大橋和也主演ドラマ『消し好き』の今後が気になる【辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2022 vol.37】

大ブレイク中のアイドルグループ「なにわ男子」の大橋和也さんが主演を務める青春ドラマ『消しゴムをくれた女子を好きになった。』。実話をもとにしたピュアな青春ラブストーリーと、大橋さんに加え、親友役を演じる藤原丈一郎さん、小島健さんら関西ジャニーズアイドルのチャーミングさが相性抜群の夏ドラマを辛酸さんと一緒にチェックしてみました。

大橋・藤原・小島のリアルな仲良し感にほほえみが止まらない

こんな深夜ドラマを観て眠りにつ

こんな深夜ドラマを観て眠りについたら気持ちよく熟睡できそうな『消しゴムをくれた女子を好きになった。』。実話をもとにした青春ドラマで、「なにわ男子」の大橋和也が主演。友人役を「なにわ男子」藤原丈一郎と「Aぇ! group」の小島健がつとめているので、リアルな仲良し感にほほえみが止まりません。
「実際に俺の身に起きた話をしていいかな」そんな心のつぶやきではじまる『消し好き』のストーリー。「これは俺の13年の恋の物語。はじまりは中二の春……」そんなに一途な男子がいるのかという思いで早くも切なさがこみ上げます。
中二のある日、主人公の福田悠は隣の席の伊藤さとみがシャーペンの芯を切らしていたのを見て、1本わけてあげます。さとみはそのお返しに、突然、惜しげもなく消しゴムを割って片方を福田に渡す……何気ないけれどおまじないのような行為に、福田は一瞬で恋に落ちてしまいます。ちなみに消しゴムを使ったおまじないでメジャーなものといえば、好きな人の名前を書いて誰にも触られずに使い切る、という術があります。でももしかしたら、ピュアな男子は消しゴムを割って半分渡す、という単純な行為で簡単に落とせるのかもしれません。夢占いで消しゴムは「リセット」「方向転換」を表すとされます。彼にとっては童貞ライフから脱却する、という方向転換のスイッチが入ったできごとだったのかもしれません。
幼なじみの板倉和希(藤原丈一郎)は、さとみが消しゴムを新調したのを見て、「片割れを大事に持っている、ということはお前に惚れている」と、妄想を交えて福田を煽ります。「伊藤なんてタイプじゃないし。つーか彼女なんていらねえし」と中二全開でイキる福田。

 

実話ならではのゆっくりした展開もリアル

しかし脳内では、お互いの割れた消しゴムを合わせるシーンなど延々と妄想を繰り広げているのでした。もはや消しゴムの性行為です……。しかしその後、二人は中二では接点がないまま中三に進級。文化祭の出し物(「CHE.R.RY」のアカペラ……ということは2007年頃の話?)を一緒にやることになった福田とさとみと友人たち。板倉や同級生のオタクキャラの森友彦(小島健)がわざと遅れて来たため、福田はさとみと一緒に買い出しに行ったり、二人でかき氷を食べたり、さとみと部屋でツーショットになったりと、青春のときめきシーンが連発。早熟な中学生なら2人きりになってすぐに行為に及びそうですが……妄想でエネルギーを消耗している福田には、そこまでの脊髄反射力や気力はなかったのでしょう。部屋にエロいポスターを貼ってサブリミナル効果を狙うのが精一杯でした。
文化祭での歌の発表は銀賞という惜しい結果になり、告白のタイミングを失い、ラブレターも渡せない福田。そうこうしているうちにさとみは転校していってしまいます。実話なので、ゆっくりした展開がリアルです。福田の妄想癖はエスカレートして、川原でさとみが隣に座って「私、本当はずっと福田くんのことが……」と告白されるシーンを思い描きます。接近したら,現実はさとみではなく森だった、という一幕も。一瞬BLっぽい展開に萌えが走りました。

中学では何の進展もなかったのが…運命の再会!

そして第3話で高校生になって、運命の邂逅が。夏の間、釣り宿でバイトするために福田と板倉、森の三人が伊豆にやってくると、なんと別の近くの旅館にさとみと女友達がバイトに来ていたのです。しかし福田は海岸で妄想の中のさとみと会話していたので、本物のさとみが近付いていてもなかなか現実だと気が付きませんでした。「久しぶりだね」と言うさとみに対し、また幻影だと思って「もういいよ、消えてくれ」と言ってしまいます。
思春期男子の頭の中は妄想でいっぱいなのでしょうか。板倉は福田とさとみが二人きりになれるように画策をして、「浴衣を着てきたら帯をほどいてくれっていうサイン」と、妄想と願望が入り交じった説を展開。待ち合せの時間、福田の前に現れたさとみは浴衣姿でした。妄想をふくらませる福田。しばらく散策しますが、さとみのバイト先の門限が厳しく、入り口が閉ざされてしまいます。さとみと一緒に旅館に忍び込んでどさくさにまぎれて手を握る福田。部屋に入ったら誰かが来たので2人で布団をかぶる、というドキドキの展開に……。でも一緒の布団に入っても、すぐに手を出せないのが福田らしいです。実はメガネを取ったらイケメンの森のほうが隠れ肉食系だったのかもしれません。

第1話の出だしにどうつながるのか気になる今後の展開

福田は今回のできごとを妄想の題材にして、しばらくそれだけで生きていけるのではないでしょうか? 実体験をしないまま脳内のさとみがどんどん美化されてゆき、現実とかけ離れていってしまいそうな予感です。第1話の出だしがさとみにフラれるシーンで始まっていましたが、もしかしたらさとみは現実の自分を見てくれない福田に対して耐えられなくなってしまった、という展開かもしれないと勝手に予測。
「消しゴム」が重要なモチーフになっている作品ですが、いつまでも中二マインドの福田が過去を振り返った時、全てが黒歴史で消し去りたい、という意味もはらんでいるのかもしれません。でも、人を好きになって空回りしたり,妄想にふけったり、そんな思い出は誰にでもあるはず。福田に感情移入しつつ、関西ジャニーズの明るさやポジティブさで黒歴史が成仏しそうなドラマです。

辛酸なめ子


イケメンや海外セレブから政治ネタ、スピリチュアル系まで、幅広いジャンルについてのユニークな批評とイラストが支持を集め、著書も多数。近著は「辛酸なめ子の世界恋愛文学全集」(祥伝社文庫)、「女子校礼賛」(中公新書ラクレ)、「電車のおじさん」(小学館)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)など