタを見ていると、「みんなキラキラした生活を送っていて、たのしそうだな」と感じることもあります。でも、一部が切り取られているだけで、見えているものがすべてじゃない。それぞれ一生懸命生きているから、自分もやるべきことに向き合っていれば、不安になる必要はない、と自己暗示的に思うようにしています。
とはいえ、身近な人や信頼している人たちの声は気になります。そうではない方からのポジティブな反響は素直にうれしいですが、ネガティブなものは自分から遮断するようにしていますね。その情報を受け取ったことでモチベーションが下がってしまうのはもったいないから。近しい人たちからの指摘や評価は参考になるし、自分を変えるきっかけにもなるので、むしろ実際に伝えてもらったほうが気持ちがいい。だから私も、仲がいい人や信頼している人に対しては、いいことも悪いこともちゃんと伝えます。特に、親友にネガティブなことを言えるのは私しかいないし、そんなことで終わる関係ではないと思っているから。お互いなんでも言い合えて、一緒に成長できたら楽しいよね、というマインドがベースにあります。伝える相手をちゃんと選びつつ、そういう人間関係をたくさん築いていきたいです。

「相手はたのしかったかな」と気になってしまうけど

毎日を無理なく生きるために、他人軸で生きないことを大切にしています。例えば、友達とごはんに行った後、「その場ではたのしく会話していたけれど、本当に楽しかったかな?」って心配になったりするんです。常にポジティブでありたいと言いつつも、そういうときも結構あって。自分でも面倒だなって感じる繊細さがあることを自覚したので、他人軸で生きない、というのは最近のテーマです。
今は「私が楽しかったから、みんなも楽しかったはず」と思うようにしています。実は小さいことを気にしてしまうタイプで、相手が悪気なく言っていることに対して「嫌われているのかな?」と考えてしまったりもする。失敗も引きずりそうになるので、きちんと反省はしつつ、周りはそこまで気に留めていないだろう、と自分に寄り添うことも意識します。あまり気にしすぎないのも心掛けていることのひとつです。

今はたくさん、失敗をしておきたい

年齢を重ねることに怖さは感じて

年齢を重ねることに怖さは感じていません。年齢とともに芸歴も長くなり、そういう部分ではプレッシャーもありますが、今の自分のまま積み重ねていけたら、作品に対してより一層深く追い求められる人間になれているんじゃないかな、と思っているし、思いたい。5年後、30歳を迎えたときも役者は続けているだろうし、年齢を重ねるごとに芝居の質も変わっているはず。自分自身の経験を通じて、役に反映できることも増えると思うんです。もしかしたらこの5年で、結婚して出産する可能性もある。いろんな経験がしたいし、自らその機会を作って発見や気付きを得たいです。それから、20代のうちにたくさん傷ついておきたいというか、いっぱい失敗しておきたい。ひとり旅を筆頭に、20代前半でしてこなかったことにも手を伸ばして、そこで得たものを生かしつつ、この仕事を続けていたい、というのが5年後の未来予想図です。

ドラマ「私をもらって」では、クランクイン前に監督から「(私の)ダメなところをたくさん出したい」とお話をいただきました。元々は奈津実と自分で似ている部分は、ビール好きということくらい(笑)。奈津実は、無意識のうちに自分の意思表示ができる人ですが、私にとって自分の意思を外に出すのはとても勇気のいること。特に「嫌」とか「やりたくない」は言いづらくて溜め込んでしまったりもする。自分の中でじっくり時間をかけて消化して、人に話せるようになった段階では立ち直っているタイプなので、180度違います。さらに、奈津実は感情の変化も多く、これまで経験してこなかった役柄でもありました。新しいことに挑戦する際に原動力になるのは、私を通して誰かを幸せにできる可能性がある、という思い。家族や友達といった身近な存在を幸せにしたい気持ちがあるから、自然とがんばれる。そこからモチベーションが生まれているのかもしれないです。

【衣装クレジット】ジャケット¥136,400〈リトコフスカ〉オールインワン¥49,500〈ルル・ウィルビー〉(ともにアルアバイル)ネックレスはスタイリスト私物

愛犬と過ごす時間がオンオフの切

愛犬と過ごす時間がオンオフの切り替えに
一緒に暮らす愛犬は、柴犬の女のコ。彼女は私に絶対的な信頼を置いてくれていて、裏切らない。その関係性がモチベーションになっています。癒しもくれるし、ちょっとがんばりすぎた日は話を聞いてもらうことも。たくさんのものを与えてくれる、人生のパートナーです。愛犬と過ごす時間が思いの外、オンとオフのスイッチの切り替えにもなっています。おうちに帰ると尻尾を振って出迎えてくれるので、毎日早く帰宅したくて仕方ないです。

久保田 紗友さん
2000年1月18日生まれ。北海道出身。NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」、「過保護のカホコ」(日本テレビ系)、「この世界の片隅に」(TBS系)などの話題作に出演し注目を集める。2025年には大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華之夢噺〜』の出演が決定している。前田公輝とW主演を務めた、日本テレビ系「私をもらって〜追憶編〜」に続き、「私をもらって~恋路編~」がHuluで先行配信中。今秋に地上波にて放送予定(※関東ほか)。

撮影/水野美隆 ヘアメーク/ナライユミ スタイリング/高橋茉優 取材/坂本結香 編集/小林麻衣子 再構成/Bravoworks,Inc.