四十肩で腕を動かすのがつらい!痛みを和らげる方法はある?【高尾美穂先生のお悩み処方箋】
Mart読者世代である30~40代女性の人には言いづらいお悩みに、産婦人科医の高尾美穂先生が相談者の心に寄り添って優しくアドバイス!第20回は、四十肩についての悩みです!
目次
- 悩める女性の心を軽くしてくれる!高尾美穂先生
- 【相談テーマ】つらい四十肩の痛みを何とかする方法はありますか?
- 痛みの原因は、肩まわりの筋肉や関節が動きにくさ!
- エストロゲンの減少が関節痛につながることも!
- 【高尾先生のお悩み処方箋】四十肩のつらさを軽減する方法
- 【相談を終えて】まずは肩まわりを動かすようにします!
悩める女性の心を軽くしてくれる!高尾美穂先生
産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案する一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っています。雑誌やテレビほかさまざまなメディアでも、女性のお悩みへの優しいアドバイスが好評です。
【相談テーマ】つらい四十肩の痛みを何とかする方法はありますか?
相談者:Dさん(47歳)
愛知県名古屋市在住
22歳、18歳の母
パート
痛みの原因は、肩まわりの筋肉や関節が動きにくさ!
Dさん:現在47歳ですが、去年の秋頃から四十肩のような症状がつらくて悩んでいます。
高尾先生:具体的にどのような症状がありますか?
Dさん:肩関節や腕の痛みがあって、腕が上がらないことが多いです。腕を上げたときや手を後ろに回したときに、痛みを感じることが多いんです。
高尾先生:四十肩は腕を動かすと関節に痛みを感じ、腕を上や後ろに動かせる範囲が狭まってしまうのが特徴です。Dさんの症状を聞く限り、四十肩ではないかと思われます。
Dさん:なぜ四十肩になってしまうのでしょうか?
高尾先生:四十肩の原因は大きく分けて2つです。ひとつは肩まわりの関節を動かしていないこと。私たちが日常的に腕を上げるのは洗濯物を干す、吊り革につかまるといった動きくらい。運動やトレーニングをしている人ではない限り、腕を動かす動きは毎日頻繁にするものではありませんよね。そのため肩まわりの関節や筋肉が動きづらくなり、いざ動かそうとすると動きに制限が出たり、痛みが出てしまったりするのです。
Dさん:確かに運動などをしないと、肩まわりを動かす機会はあまりないですよね。
高尾先生:そういう人がほとんどだと思いますよ。動かすことが少ないからこそ、四十肩の改善には、肩関節のストレッチを日常的にすることが大切です。 肩まわりは可動域が広く、たくさんの筋肉と繋がっています。そのため肩を一周回すだけでも、色々な筋肉をいっしょに動かすことができる、お得な関節なんですよ。
Dさん:ストレッチの習慣が、四十肩の予防や改善になるとは知りませんでした。
高尾先生:腕を上げたときや手を後ろに回したときに痛みが出るのであれば、その動きをするときに使う筋肉や関節があまり使われていないのだと思います。まずは無理のない範囲で、肩を回すことから始めてみてください。
エストロゲンの減少が関節痛につながることも!
Dさん:もうひとつの原因はなんですか?
高尾先生:女性ホルモンであるエストロゲンの減少です。エストロゲンには、軟骨や筋肉、腱などの柔軟性を保つ働きもあります。一般的に40代後半からエストロゲンの分泌量が減少するため、関節まわりで炎症が起き、関節痛が起こりやすくなることも。骨と骨の間のクッションとなる軟骨が衰えたり擦り減ったりして、滑らかに動かなくなってしまうのです。
Dさん:だから四十肩は、更年期にさしかかる40代以降に起こりやすいのですね。
高尾先生:40代半ば以降は、肩に限らず関節の動きに違和感があれば、エストロゲンの減少が影響している可能性があります。
Dさん:その状態になると、改善はなかなか難しいのでしょうか?
高尾先生:原因がエストロゲンの場合は、ホルモン補充療法を行なってみるのもいいかもしれません。
Dさん:なるほど。ストレッチで改善しなければ、婦人科などで相談してみようと思います。
高尾先生:それがいいと思います。痛みの改善だけであれステロイド注射などもありますが、それだと根本的な解決にはなりません。痛みが急性の場合は安静が必要ですが、慢性的な痛みであればまずはストレッチで肩まわりを動かす習慣を。筋肉はストレッチにより何歳になっても鍛えることができます。少しずつ可動域を広げながら、前向きに取り組んでみてください。
【高尾先生のお悩み処方箋】四十肩のつらさを軽減する方法
- 気がついたときに肩をぐるぐる回す(特に後ろ回し)
- 可動域が狭くならないように、肩関節のストレッチをする
- エストロゲンの減少が考えられる場合は、ホルモン補充療法の検討をしても
- 筋肉は年齢を重ねても鍛えられるので、少しずつ、前向きに取り組む
【相談を終えて】まずは肩まわりを動かすようにします!
今回、高尾先生に言われた通り、四十肩になるまで肩まわりを意識して動かす機会がほとんどなかったです。もう片方の肩の発症予防のためにも、ストレッチや肩まわしを習慣づけたいと思います。
また、ホルモンチェックも受けてみようと思います。更年期にさしかかり体に支障が色々と出てきますが、前向きに対処していきます!ありがとうございました。
撮影/中林 香 取材・文/酒井明子