【漢字】「梲が上がらない=ぜいがあがらない」は間違い!実は意外に読めない漢字3選|CLASSY.

今回も「慣用句に関する漢字の読

今回も「慣用句に関する漢字の読み方」を紹介します。聞いたことはあるけれど、漢字表記にするとその読み方が難しかったり、含まれる単語の意味がよくわからなかったりするものを集めてみました。

 

1.「験を担ぐ」

最初の問題は、「験を担ぐ」です

最初の問題は、「験を担ぐ」です。ヒントがわりの例文は「験を担いで、大事な試合の前夜はとんかつを食べる」

正解は、「ゲンをかつぐ」でした。「験」も「担」も常用漢字ですが、「験」の音読みは「ケン」だけでなく、この「ゲン」もちゃんと記載されています。「担」の訓読みは、この「担(かつ)ぐ」も「担(にな)う」も高校で習う範囲なので、ちょっと難しい。
さて、この「験(ゲン)」とは、仏教用語で、「修行を積んだ効果や、その効果として現れるしるし」、つまり「縁起」のこと。「担ぐ」には「(縁起を)気にする」という意味がありますから、「験を担ぐ」は「縁起を担ぐ」と同じく、「良い前兆であるかどうかを気にする」という意味で使います。例文の「とんかつ」は「勝つ」につながる「勝負メシ」の定番ですね。

2.「踵を返す」

次は、「踵を返す」です。「踵」

次は、「踵を返す」です。「踵」は常用漢字外となりますが、「足へん」の漢字ですので想像してください。例文は「秀吉は一報を聞き、踵を返して京に向かった」

「かかとをかえす」ではありません。正解は「きびすをかえす」と読みます。実は、「きびす」も「かかと」も同じ体の部分を指す言葉ですが、この慣用句では「きびすをかえす」と読んでください。「かかとの向きを来た方向に返す」ことから「後戻りする。引き返す」という意味で使います。

3.「梲が上がらない」

最後は、今回一番の難読語「梲が

最後は、今回一番の難読語「梲が上がらない」です。こちらも「梲」が常用漢字外です。「11画」と画数は多いわけではないのですが、見慣れないせいか、手強そうです。例文は「彼は、周囲から梲が上がらない存在だと思われている」

「えつがあがらない」ではありません。正解は、「うだつがあがらない」でした。「梲」とは、「梁(はり)の上に立て、棟木(むなぎ=屋根の骨組みの最頂部に渡す横木)を支える短い柱」です。もともと建築用語なので、わかりにくいかもしれませんが、「家の屋根の重さを支えている大事な部分」だと思ってください。「梲」が棟木に押さえつけられているように見えることから、「梲が上がらない」で、「地位や生活がさっぱり向上しない。ぱっとしない」いう意味を表すようになりました。
なお、「うだつ」には、「商家などで隣家との境に設けた防火壁」という意味もあり(この場合には「卯建」とも書く)、「一家が繫栄しないと作れない」ものであることから、この場合でも慣用句「うだつが上がらない」の意味はやはり同じものとなります。

いかがでしたか? 読めなかった、読めても意味はわからなかった、というものもあったのでは?


昨今は、台風の日本列島接近により、各地で大雨による被害が出ただけでなく、交通網などにも大きな影響が出てしまいますね。やはり、とみに大型化している昨今の台風に対しては、十分な備えが必要です。ところで、この「台風」、語源的には英語の「typhoon(タイフーン)」と関係があることはよく知られていると思いますが、この言葉が日本で使われ始めた明治時代は、「颱風」の表記でした。さらに、歴史をさかのぼり、「颱風」という言葉そのものがなかった古典の時代では、「秋の暴風雨」を「野分(のわき・のわけ)」と呼んでいました。以上、台風蘊蓄(ウンチク)でした。では、今回はこのへんで。

《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新字源」(角川書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「難読漢字辞典」(三省堂)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)