新妻聖子さん「代償の大きい経験があったからこそ、次に大きく転ぶことはない」
ミュージカル界に新星のごとく現れ、テレビでもその抜群の歌謡力を披露する姿を目にすることも多く、その存在は認知されているけれど、そもそも“新妻聖子さん”って何者?どこからきたの?
普通のサラリーマン家庭で育った新妻さんがミュージカルの女王として活躍するまでに歩んできたその道のりを語っていただきました。
そこには立ち止まった時に生きるヒントとなりそうな“人生の格言”がありました。(全3回の2回目)
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代償の大きい学びがあったからこそ、次に大きく転ぶことはない
デビューしてから10年くらい、プライベートの時間はほとんどありませんでした。舞台女優として一番忙しかった時は、まとまったお休みは3年に1回、3日間くらいとか。喉を傷めたくないからお酒も飲まなかったし。行く場所といえば、稽古場、マッサージ、耳鼻科くらい(笑)。姉が友達のような存在でしたし、基本的に出歩かないので友人達とも疎遠になっていて。自分で自分を軟禁している状態。自主隔離期間ですね(笑)。気づいたら34歳。いつかは結婚して、チャンスがあれば子どもも欲しいと思っていたので、自分の年齢に気が付いて「そろそろ人に会ったりしなければ」と焦りました。周囲に「私、2年以内に結婚することにした」と宣言をして、信頼できるお友達に「合いそうな人がいたら紹介してね」と頼み、紹介してもらったのが今の夫です。本当に2年後に結婚しました(笑)。
37歳で息子を出産して、生んだその日から歌えるくらいの強気でしたが、実際には出産はかなりの大仕事。年齢的なこともありますし、体にガタがきていたのに、自分の体の声をきちんと聞いてあげていなかったんです。気持ちの焦りから産後7か月で全国ツアーに復帰したのですが、倒れてしまって。もう二度と、同じように歌えなくなるかもしれないという状態になってしまい、どん底まで落ちて…。歌えなくなって初めて、歌えない人の気持ちがわかった。反対側の景色が見えたことで変われたように思います。回復した後も、体調の悪い自分も受け入れ、追い込み過ぎず、体の声を聞けるようになりました。大きな代償でしたけど、この経験がなければ、もっと大きな転び方をしていたかもしれない。一つ手に入れては一つしっぺ返しをくらい、その繰り返しです。極限まで落ちた時はコウペンちゃんの「生きててえらい」っていうシールに癒されたり、せめて、自分で自分を褒めるようにしています。
大切な人ができた時に気づかされた、生きているだけで最高
結婚するまではプライベートはいらない。地方公演もあるから東京の家賃ももったいなくて、楽屋に住みたいくらいでした。でも結婚して人生観が知らず知らず変わったかもしれません。自分の足場をしっかりさせる、追い込まないという大切さを実感しています。
家庭でも、家事はできる人がやればいい。どちらかが何かをやっていないことに怒ったりもしない。二人とも忙しい時、夫婦のキャパを超える部分はアウトソーシングです。それで家族のQOLがあがるならそれが一番。ルールとしては、夜はパパとママどちらかが必ずいるようにしています。日中はまだしも、寝る時は息子が「人に預けられた」という感覚を抱き寂しい思いをすることのないように。そこは気を付けています。実は、以前、道で息子とはぐれてしまったことがあったんです。目を離したのはほんの一瞬だったので、その隙に私の叫ぶ声も聞こえない距離に子どもの足で行けるわけがないと思って、誘拐がよぎり発狂しました。一緒に探してくださった方に息子の写真を見せようと思っても手が震えてスマホが操作できない。忘れもしない23分間でした。息子は私を見失い、目的地の場所まで自力で先に行っていたのです。あの日、一生子どもを失ってしまうかもしれないという恐怖を経験してから、「生きていてくれるだけで最高」って思うようになりました。あのまま息子に会えなくなっていたらと考えると、つい息子の準備が遅くてイライラしたりしても、ここで無事にいてくれるだけで、幸せなんだと。人生って明日どうなるかわからない。そう思うと、大切な人に不機嫌になったり怒ったりするのももったいないなって思うようになりました。思っていてもできない日の方が多いんですけど(笑)。とりあえず、家族で幸せに健康にをモットーに、これからしばらくはファミリーファーストの生活が続くかなと思っています。
【新妻聖子さん20周年記念コンサートツアー】 Seiko Niizuma 20th Anniversary Concert Tour ~HARMONY~
【東京】
2023年7月20日(木)
開場17:30 / 開演18:30
会場:サントリーホール
*チケットは完売しています。
年末には2人ミュージカル「ジョン&ジェン」(12/9~24東京、12/26~28大阪)への出演も決定。詳細は以下よりご確認下さい。
https://stage.parco.jp/program/johnandjen/
撮影/平井敬冶 ヘア・メーク/只友謙也 スタイリスト/大碕ちほ 取材/小仲志帆
ワンピース¥137,500ネックレス¥22,000チェーンブレスレット¥47,300ブレスレット¥242,000(すべてバーニーズニューヨーク カスタマーセンター 0120-137-007)バッグ¥17,600サンダル¥14,850(ともにダイアナ銀座本店 03-3573-4005)
第3回は明日公開
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