高杉真宙さんが選ぶ! 「仕事に向き合うモチベが上がる」3つの漫画
確かな演技力で実力派俳優としてたくさんの作品に出演する一方、バラエティではお茶目な一面も垣間見せる高杉真宙さん。8月26日に公開された映画『異動辞令は音楽隊! 』では、目標に破れ仕事へのやりがいを見出せずにいる若手警官・北村裕司役を演じています。高杉さんが選ぶ、仕事観に影響を受けた3つの漫画とは—。
”漫画が大好き!”と公言し、自宅の蔵書は1,500冊を超えるという漫画ラバーの高杉さん。自分を支える趣味の一つが漫画だという高杉さんが、自身の働き方に影響を与えたと感じる3つの作品を教えてくれました。
高杉真宙さんが選んだ“仕事と自分”を考える3冊はコレ!
「大東京トイボックス」(うめ/幻冬舎コミックス)
ゲームクリエイターを目指す元気な関西娘・百田モモが主人公。かろうじてゲーム制作会社スタジオG3の企画見習いとなったモモを待っていたのは、夢と現実の違いを痛感させられる、リアルな修業の日々だった—
「ボールルームへようこそ」(竹内友/講談社)
平凡な中学生、富士田多々良。ある日、謎のヘルメット男に出会った多々良は訳もわからず連れ去られてしまう。男が向かった先は……何と社交ダンスの教室。ダンスの世界に一歩を踏み出した多々良の日常が、みるみる変わり始める。
「左ききのエレン」(原著かっぴー・漫画nifuni/集英社)
広告代理店勤務の若手デザイナー・朝倉光一。納得出来ない理由で自ら勝ち取った仕事を取り上げられた彼は、やりきれない気持ちを抱えて横浜の美術館へと向かう。そこは、彼が初めて「エレン」という才能と出会った場所で…。大人の心もえぐるクリエイター群像劇。
1:作品づくりに向き合う姿勢を変えてくれた1冊
1冊目:「大東京トイボックス」
これは、結構シビアなお仕事漫画です。僕の心に響いたのは、夢に対して折れちゃった人がいたりとか、コンプレックスがあったりとか、夢を諦めようとするけどやっぱりがんばったりとか、そういう心情的な部分が描かれているところ。もともと僕は、作品を作る上で誰かに影響を及ぼすことがすごく嫌だったんです。映画やドラマを見てくれた人が、劇中のなにかに惹かれてそれを始めるとか、そういうことを好んではいなかったというか…。自分が知らない誰かに影響を与えることに、責任を取れないなって感じていて。でも、この作品を読んで考えが変わったんですよね。「他人の人生を拘束しておいて、何も残らないようなものを作る意味はあるのか?」みたいなセリフがあるんですけど、確かにそうだなって思って。何かを作って、それを見る人たちがいて、10分でも20分でもその方たちの人生の時間をもらうんだから、だったら何かを影響を及ぼさないといけないんじゃないかっていう考えは正しいなあって思うようになりました。最初に読んだ当時はこのセリフの意味が理解できていなかったんですけど、今になってすごく響いていて。仕事で何かもの作りをする方たちには響く言葉なんじゃないかなと、思っています。
2:腹をくくることの大切さを教えてくれた1冊
2冊目:「ボールルームへようこそ」
これは僕が高校生の頃から読んでいる漫画で、ずっと好きな作品です。高校生の頃に、本当に演技の仕事をしたいのかわからなくなった時があって、そんな時に読んでいたんですけど、この作品の主人公も何もない主人公なんです。何がしたいかもわからない主人公が、社交ダンスに出会って自分という人間を知っていく。その自分を知っていく過程で、周囲の人とのつながりができていって、さらに自分を深く知ることになって。この作品からは、時には図太くあることの大切さとか根性とか、やらなきゃいけない時っていうのがあるっていうのを学んだように思います。僕自身、演るしかない職業というか、たとえばサックス奏者の役をいただいたら、それは吹けるようになるしかない。できない、っていう選択肢はないんですよね。その「練習するしかない! できるようになるしかない!」っていう感覚は、この漫画に養ってもらった部分も多いと思います。メンタル自体というか、自分のメンタルのあり方を教えてくれた作品のひとつです。
3:努力を怠らないことの大切さを教えてくれた1冊
3冊目:「左ききのエレン」
天才に憧れる少年と、絵を描くことに天性の才能を与えられた少女が出会って、複雑な化学反応を起こしていく。天才とは何なのか、自分は天才なのか凡人なのかっていうことがテーマのストーリーで、ヘビーな内容も多い作品です。仕事をしていると、いろんな人と出会っていくじゃないですか。そういうとき、やっぱりどうしても人と自分を比べる瞬間ってあると思うんです。あの人よりダメだ、とか自分の存在価値ってなんだろうとか。でも、それでもひたむきに自分というものを磨いていく姿が描かれていて、努力というものを怠らないことの大切さを教えてもらったように感じます。人それぞれ、いろんな立場にいるわけで、その立場によって大変さも違うってことを忘れないようにしたいな、って思いながらこの漫画を読むことが多いです。
(c)2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会
8月26日(金)より全国公開
映画 『異動辞令は音楽隊!』
成瀬司(阿部寛)は、違法すれすれの捜査や組織を乱す個人プレーで仕事を進める55歳の鬼刑事。しかし、そのスタイルがもとでトラブルを生み、警察音楽隊に異動させられてしまう。自動車警ら隊と兼任するサックスの北村裕司(高杉真宙)や、子育てと交通課の仕事を両立するトランペットの春子(清野菜名)は、威圧的な成瀬の態度に反発し、敵視するようになって—-。
撮影/木村 敦 ヘアメーク/堤紗也香 スタイリング/荒木大輔 構成/宮島彰子(JJ編集室)