女性が「女友達にネガティブな感情を抱く理由」【中編・女は選ばれる存在であり潜在的にライバル関係にある】社会学者・上野千鶴子さんに聞いてみました
誰もが感じたことのある女友達に対するネガティブな感情や、モヤモヤした気持ち。それって女は嫉妬深い生き物だから?それとも私の性格が意地悪なせい?いいえ。どうやら、モヤモヤの正体はもっと別のところにありそうです。
「社会に深く根付く〝女嫌い=ミソジニー〟を理解するといろいろなものが見えてきます」
女同士のあいだで感じるモヤモヤやネガティブな感情の正体は一体何?『女ぎらい』の著者でも知られる上野千鶴子さんに、解説してもらいました。
これってミソジニーのせい?CLASSY.世代のモヤモヤを解説!
女性に対するモヤモヤした感情のほとんどは「女は選ばれる存在であり潜在的にライバル関係にある」というミソジニーで説明がつきます。
モテている女性へのモヤモヤは、男に迎合しているライバルに対するミソジニー。「女の敵は女だと思ってしまう」というのも、男に選ばれる立場の女同士の、値踏みされている女性ならではのミソジニーですね。本当は女に勝手に序列をつける男が悪いのに、分断された仕組みの中におかれた女同士がライバル意識を持たせられているのです。「浮気した彼より、浮気相手の女性に腹が立つ」これも男をめぐって女が対立する典型的ミソジニー。オペラをはじめとした数々の物語の中でも男を奪われた女は浮気した男ではなく相手の女を呪います。
「女同士の友情が信頼できない」のも、ミソジニーの一種。女友達は男性をめぐっていつ競争相手になるかわからないような、潜在的なライバル関係におかれますから。
「女性の上司に異様に気を遣ってしまう」のは、部下である自分も同性の上司に対しては目が厳しくなるように、同性間の評価においては熾烈さが増すことがわかっているから。甘えが許されない女性上司に対して、男性の上司なら甘く見てもらえるだろうというミソジニーも隠れていますね。
「女友達が何かで得をしたり、いい評価を得ていると悔しい」というのは、社会的に男女で競争のフィールドが分けられているから。同じフィールドにいる女性に競争心が湧くのは当然です。あなたがもし男なら、男に対して悔しいと感じるはず。
解説してくれたのは…社会学者・上野千鶴子さん
1948年富山県生まれ。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。日本を代表する女性学の研究者として、東京大学名誉教授時代の2019年には東京大学入学式の祝辞で日本におけるジェンダー問題に触れ話題に。2023年1月2日にはミソジニーの解説をした特別番組「100分deフェミニズム」(NHK)が放映予定。
取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc