お酒の飲みすぎ?医師に聞いた【肝機能】で数値が高いと要注意な項目とは

だいたいの人は体の中の変調に気づきません。血液検査は負担が軽く、血液は体の症状によって常に変化するため、最新の結果がわかります。ただ受けるだけでなく、健康になるチャンスを摑むために、検査結果のポイントを知りましょう。今回は肝機能の見方について説明します。

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血液検査の【肝機能】で何がわかる?

肝臓の主な働きは、①栄養素を取り込み、体が必要な成分に作り変える②有害物質を解毒する③食べ物の消化に必要な胆汁を作る、という3つ。肝臓は症状が現れにくい「沈黙の臓器」。知らないうちに悪化している危険性があるため、定期的な検査が必要なのです。

──標準範囲が病院によって異なるのはなぜ?

学会などの基準を元に病院や検査センターで決めており、健康診断は予防に軸足を置いているため厳しめの数値も。差違は許容範囲なので、数値単体より変動に注意してください。

東京・銀座にあるAGE牧田クリニック院長。糖尿病専門医。医学博士。1979年北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学生化学講座で、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行い、高い評価を受ける。『医者が教える食事術 実践バイブル』(ダイヤモンド社)など著書多数。

教えてくれたのは……牧田善二先生

\検査項目の意味をチェック/

T-Bill:黄疸の診断。病態、経過などを把握するのに重要。
TP:血液中に含まれるたんぱくの量を示し、肝機能、腎機能障害で変動。
A/G比:血液の中に流れるアルブミンとグロブリンの量の比率。
TTT:血清の中のたんぱく質を調べる検査(チモール混濁反応とも言う)。
ZTT:血清の中のたんぱく質を調べる検査(クンケル試験とも言う)。
ALP:肝胆道系の疾患で上昇。骨の病気で上昇することもある。
AST(GOT):肝臓、腎臓の細胞に含まれる酵素。アルコール性肝炎や肝硬変に。
ALT(GPT):同上。慢性肝炎や非アルコール性脂肪肝に。
γ-GTP:肝臓、胆管に存在する酵素。アルコール性肝障害などで上昇。
LDH:体内で糖がエネルギーに変わる時に働く酵素。
AFP:肝がんの腫瘍マーカーとして用いられる。
LAP:胆汁の流れが阻害されると数値が高くなる。肝炎、肝硬変に。
ChE:肝臓の合成能力に異常がないか判断。肝機能が停滞すると低値。
総ビリルビン:黄疸の診断、病態、経過を把握するために重要。頻繁に変動する。

AST、ALT、γ-GTP…この3つの違いって何?

AST(GOT)とALT(GPT)は、肝臓細胞で作られる酵素。肝臓の障害によって細胞が壊れると血液に流れ出ます。ASTは肝胆道系の疾患に。ALTは肝細胞の変性、壊死を敏感に反映。γ-GTPは、胆道から肝臓に分泌される解毒作用に関する酵素で、アルコールにより高値に。

AST:111、ALT:247、γ-GTP:145 この数値になったら要注意!

AST(GOT)とALT(GPT)、γ-GTPがこの数値になったら脂肪肝が疑われます。まったくお酒を飲めないような人がなる非アルコール性脂肪肝は、糖質の摂りすぎで中性脂肪が肝臓に付き、フォアグラ状態になっています。

▶脂肪肝の原因は?
お酒を飲みすぎるとγ-GTPが上昇します。AST(GOT)はアルコール性肝障害や薬の副作用、心筋梗塞などで高くなります。ALT(GPT)は慢性肝炎や肝臓に問題がある時に異常値を示し、上記の脂肪肝になると高くなります。糖質の多い食事、運動不足、喫煙など生活習慣が主な原因です。

▶こんな危険が迫ってる!だから次にやるべきことは?
脂肪肝をそのまま放置すると、肝臓の機能低下や肝硬変に。脂質異常や糖尿病を併発して、動脈硬化を進行させるリスクもあります。消化器内科の肝臓の専門医に相談し、食生活の改善や薬を飲んで治療するなど、悪化させないのが重要。

<Point>総合評価は冷静に受け止めて

「要経過観察」と「要注意」はそのまま何もしないのではなく、食事の改善や運動などをしながら生活すること。「要再検査」「要精密検査」は通院中の病院やかかりつけ医があるのであれば、そこから検査に進み、結果次第でしかるべき専門医に紹介をしてもらってください。

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