子ども料金はいつまで?知っておきたい進学とお金の話
あんなに小さかった我が子が、春にはいよいよ中学生……。子どもの成長に喜びを感じる一方で、年々増えていくのがお金の問題。4月1日にはいよいよ子ども料金から大人料金に!
「教育費の貯め時」と言われた小学生と比べ、中学生になると必要なお金が一気に増えます。さらには、進学先が私立、公立に関係なく増える“教育費以外の支出”のダークホースも! STORY世代ママのリアルボイスと、現役ママのファイナンシャルプランナーも驚いたその内訳とは?
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今や塾費用は必要経費/部活費用の負担も
STORYママのリアルボイス①
塾代です。周りのお友達が一気に行き始めて、影響されたよう。覚悟していましたが3年生までなので、やはり大きな出費。K.Sさん 公立中ママ
STORYママのリアルボイス②
私立に入れたものの授業に本人が付いていけていないよう。塾か個別指導に通わせようかと悩み中ですが、授業料と塾代のダブルの出費で正直大変です。 M.Tさん私立中ママ
まず、知ってもらいたいのが「補助学習費」の負担増。中学生になると、小学校よりも「学校の費用」がアップするのはご存知だと思いますが、それに加えて「補助学習費」がプラスされます。補助学習費とは、「予習・復習・補習などの学校教育に関係する学習をするために支出した経費」。具体的には、参考書、通信学習費などが相当します。中でも、学習塾費の負担はかなり大きくなります。
この春にお子様の卒入学を迎えるママの中には「塾はまだまだ…」と考える人も多いはず。しかし、文部科学省が昨年末に発表した「令和3年度子供の学習費調査」結果では、中学1年生の段階で公立中学でも57.8%が通い始めるのだそう! 特に公立生は中学3年生時には84%が通塾しているとするデータを見ると、今や塾代は避けては通れない出費です。学習指導に手厚いといわれる私立中学でも、51%が中学1年生から通塾を始めるというから驚きです。
女性が抱える「お金」の問題に詳しいファイナンシャルプランナーの加藤葉子さんも、ご自身のお子様が中学生になったとき、塾代は「想定外の支出」だったと話します。
「娘は中学受験を経て私立中学に入学しました。でも、入学後に成績がみるみる落ちてしまって、中学3年生で塾に入ることに。中学受験のときに頑張ってよく勉強していたので、正直、中学生の時点で塾代が必要になるとは思っていませんでした。もちろん塾に通わずに大学受験前まで頑張れるお子さんもいらっしゃるのですが、『私立中学に入れたから、もう安心』とはならないということですよね」と話します。
【学年別補助学習費】
高校受験を見据えて、塾代がかかるピークは中学3年生。文科省の令和3年調査では、学習塾費の平均が中学3年生時で約39万円で、3年間合計の平均値は約75万円だそう。ただし、これは全国の平均値。都心部の人気塾だと中学3年生時のみで70万円近くかかったという声も。早い段階で情報収集をしておくなど準備が必要です。
もうひとつ、大きな支出になるのが部活にかかる費用。選択する部活にもよりますが、ユニフォームや道具も学校指定のもの、指定業者から買う必要があることも多く、想像以上の出費に先輩ママさんも衝撃を受けたそう。
STORYママのリアルボイス③
うちの子どもは憧れていた吹奏楽に入部しました。公立ですが、楽器は学生側で用意が必要です。学校指定の業者で安く購入しても10万近くかかりましたし、その後もリードやケア商品などの消耗品も多くて大変です。(N.Kさん 公立中学のママ)
STORYママのリアルボイス④
本人の希望で、中学受験時に止めたサッカーをやりたいと部活に入りました。習い事の費用はなくなっても部費はありますし、ユニフォームなどの道具一式を揃える必要も。また、練習頻度が上がるため靴と靴下の消費がものすごい。道具が高くつく野球や剣道などはもっと大変だと思うので、まだサッカーでよかったです。 (T.Tさん 私立高校生ママ)
「合格から春過ぎまでは、 部活の道具など“すぐ必要なものへの出費”への準備が必要です。小学校に比べて、公立でも修学旅行の積み立て費などの負担が増えますが、やはり私立は特に大変です。合格したらすぐ入学金を払い、入学前に制服など学校生活に必要なものを揃えて数十万。さらに『設備利用費』『課外活動準備費』など学校によって項目も費用も追加されます。うちの子どもの学校では、入学してすぐ春の課外活動のキャンプのためにアウトドアの服や靴を準備するように指示があって、一式買い揃えました」と加藤さん。想定外の出費への心づもりが必要なよう。
子ども?大人?「教育費以外」の費用が意外と大きい!
