パン作り、「発酵」って難しい?いいえ、目からうろこの簡単解決方法があります【はまくま】

パンを作ってみたいけど、「発酵」って難しそう。どうしたらよいのかわからなくて、いつもレシピとにらめっこ。そんなお声をよく聞きます。多くのパン作りレシピでは、パン生地の発酵は「あたたかいところでひとまわり大きくなるまで」「30度で2倍に膨らむまで待つ」「40度で20分、ふんわりするまで発酵させる」など、「温度」と「パン生地の大きさ」が示されています。つまり、攻略対象はこの2つ。
今回は、まず発酵のお悩み解決、「あたたかい環境」を作る方法をお伝えします。

【発酵攻略「あたたかいところ」をクリアー】

「あたたかいところ」ってどんなところ?

ずばり、「冷房のついていない夏の室内」です! 真夏に外から帰ってきて冷房のついてない家に入るとムワっとしませんか? ちょうどあのような感じ。パン生地は人間が少し不快に感じるようなじめじめしてあたたかいところが大好きなのです。温度でいうと28度~40度くらいの間です。人間でも冬の朝って体が縮こまっていて動きにくいですよね。対して、春とか秋のちょうどいい気温の時は「あ~いい天気だ!なんだか散歩したいな~」って活動的になる。それと同じでパン生地も自分が心地よい時に活発になります。その温度が人間の快適さよりちょっとだけ高いのです。

パン生地が「あ~気持ちいい~!どれ、活動しようか」って思ってくれそうな環境を作ってあげるのが発酵の成功の秘訣です。オーブンレンジの発酵機能を利用するのが簡単ですが、「発酵中に電子レンジが使えない」「予熱をあげる時に発酵中のパンを外に出さなくてはいけない」というお悩みも多いので、今回は「オーブンの発酵機能を使わず、寒い季節にパン生地を心地よくする方法」を紹介します。

真冬でも「大きなタッパー」があればすべて解決

天板と同じくらいの大きさのタッパーをパン作り用に準備しておくと、湯せんを使った生地の保温や乾燥防止に便利です。使わない時はパンの道具をしまうのに利用できますし、作業途中の生地をタッパーに入れておけば、キッチンの手元を広くしたい時にさっと移動できるのでとてもおすすめですよ。
サイズが同じなので天板に並べたパン生地に被せたり、とにかく重宝アイテムです。

こねたパン生地の発酵

タッパーはオーブンの天板と同じくらいの大きさがおすすめ

【アイディア1-1】生地の入ったボウルと一緒にお湯を入れる

【アイディア1-2】蓋をすれば温度がさがりにくい

【アイディア2-1】無印良品の湯たんぽを利用

【アイディア2-2】長く同じ温度が保ちやすい

パンの形をつくった後の発酵

無印良品のホーローバット浅型・大に半分ほどお湯を入れて蓋をする(多いと溢れるのでお湯の量は少なめに。火傷に注意)

バットの上にオーブンの天板ごとのせる

タッパーを逆さにして被せる

「水切りかご」が楽ちんお助けアイテム

タッパーって便利そう!でもそんな大きなサイズは手元にないわ、という場合。ボウルに入ったパン生地を発酵させる時は、一回り大きなボウルで湯せんするか、マグカップに入れたお湯をボウルの周りに置くだけでも充分効果がありますので、心配いりません。困るのがパンの形をつくった後の発酵ですよね。そのまま置いておくと乾燥してしまうし、すぐ温度がさがりそう。かといってラップをするとふんわり膨らんだパン生地がつぶれてしまいます。そんな時の救世主を紹介しますね。

それは、なんと「水切りかご」。かごを被せてからビニール(ラップでも可)を被せることで、パン生地とビニールの間に適度な距離ができて生地の形を保ってくれます。

どちらの家庭にもある水切りかごが便利

形をつくったパン生地にぴっちりラップをするのはNG

タッパーの時と同じくバットにお湯を入れて天板をのせる(火傷注意)

逆さにしたかごをかぶせてラップかビニールをする

タッパーの場合も水切りかごの場合も、内側に霧吹きをするとパン生地の大好きな「じめじめしてあたたかいところ」になり、さらにパン生地が元気になるのでおすすめです。

目からうろこ!「100均のラック」が本格発酵機に変身!

最後に、私のお友達のパンの先生のすごい発酵アイディアを紹介させてください。パン作りに慣れてくると、一度にたくさんのパンを作りたくなります。でも、普通のおうちではタッパーも水切りかごもひとつしかなくて「あたたかいところ」を作りにくい・・。そんなお悩み解決で、なんと100均の折りたたみラックで手作り発酵機を作ったそう!お友達によると、中はサウナ状態であたたかくて加湿ばっちり。ラックと天板のサイズがあわないときは、100均で売っている薄いまな板にパン生地をのせて発酵させ、発酵終了したら天板にスライドさせて焼けばよいそうです。これならたくさんのパンの発酵も心配なしですね。使わない時はたたんでしまっておけるのもおススメポイントだそう。

100均の折りたたみラックを重ねて一番下には鍋敷きを置いてお湯を入れる。(写真提供 保土ヶ谷パン教室 PANOOO(パノー)

ゴミ袋を被せるか保温シートで覆う。お湯は時々取り換える。(写真提供 保土ヶ谷パン教室 PANOOO(パノー)


【発酵 あたたかいところ・結論】

じめじめした夏の室温がパンの大好きな環境
寒い時期はお湯を利用してタッパーや100均の道具であたたかいところを作れる
もちろんオーブンの発酵機能を使っても良い

パン生地はあたたかいところが大好き。発酵というとちょっと難しそうですが、人間でも快適な環境ってありますよね。「快適環境パン生地バージョン」を整えてあげると元気に活動してよりおいしくなる、と覚えてあげてくださいね。

この記事がヒントになって、手作りパンのある生活の一歩を踏み出してもらえたら嬉しいです。

自宅の教室でも11年間パンを教え続けていますが、もっとたくさんの方にパン作りの楽しさを知って欲しくて、この度、「Mart Creative KITCHEN」で動画レッスンをスタートしました。基本の生地2つから、毎日食べたいシンプルパンからプレゼントしたくなるかわいい動物パンまで6つのパンが作れます。食卓を楽しくするサンドイッチ作りのコツや、テーブルコーデのコツもお伝えしているので、パン作りにすぐトライしない人にも楽しんで頂けますよ。

写真・文/はまくま

 【Profile】はまくま


2011年に「かわいいパンとたのしい暮らし」をテーマに横浜市の自宅でおうちパン教室をスタート。独自のレシピやクラフトを活かしたおもてなしテーブルが評判となり、開始1年でキャンセル待ちが100人を超える人気教室に。以来募集したレッスンはすべて満席、予約の取れない教室と呼ばれている。ハンドメイド商品の開発をしていた経験を活かした「型紙でパンのバランスを取る」という料理の常識に捉われない柔軟な発想も話題。パンムックのレシピ開発、パン型のレシピ監修なども手掛ける。レッスンメニューでは、ひとつの生地から「かわいいくまパン」と「毎日食べたいスタンダードなパン」を展開し、おうちでの復習のしやすさも心がけている。フードコーディネーター/パンシェルジュプロフェッショナル

教室  https://hamakuma.net/
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