松本まりかさん(40)女優として芽が出なかった18年間「ただ、演じることは一生続けると思っていた」

透明感溢れる美しさとキュートさが共存し、唯一無二の圧倒的な存在感を放つ女優の松本まりかさん。2018年に「あざとかわいい」でブレイクし、40歳を目前にしてゴールデン・プライム帯でドラマ初主演を果たした後も、輝きを増しながら快進撃を続けています。決して華々しい女優人生ではなかったと語る松本さんに、スポットライトを浴びるまでのこと、40歳を前に起こった心境の変化や恋愛観など、ありのままの人生について語っていただきました。

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松本まりかさんprofile

1984年生まれ。2000年NHKドラマ「六番目の小夜子」でデビュー。2018年のドラマ「ホリデイラブ」でブレイクし、大きな注目を集める。以降多くの舞台やドラマに出演し、2023年4月には「ミス・ターゲット」でゴールデン・プライム帯連続ドラマ初主演を果たす。現在出演中のテレビ東京系ドラマ「夫の家庭を壊すまで」、2024年5月より公開の映画「湖の女たち」でも主演を務めた。

15歳のデビューをピークに、日の目を浴びない女優人生を歩んだ18年間

芸能界入りのきっかけは中学2年生の14歳の時、原宿でお買い物中にスカウトされたこと。芸能界に全く興味はなかったものの、演技は子どもの頃から大好きで、小学生の頃は演劇部に所属していました。学校生活で一番楽しかったことといえば学芸会。演技をしている時はとにかくすごく褒めてもらえたんです。だけど芸能界にも疎かったし、当時はなりたいものがなくて将来の夢を聞かれるのが苦痛だった。まさか演技を仕事にするなんて夢にも思っていませんでした。

深く考えないまま、気付いたら芸能界に入っていたような感じだったので、結局何をしたいのかピンとこなくて。「女優?歌?バラエティ?」と聞かれてもわからない。そんな時、初めて受けたオーディションでたまたまドラマ出演が決まり、15歳でデビューしました。演じた役がすごく面白くて、ドラマの撮影をしながら「そういえば私、演技が好きだったな」と思い出したんです。そこから女優の道を志しました。でもそのデビュー作をピークに、打ちのめされていく女優人生が始まりました(笑)。映像の仕事は無く、オーディションを受けても受からない。多感で成長曲線の大きい10代の時に良い監督や作品に出会って演技をやりたかったけれど、その願いは叶うこともなく、どんどん自信を無くしていきました。

実は33歳まで役者一本で、意地でもバイトをしなかったんです。実家に住みながら舞台の仕事をして、本当に綱渡りでしたけど、ご飯に行くと先輩がご馳走してくださったり、洋服のお古をもらったり。そうやって周りに助けてもらいながらなんとか生活することができました。舞台をやって留学して……と鍛錬の日々でしたが、私は舞台に学び、救われた部分が大きかったと思います。人と比べて卑屈になるのではなく、自分の魅力や才能を磨くことはできると信じて自分と向き合っていました。

希望もなかったけど、女優を"諦める"という選択肢もなかった

30代半ばを迎えた女優がそこから注目されるなんて、そんな希望は持っていませんでした。でもなぜか、「女優をやめよう」と思ったことは一度もなかったんです。現実味のない話ですけど、”演じる”ということだけは一生ものだと思っていて。求められるかどうかは別として、演じる以外の選択肢が私の中には無かった。女優を志した15歳の頃から、ずっとやり続けるんだろうなという根拠のない確信だけはありました。

だけど実力も足りず、人間的にも未熟。現実と自分が望む姿との間には明らかにギャップがあったんです。ただこの仕事は、周りに認められない限り演じる機会すら与えられないので、とにかく自分を磨こうと必死でした。そんな中で気づいたのは、演技の小手先のテクニックよりも、まずは人間力を高めることの大切さ。どんな演技をするのかという選択肢は無限にあって、それが役者に委ねられているからこそ、人間力が何よりも大事。結局は人を演じるので、人間を理解できなければ役を演じ切ることは難しいし、人の心を動かすこともできないのではとずっと感じていました。そこに向き合い、模索し続けていたような気がします。

小劇場でたまたま見つけてもらったことが、今に繋がるきっかけに

女優を10年ほど続けた時に、誰も知らない世界で自立して頑張ってみようとイギリスに1年間留学しました。その後帰国して出会ったのが小劇場の世界。「城山羊の会」という演劇ユニットの舞台が衝撃的に面白くて、オーディションを受けました。小劇場で活動を続けていた33歳の頃、「このままではさすがにダメだな」と絶望した瞬間があったんです。それまでバイトもせずに役者一本でやってきたけれど、稼げてはいなかったので、今後どうやって生きていこう…と。その時に、「いよいよ諦めて他の仕事をするのか?それともしがみつくのか?」という二択を自分に問いかけて、出した答えは「しがみつこう」でした。この仕事で生きていくんだ、と腹をくくった瞬間でした。

ちょうどその時期に小劇場の舞台で演じていたのが、”不倫をして豹変する狂気の女”の役。その舞台に若い女性プロデューサーの方がいらっしゃっていて、世の中に知られるきっかけとなった『ホリデイラブ』へのドラマ出演が決まりました。本当にスモールステップで綱渡りのようにやってきたところを、たまたま見つけてくださったことが出演に繋がったんです。だから今もこうして、お芝居を続けていられるんだと思います。

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撮影/古水良(cheek one) ヘア・メーク/佐々木七海(cheek one) スタイリスト/後藤仁子  取材・文/渡部夕子

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