夜中にトイレで起きる原因は?【夜間頻尿】の対策4つ
40代になって、夜中に尿意を催して目が覚めることが増えたと感じませんか? 夜中に1回以上起きてトイレに行くことを「夜間頻尿」といいます。また、60代で夜中にトイレへ行っている人の割合は7〜8割といわれており、しっかりと睡眠がとれないと、日中に眠くなり日常生活に支障が出てしまうこともあるでしょう。今回は、そんな夜間頻尿の原因と対処法を紹介します。
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1:夜中にトイレで起きる……夜間頻尿とは?
夜間頻尿とは、就寝後にトイレへ行くため、1回以上起きなければならない症状。専門的には1回以上ですが、実際に受診した場合には2回以上を問題として診療が行われています。加齢に伴い男女ともに多くみられる症状ですが、睡眠の質の低下に大きく作用しているため、日常生活に支障を及ぼす場合があります。夜間頻尿の症状を改善することで、日々の生活を快適なものに近づけることができます。
2:40代以降の男性に夜間頻尿が多いのはなぜ?
夜間頻尿は40代以降の男性に多いとされていますが、その原因となっている可能性がある病気を3つご紹介します。
①前立腺肥大症
前立腺肥大症になると尿が出にくくなったり、トイレに行く回数が増えたりするなどの症状があらわれます。前立腺肥大症の薬を服用することで、症状の改善が期待できます。55歳以上になると5人に1人がこの症状を発症しているといわれているため、注意が必要です。
②過活動膀胱
過活動膀胱では、膀胱に尿が少量しか溜まっていない状態でも、過度に膀胱が収縮してしまい、尿意を感じてしまいます。日中もトイレに行く回数が多い場合は、過活動膀胱を発症している可能性があるでしょう。
③夜間多尿
夜間多尿は、1日の総尿量の1/3以上が就寝中に排出されている状態のことを指します。水分の摂りすぎや血行不良をはじめ、高血圧・糖尿病などの疾患が原因となっている場合もあるので、早期の治療が必要です。
3:夜間頻尿にならないための対策とは
夜間頻尿を放置してしまうと、日常生活のなかでさまざまな支障が出てしまうことが分かりましたが、どのような対策をしたら良いのでしょうか。自宅で簡単にできる対策をご紹介します。
①塩分摂取量を減らす
塩分を摂りすぎると、知らないうちに喉が渇くようになってしまいます。その結果、水分摂取量が増えて尿も多くなってしまうのです。日常的に味付けが濃いものを食べている方は、それらを減らすと症状の改善が期待できるでしょう。
②水分を摂りすぎない
水分摂取は大切ですが、摂りすぎには注意です。体重1㎏あたり20㎖を目安に水分を摂取するようにしましょう。また、寝る前のコップ一杯の水を控えるだけでも症状の改善が見込める可能性があります。
③アルコールやカフェインを控える
水分のなかでも、アルコールやカフェインは覚醒作用や利尿作用があるため、夜間に目覚めることや頻尿に大きく影響してしまいます。アルコールやカフェインを日常的に摂取している方は、頻度を減らすといいでしょう。
④弾性ストッキングを履く
薬局などで販売されている、むくみ対策用ストッキング(弾性ストッキング)を使用しましょう。夜間頻尿対策には、ひざ下までのハイソックスタイプが履きやすいためおすすめです。弾性ストッキングを履くと、下半身に水分が溜まりにくくなります。就寝後に下半身から上半身に戻る体液量を減らし、夜間頻尿を改善します。
⑤足上げをする
日中に10~15cmほど足を高くして15分ほど仰向けになりましょう。下半身に溜まった水分を上半身に移動させて排尿を促し、夜間頻尿を改善します。なお、就寝時の足上げは逆効果なため、行わないでください。
⑥漢方薬を飲む
夜間頻尿の対策として、漢方薬を服用することも効果的です。血流の改善で神経疾患や脳の働きにアプローチして過活動膀胱を改善したり、水分の巡りを良くして余分な水分を排出させたりする漢方薬から、症状に合わせて選びましょう。血流や水分の巡りが良くなって自律神経が整うと、睡眠の質やストレスへの耐性がつくなどのメリットもあります。
〈夜間頻尿への効果が期待できる漢方薬〉
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
泌尿器系の機能を補い、足腰や下半身の衰えに効果が期待できます。夜間頻尿のほかにも前立腺肥大症、糖尿病への効果があります。
・猪苓湯(ちょれいとう)
尿路の熱や腫れに作用し、頻尿、残尿感、血尿などに用いられます。口の渇きがあり、尿が出にくく、排尿痛や残尿感がある方に向いています。
・清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
尿路の熱や腫れのほかにも、痛みを和らげる作用があり、頻尿、排尿痛、残尿感などに用いられます。特に、胃腸が弱く、不安感やイライラ感、不眠などの神経症状が出ている方におすすめする漢方薬です。
漢方薬を服用する場合のポイントは「自分の体に合った漢方薬を、適切な組み合わせで服用すること」です。自分の体質に合っていない漢方薬や、間違った組み合わせで漢方薬を服用してしまうと、期待する効果が出ない場合や副作用が生じてしまう可能性があります。
4:症状が長引く場合は医療機関へ
夜間頻尿は、生活習慣が影響して発症していることも多いですが、ほかの病気が原因となっている可能性もあるため、症状が長引く場合は早期の受診をおすすめします。下腹部や泌尿器に痛みがある場合は、膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染症を引き起こしている可能性も。また、血尿が出る場合は泌尿器のがんや、尿路結石の可能性もあります。これらを放置してしまうと病気が進行し、最悪命にかかわることもあるため、早めに医療機関を受診することが大切です。
5:夜間頻尿に悩まない生活を目指そう
夜間頻尿の原因にはさまざまなものがあります。放置してしまうと日常生活に支障が出たり、病気が隠れていたりする危険性があるため、早期に改善することが大切です。今回ご紹介したことをぜひ試して、夜間頻尿に悩まない充実した生活を送りましょう!
「あんしん漢方」(オンラインAI漢方)の薬剤師。認定運動支援薬剤師。就実大学薬学部卒業。病院薬剤師として約7年間勤務後、漢方薬局で2年間勤務。ファスティングマイスターとして100名以上のファスティングをサポート。TiktokやInstagramでファスティング・美腸を普及する活動も行っている。Medicalhealthチャンネルに出演中。
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