中川大志さんが昭和の歌謡界を舞台にした音楽劇『歌妖曲～中川大志之丞変化～』に主演！　本格的な舞台作品に初挑戦する中川さんのインタビュー後編では〝ウェルビーイングなこと〟についてお話を伺いました。

――中川さんが仕事への向き合い方やプライベートの過ごし方など、メンタル的な面で意識している〝ウェルビーイングなこと〟を教えてください。
10代の頃は何でも完璧でないと嫌だったんです。何かひとつ欠けると、それまで積みあげてきたものがすべて台無しになってしまうのではないかって、とにかく完璧にしたいタイプでした。でも20代に入った頃からか、完璧でないほうが面白いと思うようになってきました。なにか欠けていたり、なにかアンバランスだったり、不規則だったりすることのほうが面白いと思うようになったんです。それは妥協するという意味ではなくて、精一杯に取り組んだ結果、自分が思い描いていたこととは違う結果が出たとしても、それを受け入れられるようになったというか。以前は結構引きずったり、悔しかったりしたんですけど。受け入れることで自分に期待ができるようにもなりました。もちろんそのためにはいっぱい準備して、思いきり飛びこまないといけないのですが、がむしゃらにやった結果がどんな形であれ、面白いなと思えるようになりました。

――今作は地方公演も含め全48公演。健康管理や体力キープのために気をつけていることがあれば教えてください。
 今回、そこがすごく重要だなと思っています。健康面もそうですし、精神面もそうですし、メリハリを持ってオンとオフを切り替えていかないと…。今回、演じる役がかなりエネルギーを使う役なので、稽古中の今も頭の中が役に浸食されている(笑)。最近は稽古中の夢を見たりするので、寝てるんだけど起きてるという感覚があります(笑)。全48公演舞台に立つというのも初めてですが、自分をコントロールすることが役者の仕事のひとつですし、最高のパフォーマンスをできる状態にするには、体だけではなく心もコントロールしないといけないと思っているので。睡眠時間だけはきちんと取ろうと心がけています。家に帰って台本を読んでソファで寝てしまう自分はもう許されない(笑)。何が何でもお風呂に入って、きちんと寝るモードになって寝なければと考えるようになりました。本番が始まってからのためにも、翌日に影響を出さないようにその日のうちにどれだけリセットできるかという練習を今からしています。役に没頭してしまうと食べることもおろそかになって、お腹が空いているのも忘れてしまうので、ごはんも意識的に摂ることを心がけないといけないなと思っています。

――ゴルフや釣りが趣味で小型船舶の免許もお持ちだそう。休日にリラックスしたり、リフレッシュするためにやっていることは何でしょう。
やっぱり外の空気を吸うことですかね。撮影にしても稽古にしても、ずっと室内にいて、外に出たら日が暮れているということが多いので、感覚がおかしくなるんですよ(笑)。だからゴルフや釣りが好きなんです。陽の光を浴びるとリフレッシュできるし、ゴルフや釣りに行けなくても、休みには運動したりジムに行ったり朝早くから活動しますね。そこで体を動かしていたほうが体調もいい感じです。もちろん１日ダラーッとする日もあるんですけど、外に出たほうが僕には合っている気がします。

――「これがあれば頑張れる！」というもの、今作を終えたら自分へのご褒美にしたいことはありますか？
旅行に行きたいですね。温泉に入って美味しいものを食べたい。ぼーっとしたいですね。お酒も好きなんですけど、今は舞台に向けてお酒もあんまり飲んでないですし。飲む気力がないって感じです(笑)。この舞台をやりきった後に最高のお酒を飲みたいですね。

――お話を伺っている限りはいつもの明るく素敵な中川さんですが(笑)、先ほどもおっしゃっていたように実は体も心も今作の役に浸食されてる感じでしょうか？
もうずっと、この作品のことを考えてます。24時間、考えてます(笑)。僕はそういうつもりはなくても、頭の中に浮かんできてしまうんです。身体的なアプローチも難しかったりするキャラクターなので体の表現も難しくて。でも楽しいですよ。すごく、やりがいがありますね。

撮影／木村 敦　ヘアメーク／佐鳥麻子（Vitamins）　スタイリング／高橋 毅　取材・文／駿河良美　構成／中畑有理(CLASSY.編集室)