「離婚したい」「したくない」平行線のやり取りに終止符を打ったのは…【太田光代さん連載vol.4】

お笑い芸能事務所・タイタンの社長として爆笑問題や、昨年M-1グランプリを制したウエストランドの活躍を後押しする太田光代さん。小学生のころは医者を目指しつつ、家族のために料理を作り「夢はお嫁さんだった」彼女。お酒にまつわる武勇伝や、社会問題に鋭く切り込み時勢に迎合しない爆笑問題をマネージメントする手腕から、豪快な破天荒闘士なのかと思いきや、素顔はいたって可愛いらしい女性。夫と他愛ない会話を楽しむ日常を夢見るキュートな一面も。この連載では、芸人としては超一流だけれど夫としてのスキルには大々的に?(はてな)マークがつく太田光さんとの結婚生活に密着。まさか離婚!? となるのか、はたまた理想の夫婦生活に近づいていくのか……。どんな展開が待っているのでしょうか?

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太田光代(おおたみつよ)

1964年7月6日、東京都生まれ。モデルやタレント活動などを経て、1993年、芸能事務所・タイタンを設立。現在は社長業のかたわら、自身もタレントとして活躍。夫は爆笑問題の太田光。2ヶ月に1度、東京銀座で行われる『タイタンライブ』を、『爆笑問題 with タイタンシネマライブ』として、全国25のTOHOシネマズ系映画館にて同時生中継しています。詳しくはHPをチェック!

「離婚したいです」「したくない」 不毛な平行線に終止符を打った 「そうだ、温泉へ行こう」

昨年、クリスマス前に、一悶着ありました。と言っても特に原因があって揉めたわけではなくて、いつもの会話の流れです。

いろんなことを言うのもめんどくさいし、言っても変わらないので「離婚するなら今しかないので、別れたい」と私が言っても、夫は「離婚する理由もないのに、できるわけない」と返してくる。全く意見が噛み合わない、平行線のやり取りです。

旅行に関しても「疲れているから温泉に連れて行ってね」「わかったよ」のやり取りが過去にも何度か繰り返されて「連れて行ってくれるというのは、あなたが段取りしてくれるということだからね」と念を押して待っているけれど、一向に音沙汰なし。

実は何年か前に一度、彼が宿を探してセッテイングしてくれたこともあったのですが、当日普通に彼のレギュラー番組のスケジュールが入っていて、それを忘れていたらしく、旅館に現地集合という興醒めな日程に。旅行って交通機関を使って移動を楽しむところからが楽しみじゃないですか。なのに旅館に集合って・・・人目をしのぶ恋、じゃないんですから。

その過去の旅行で、私にいろいろ言われたのも彼にとってトラウマだったのでしょうか。ほんとに旅行に関しては腰が上がらなかったのですが、とうとう年末に「離婚したいです」「したくない」の応酬が続いたことにも疲れてしまったので「とにかく私は疲れていて、このままだと体を壊します。だから温泉に行きたいの。私がいろいろ決めるから、あなたにはついてきてもらいます!」と宣言。夫は感情が露骨に顔に出る人なので、明らかに顔には「行きたくねえ〜〜」って書いてあるんだけど「離婚したくないとおっしゃるのなら、文句言わないで温泉についてきてくださいねっ!!」と言って、速攻で探して翌日には箱根旅行に向かっていました。

その時のことを夫は後日テレビで「離婚したら生きていけなくなる」と言っていたらしいですが、それは愛情の問題ではなく、単純に文字通り「生活が成り立たなくなる」という意味。彼は家事全般が全くできない。常識もほぼないし、大人なら必要最低限備えているはずの自活スキルがゼロ。配線もできないし、電球ひとつ買えないし替えられません。ほんとに「生きて」いけない人なんです。彼を見ていると、何かに秀でた人はその他が欠落しているんだなと痛感します。そんな人間の見本みたいな人なんです。

思ったより近かった箱根。 新幹線で昼食をかきこむ羽目に

旅は、東京駅での新幹線で食べるお弁当選びからスタート。夫はお肉がもりもりのわんぱく弁当を選び、私は洋風おつまみ的なアラカルトセットを買って新幹線に。ゆっくりランチを楽しもうと思ったら夫が「おい、小田原まで30分ちょいしかないぞ」と。新宿からロマンスカーだと1時間半くらいのイメージだったので「新幹線だとそんなにすぐなの?」と驚いて「ワインまで、買わなくてよかった〜」とホッとしましたね。

このエピソードからも分かるように、なんだかんだと二人の旅は珍道中(笑)。出かけたら出かけたで、夫も楽しめるタイプ(顔には出ませんが)なので、旅館についてメゾネットタイプの広めのお部屋にテンションは上がり、部屋についている露天風呂も何度も入ったりして非日常を満喫していました。

とはいえ、会話は特にありません。私は相手にリアクションは求めていないんです。

楽しい会話のキャッチボールなんて期待していない(笑)。普段の夫は無口だし、特に気の利いた返しをしてくるわけでもありません。私が言いたいことを言って、好きなように返しているだけ。それでいいんです。私は言葉より、行動を求めているんですよ。口だけでいいこと言う男なんて要りません(笑)。

ガラスの森美術館で6時間もガラス工芸品作りに没頭

2泊続けて同じ旅館に泊まる予定だったので、中日は美術館巡りに。私は美術館が大好きで、観光に行くと必ず美術館に立ち寄るんです。今回も、以前訪れてグラス作りに挑戦して楽しかった「箱根ガラスの森美術館」へ。ここで作ったグラスがとても使い勝手が良かったのですが、壊れてしまったので、同じようなものを作りたくて「ガラスの体験工房」へ直行。昼ごはんを食べるのも忘れて、グラスやスプーン作りに没頭して、気づいたら閉館時間に。

私たちが滞在している間、何組もの観光客が来ては帰って行き…何回転したことか(笑)。工房の方も多分呆れていたんじゃないかしら。

2泊3日の箱根旅行は、宿も素敵だったし、お湯もよかったし、ご飯も美味しかったし、いい気分転換にはなりました。道中、ケンカもしなかったし、彼も楽しんでいたんじゃないかな。かといって夫婦関係が改善されたかどうかは疑問です。結局は、連れて行ってくれたわけではなくて、私のプランに同行しただけですからね。積極的に日程を考えて予約して、旅の段取りをしてくれたわけじゃないですもの。

ただ、お笑い界含め、世の中に息苦しい空気が漂っているなか、太田もいろいろ考えて煮詰まっている部分もあるのかな、と思うと妻としても社長としても、ちょっと考え込んでしまう部分はあります。タイタン運営の〝タイタンの学校〟が主催している書道展に、今年太田が出展した書が「迷走」でした。その言葉のチョイスから分かるように、爆笑問題が得意としている、時事問題や世相を辛口で斬る、みたいなお笑いが作りにくい状況です。終わらない国際紛争、戦争、年明けてすぐに能登半島の震災をはじめとして日本国内で頻発する自然災害。いつなにが起こるかわからない不穏な空気感に、太田も危機感、閉塞感を感じているのでしょう。そういう気持ちは彼とは共有できてはいると思うのですが…とはいえ、離婚は別問題!

もう少しダイナミックに彼の「行動」が変わらない限り、頭から離婚の2文字は消えませんね(笑)。

撮影/河内 彩 ヘア・メーク/清水寛之 取材/柏崎恵理

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