それ以外にも、SOTRY世代の先輩ママからはさまざまなものに中学生になってかかる費用が増えた!と言う声が続出。4月1日になると大人料金になる交通費はもちろん、食費、被服費、お小遣いの増額、英検や模試などの試験代なども。中学生ともなると、なんでも大人と同じだけかかるとだと思っておくのが賢明です。
STORYママのリアルボイス⑤
私立のせいか、部活の遠征試合がけっこう頻繁にあります。強豪ではないのですべて電車で移動なのでが、交通費が結構かかって子ども料金のありがたさを痛感しました。(R.Gさん私立中学ママ)
STORYママのリアルボイス⑥
中学に進学して新しくできたお友達と出かけたいというから喜んで聞いたら、新大久保へ“映えるスイーツ”を食べに行きたいそう。この前まで公園で遊んでいたのに。(M.Aさん私立中学ママ)
中でも、想定外の出費だと声が多かったのは、光熱費。加藤さんもご自身のお子さんの変化にびっくりしたそう。
「小学生のころはどちらかと言うとおとなしかった娘が、中学生になったとたん髪を気にするようになって、朝からずっとドライヤーを掛けるようになって(笑) 誕生日は自分専用の高価なドライヤーが欲しいとリクエストされました。女の子は”髪が命”なんですよね」と加藤さんは笑います。そういえば、我々の時代も「髪は命」でしたよね……。
見た目を気にするようになり女の子はドライヤーで髪を伸ばし、男の子も体臭を気にしてしょっちゅうシャワーを使用する……一見、ほほえましいようにも思えますが請求書を見て笑っていられなくなることも。
また、中学生になるとスマホの所持率もアップ。内閣府の令和3年度「⻘少年のインターネット利用環境実態調査」によると、スマホでインターネットを利用している率は小学生では5割程度だったに対し、中学生の約8割は所持しているそう。となると、使い方を知らずにネットゲームやネットサービスなどを利用して、親が後日請求を見て知ることもありえます。
加藤さんは「月々のスマホ代や端末費用が掛かってきます。『うちはもう少し大きくなってから』というお考えのご家庭でも、友達同士のコミュニケーションや部活の連絡ツールにLINEが使うということもあるなど絶対に持たせないというのも難しいかもしれません。また、中高生にとってLINEやYouTube、TikTokなどSNSが娯楽の大部分になることも、親が理解しておくことが大切です。使い方に家庭でのルールを決めるなどの決まりを、入学前に作っておいた方がよいと思います」と話します。
「子ども料金」終了は「子離れ」にも好機!
では、中学生になって費用が減るものはないのでしょうか?
「旅行代でしょうか」と加藤さん。中学生になると、旅費も宿泊費も子ども料金から大人料金になって2倍かかるようになるのでは?
「中学生にもなると、親より友達。思春期も重なって、なかなか親とは旅行は行きたがらなくなりますから」
なんとも切ない……。
「一緒に旅行に行ってくれるのは今のうち。小学生の旅費が子ども料金のうちに、ぜひたくさん旅行に行っておかれるとよいと思いますよ。うちの娘も中学生になると親との旅行より、好きなアーティストのライブに行きたがるようになりました。今は保護者として親も一緒に行くので費用も2倍かかりますが、子どものおかげで新しい物ごとに触れる機会が増えたと思うようにしています。
中学生の時期は反抗期もあって親は寂しいと感じることもあると思いますが、子どもが「親より友達」となることで時間ができますから、これからはママもぜひ自分の人生を楽しんでもらいたいです。趣味を楽しんだり、子どものためにお仕事を休んでいた方は再開すると収入も増えて一石二鳥ですよね。
いずれにしても、教育費の貯め時は中学生まで。これからは出ていく一方なので、お金も、気持ちも、上手にやりくりしていってもらいたいです」
「子ども料金から大人料金へ」は「子どもから大人へ」。お金の問題だけでなく、4月1日はママにとっても新しいスタートになりそうです。
加藤葉子さん
ファイナンシャルプランナー
(株)マイライフエフピー代表。出産を機に、子どもにかかるお金や貯金の方法の勉強をはじめ、子どもの教育費と老後資金を貯める。子育てと仕事のバランスを考え、10年前から在宅で自宅で仕事をスタート。NHKのコラム執筆を機に起業し、全国の子育て世帯のお金のアドバイスをするようになる。子どもは中高一貫の私立に通う高校生。現在は、行政主催のマネー講座・執筆監修・FPの養成講座を行っている。
取材/角田ひかる イラスト/本田佳世
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