松下洸平さん「30代後半は料理教室に通って和食を学びたい」【インタビュー後編】
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松下洸平さん「この機会に“球技が苦手”というイメージを払拭したい」【インタビュー前編】
――『闇に咲く花』という作品名にちなんで、花にまつわる思い出を一つ教えてください。
花の思い出……思い出ではないですが、家の中に常に花があるようにしています。“生きている”ものが何かしら家の中にあるだけで、ちょっと安心するというか、ほっとするんです。
――ご自分で買いに行くのですか? どんな花がお好みでしょう?
自分で買いに行きます。あとは、作品がクランクアップする時にいただいくお花が嬉しくて、飾っています。今気に入っているのは、この間ドラマの撮影が終わった時にいただいた花束に入っていたヒマワリ。部屋にあるだけで季節感も感じられるし、家の中がパッと明るくなって、なんか元気をもらえます。
――忙しい毎日を潤してくれる、ちょっとした存在を大切にしている松下さん、素敵です。
ありがとうございます(照笑)。健太郎のセリフに「神社は花のようであってほしい」という言葉があるんですけれども、それはすごくわかる気がしていて。戦争の傷跡がまだ癒えていない中、毎日必死に暮らしている貧しい人たちの話なので、余計に花の存在が大事なんだろうなと。神社を花にたとえた健太郎は本当に素敵だなと思うし、そんなふうに描いた井上ひさしさんの思いというのを、僕たちが引き継いでいかなければと感じています。
――それにしても、ドラマの撮影に新譜の制作、舞台の稽古の準備と、本当にお忙しいですね。リフレッシュ法は?
友達と会ってくだらない話をしたりすると、かなりリフレッシュできます。あとは、掃除。家の中を整理整頓された空間にすることは、心とか頭の整理整頓にもなるので。もちろん、何もしたくない時も全然ありますけど(笑)。
――休みの日に窯元まで出かけて、お友達へのお祝い用の器を作陶されたりもしていますよね。貴重なお休みの日ぐらい、頭と体をゆっくり休めて~! と、お母さんみたいな気持ちになってしまいます。
でも僕の場合、それも結構休息になっていたりするんです。陶芸をやる時は、手は動かしているんですけど、割りと何も考えていなくて。ろくろを回しながら無になる、みたいな。東京で仕事をしながらだと、そういう時間はなかなか作れないですし、僕にとって気が休まる時間なんです。
――お休みが10日取れたら、何がしたいですか?
嬉しいなあ(笑)。やっぱり旅行がしたいですね。ベタですけど、ハワイとか行きたいなあ。それこそ何もしないで、ひたすらのんびり過ごしたいです。
――前に、俳優業と同じくらい、シンガーソングライターとしても活動していきたいと話されていた松下さん。現在、作詞・作曲も手掛けた新曲『さよならの向こうに』が、NHK『みんなのうた』で放送中です(7月まで)。シンガーソングライターとしての認知度も、だいぶ高まってきたのでは?
まだまだです。やりたいことをやらせていただいていますけど、最近、それだけじゃダメだなとも思っていたりします。音楽活動も、自分一人でやれるものではなくて、楽曲制作やレコーディング、ライブツアーにしても、たくさんのスタッフの皆さんの力を借りないと成立しません。だからこそ、改めて“何のために音楽をやっているのか?”を考えて、たとえば、こういう場所でライブをやりたいとか、こういう人とコラボしたいとか、そういった一つひとつの自分の夢が、関わってくださるみんなの夢になったらいいなと思います。
――そんな松下さんにとって、舞台はどんな場所ですか?
お芝居の修業の場です。2ヶ月から3ヶ月かけて、みんなで一つの作品を追求していくからこその難しさもあるし、発見や学びや、面白さがあります。もちろん、なくてはならない大好きな場所でもあります。僕のお芝居の人生は、舞台から始まっていますから。
――30代後半、どんなことに挑戦したいですか?
