【漢字】「御利益=ごりえき」は間違い!読めそうで実は読めない漢字3選|CLASSY.

CLASSY.ONLINEの漢字連載では、久しぶりに「読み間違いが多い言葉」を紹介します。間違えずに読めますか?

1.「御利益」

最初は「御利益」です。常用漢字

最初は「御利益」です。常用漢字「益」の誰もが知っている音読みは「エキ」ですが、これは「ゴリエキ」ではありません。では、何と読むでしょうか? 例文は「神社で御利益のあるお守り札を授かる」。

正解は、「ごりやく」でした。現在は「利益」だけだと「(会社の)利益」のように使い、「経済的なもうけ」の意味で「リエキ」と読みます。しかし、古くから、「神仏によって授かる利福」という「利益(リヤク)」も存在していました(「ヤク」は、呉音という最も古く中国から伝わった発音です)。現在では、ほぼ「御利益」という形でしか使われませんが、尊敬語「御」が付いて「ゴリヤク」と読みます。

2.「他人事」

次は、「他人事」です。過去にも

次は、「他人事」です。過去にも紹介したことがあるのですが、最近も私の周りで耳にしたので、再び取り上げます。では、例文は「彼女のミスは同じ部署の一員として他人事とは思えない」。

正解は、「ひとごと」でした。やはり、「他人」の漢字表記につられて、「たにんごと」と読んでしまう方が多いようですが、「人事(ひとごと)=他人事」なんですね。「人事」には、「人事(ジンジ)」の用法もありますので、「他人事」と表記するようになったとも考えられていますが、かたや「他人(タニン)」の用法もありますので、どうしたって「たにんごと」と読んでしまうのもわかります。
そう読む人が多ければ、それがやがて認知されていくのが言葉の常ですが、まだまだ、「たにんごと」と読めば「誤読」と判断されることも多いはずなので、正しく「ひとごと」と読むことをおすすめします。

3.「慮る」

最後は、「慮る」です。「遠慮(

最後は、「慮る」です。「遠慮(エンリョ)」なら、誰もが読めますよね。では、「慮る」は何と読むでしょうか? 「慮」はもちろん常用漢字ですが、この訓読みは表外です。例文は「相手の立場を慮って和解することにした」。

正解は、「おもんぱかる」でした。「おもんばかる」も間違いではないのですが、多くの辞書の見出し語になっているのは「おもんぱかる」のほうで、その語釈の中に(「おもんばかる」とも)とあるはずです。この語は、音便(発音変化)により「おもひはかる→おもんぱかる」となったもので、「ん」の次は「ぱ」と発音するほうが言いやすいのです。なお、「遠慮」と言うと、「人に気を遣って控えめにする」という意味で使うことが多いのですが、もともとは四字熟語「深謀遠慮(シンボウエンリョ)」などと使うように、「(遠い将来のことまで)よく考える」のが「慮る」です。

そういえば、11月は2回の「休日」があります。この日を、「祭日」あるいは「祝祭日」って呼ぶ人が、あなたのまわりにはいませんか? これらは「(国民の)祝日」で、「祭日」ではありません。それどころか、現在は休日と定められた「祭日」はない。たしかに、かつては「祝日」と並んで、「皇室の祭祀(さいし=宗教儀礼)」を行う日が法令で「祭日」と定められ、休日となっていました。しかし、戦後になって廃止され、そのうちのいくつかが現在の「国民の祝日」の中に含まれて、受け継がれました。今月の2回の祝日は、まさにそれで、「明治節(めいじせつ)」が「文化の日」に、「新嘗祭(にいなめさい)」が「勤労感謝の日」に。ぜひ周りの人に「祝日」と「祭日」の違い、教えてあげましょう(もちろん、休日となる、ならないに関係なく、神社などで祭りが行われる「祭日」は今でも存在しています)。では、今回はこのへんで。

《参考文献》
「広辞苑 第六版」(岩波書店)/「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)/「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)/「難読漢字辞典」(三省堂)/「古語林」(大修館書店)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)