【中川大志さんスペシャルインタビュー】初舞台で主演、アナログレコードで「歌手デビュー」も!

映画、ドラマで大活躍している中川大志さんが昭和の歌謡界を舞台にした音楽劇『歌妖曲~中川大志之丞変化~』に主演! 本格的な舞台作品初挑戦にして主役を務める中川さんへのスペシャルインタビューを2回にわたりお届けします。

――明治座×東宝×ヴィレッジに

――明治座×東宝×ヴィレッジによる話題のプロジェクト〝三銃士企画〟第二弾である今作。意外にも本格的な舞台は初出演となりますが、オファーを受けたときの思いを教えてください。
2020年に〝三銃士企画〟第一弾の『両国花錦闘士』を観劇させてもらったときにプロデューサーの皆さまから「ぜひ一緒にやりませんか?」というお手紙をいただきました。子供の頃からミュージカルや演劇を観るのは好きだったので、10代の頃から舞台に立ちたいという思いがありました。第一弾の観劇でこのチームのエネルギーをすごく感じたので、数日後にやらせてくださいとお返事をさせていただきました。これまでは映像作品を中心にやってきましたが、このタイミングで舞台を経験することで自分がどういう状態になるのか、終わった後にどうなっているのか、まったく想像もつかない新しいチャレンジができるのはありがたいことだなと感じています。

――中川さんが演じるのは、醜い

――中川さんが演じるのは、醜い風貌で不遇な宿命を背負った「鳴尾 定」と彼が姿を変えて美貌の歌手となる「桜木輝彦」。いわば二役のような難役かと思いますが、稽古の様子はいかがでしょう。
自分にとって経験のないことなので、1カ月半稽古ができるのは楽しみでもありました。ただ稽古場になれていないので、どんなふうに毎日積みあげていけばいいのかが最初は見えなかったんですけど、なにより心強い先輩方がたくさんいらっしゃるので。皆さん、すごく優しいです。僕が演じる「鳴尾 定」というキャラクターは、精神的にも体力的にもハードな役なので、稽古場でひとり端っこのほうで台本と向き合う時間があるのですが、ふとした時に皆さんが声をかけてくださったり。すごく救われています。少しずつですが皆さんとのコミュニケーションも増えてきて、カンパニーの雰囲気ができあがってきているというか…。チームの皆さんがすごく心強いですね。

――今作のために1年半前からボ

――今作のために1年半前からボイストレーニングを始め、体のトレーニングも新たに始めているそう。手応えや変化は感じていますか?
最初のボイストレーニングとしては、技術的なことよりも体の耐久性を上げていくことから始めました。48公演、歌って芝居をするという作品なので、それに耐えられる発声の仕方だったり呼吸の仕方だったり、地道なトレーニングから始めました。稽古に入ってからはまだまだだなと思うところもあり、やってきた成果を感じるところもあり。自分でも少しずつ進化してきてるなという手応えは間違いなく感じています。

――今作では「桜木輝彦」として歌手デビューが発表され、すでに主題歌『彼方の景色』のMVが公開されています。
僕の演じる「桜木輝彦」と「鳴尾 定」は、怒りや憎しみ、トラウマなど負の感情が原動力。作詞は今作の作・演出を手がける倉持 裕さんなのですが、言葉ひとつひとつにキャラクターの見ている景色や感情が表わされていて、すごくエネルギッシュです。特に主題歌の『彼方の景色』はこの作品の推進力にもなるようなパワーのある楽曲で、桜木の復讐劇の始まりというか、突き進んでいくスタートの合図みたいなパワフルな楽曲になったと思います。サウンドもすごくシンプルだけれど昭和の金管楽器も入っているバンドが演奏しているような、賑やかで華やかさもある音だなと思います。

――主題歌『彼方の景色』と劇中

――主題歌『彼方の景色』と劇中歌『失われた時に』の2曲が配信シングルに続き、アナログレコードも11月6日にリリースされます。今またアナログレコードが流行っていますが、中川さんはお持ちでしたか?
もともと音楽を聴くのはすごく好きでしたし、以前に出演した映画『坂道のアポロン』は昭和を舞台にしたジャズがテーマの作品だったので、劇中でもレコードがたくさん出てきてレコードに触れる機会が多かったんですね。それもあってレコードに興味を持って、家でも聴きたいなと思っていたんですけど、僕は凝り性なので一度手を出すとひくにひけなくなってしまうなと思って(笑)。タイミングを探してたというか。今作のこともあって、今年の始めくらいに自宅用にレコードプレーヤーを買いました。まだレコードの枚数は多くないですが、休みの日にレコード屋さんに行っていろいろ漁ったり、知り合いの方にいただいたりして聴いています。今回はアナログもリリースするということで、まさか自分の歌っている曲をレコードプレーヤーで聴けるとは思ってなかったですね。

――もともと歌うことは好きでし

――もともと歌うことは好きでしたか? カラオケではどんな曲を歌いますか?
そうですね。小、中学生の頃は自分でギターを弾いて歌ったりしていました。カラオケで歌うとしたら…尾崎豊さんとかTHE YELLOW MONKEYさんとか。親の影響が大きかったですね。子供の頃から親世代の楽曲をよく聴いていました。歌う曲は…いっぱいあるんですけど(笑)、尾崎豊さんの『Forget-me-not』が好きでよく歌います。

――中川さんが感じている今作の魅力と今の意気込みを教えてください。
昭和の歌謡界は僕の世代からするとすごく新鮮なところもたくさんあって、今はないエネルギーだったりファッションやカルチャーだったり音楽だったり、すごく色鮮やかでポップな印象があります。そこに血生臭さというか、人間の内側から滲み出てくる匂いや温度みたいなものが加わって、観てくださる方々の深い部分に響くような熱量のある作品にできればと思っています。僕自身も「鳴尾 定」と「桜木輝彦」という役を通して、大千穐楽を迎えたときにどんな景色が見れるのか楽しみです。先輩方の胸を借りて、精一杯走りぬきたいと思っています。頑張ります! すごくいい舞台にしますので、楽しみにしていてください。

中川大志
‘98年6月14日生まれ 東京都出身 血液型B型●’09年に俳優デビュー。‘11年ドラマ『家政婦のミタ』で注目され、その後、多数のドラマ・映画に出演。’19年『坂道のアポロン』、『覚悟はいいかそこの女子。』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。最近の主な出演作はドラマ『オールドルーキー』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、映画『砕け散るところを見せてあげる』など。映画『ブラックナイトパレード』が12月23日公開。主演映画『スクロール』が‘23年2月公開予定。

音楽劇『歌妖曲~中川大志之丞変化~』
中川大志が舞台初挑戦にして初座長を務める、明治座×東宝×ヴィレッジによる〝三銃士企画〟第二弾。シェイクスピアの『リチャード三世』を原案に昭和の歌謡界を舞台にした華麗なる復讐劇を描く。醜い風貌と不遇な宿命を背負い、歌謡界で悪逆の限りをつくす主人公「鳴尾 定」が、美貌の歌手「桜木輝彦」となり歌謡界を席巻するも、破滅への道を突き進む。作・演出/倉持 裕 出演/中川大志 / 松井玲奈 福本雅樹 / 浅利陽介 中村 中 / 山内圭哉 / 池田成志 ほか。【東京】’22年11月6日(日)~30日(水)明治座【福岡】12月8日(木)~12日(月)キャナルシティ劇場【大阪】12月17日(土)~25日(日)新歌舞伎座 http://www.sanjushi2nd-2022.com

撮影/木村 敦 ヘアメーク/佐鳥麻子(Vitamins) スタイリング/高橋 毅 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)