料理教室に通いたいです。時々全開放して、好きなものを食べまくることもありますけど、仕事に集中していると、どうしても食の優先順位がかなり下のほうになってしまうので。家でも、次の日の撮影の準備をしたり、詞を書いたり、舞台の台本を読んだりしながら、冷蔵庫にあるもので適当に済ませる……みたいなことになりがちで。その冷蔵庫にも、明日食べるものと明後日食べるものぐらいしか入っていないので、これはよくないなと。まずは、食べることが億劫にならないように、食に対する概念から変えたいな、体にいいものを作り置きして、ちゃんと食べることを習慣づけたいなと考えた時に、料理教室に通うのがいちばんじゃないかと思ったんです。
――なるほど。食は大事ですよね。料理は気分転換にもなりそうです。
いいことづくしな気がしています。食材のことを知って、自分で色々作れるようになるし、食は健康にダイレクトに関わることだから、自分の体にもいいし、もともと切ったり炒めたりするのは好きなので、気分転換もできて。和食屋さんで時々、特に凝ったメニューではないのに、染みるようにおいしいご飯を食べて、すごくほっとすることがあるので、まずは和食を学びたいですね。
――問題は、その時間をどう作るか? そして、料理までマスターしたら、独身生活がますます快適なものになっていきそうです。
でも、いつか結婚したいなあとは思っています。いつになるかは、まったくわからないですけど(笑)。
――どんな40代にしたいですか?
好きなことをやっていたいですね。無理をせず、蓋をしていない自分でいられたらなと思います。ただ基本的に僕は、未来のことをイメージして、そこに向かうタイプではないです。時々、40代、50代の自分はどうなっているんだろう? どうなっていたいだろう? と俯瞰して考えることもありますけど、イメージは結構漠然としていて。それよりもやっぱり、今が大事。今日の自分が明日の自分を作ると思っているので、1日1日を大切にすることがいちばんなのかなと思います。
――ありがとうございます。最後に『闇に咲く花』への意気込みと、読者へメッセージをお願いします。
栗山さんが、井上さんの戯曲の中でいちばん好きだとおっしゃっている『闇に咲く花』を、新しいキャストでお届けします。皆さん、どんなお芝居をなさるんだろう? その中で自分にできること、自分がやらなきゃいけないことは何だろう? と考えながら、きっと新しい『闇に咲く花』ができるんだろうなと、ワクワクしています。たくさん笑っていただきながら、ふと何かを感じてもらえたら嬉しいです。
松下洸平(まつしたこうへい)
1987年、東京都出身。2008年に「洸平」の名でCDデビュー。09年にミュージカル『GLORY DAYS』で初舞台を踏んで以降、俳優としても活躍し、文化庁芸術祭演劇部門新人賞などを受賞。19年にはNHK連続テレビ小説『スカーレット』でヒロインの夫役を演じ、人気を博す。21年にシングル「つよがり」でアーティストとして再デビュー。7月19日にシングル「ノンフィクション」をリリース。また出演ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』が日本テレビ系で放送中。主演ドラマ『潜入捜査官 松下洸平』が9月よりTVerで配信開始の予定。映画『ミステリと言う勿れ』が9月15日に公開予定。
こまつ座第147回公演『闇に咲く花』
戦後復興がままならない1947年の東京・神田の愛敬稲荷神社を舞台に、庶民から見た日本、戦争責任、記憶を巡って展開する悲喜劇。
作/井上ひさし 演出/栗山民也 出演/山西 惇、松下洸平、浅利陽介、増子倭文江ほか
2023年8月4日~30日/紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA 愛知、大阪、福岡公演あり。問/03-3862-5941 (こまつ座)
http://www.komatsuza.co.jp/program/index.html#444
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松下洸平さん「この機会に“球技が苦手”というイメージを払拭したい」【インタビュー前編】
撮影/古水 良 ヘア・メーク/赤木悠記 スタイリスト/渡邊圭祐 取材/岡﨑 香
【衣装クレジット】
ジャケット¥71,500パンツ¥28,600(ともにバーンストーマ―)シューズ¥13,200(オポジット オブ ブルガリティ)
問/すべてHEMT PR ℡03-6721-0882
シャツ¥12,100(セカンドエグジスタンス)
問/エフエムワイインターナショナル ℡03-6421-4440