息子が、大学をやめて保育の専門学校に行きたがっています【ジェーン・スー×HARUKOの人生相談Vol.41】
40代女性の気持ちを代弁するような明快な語り口が人気のコラムニスト、ジェーン・スーさん。新聞やラジオ、雑誌で多くの方のお悩みに答え、その胸のすくような回答には励まされる読者も多数。
一方、波乱万丈の人生経験を持ちながら、いつも前向きで飾り気がない人柄で、誰からも愛されるモデルのHARUKOさん。歯に衣着せぬ語り口で、仲間のお悩みにさっと答えてくれると評判です。
そんなおふたりに『STORY』読者の真剣なお悩みに答えていただきます!
<PROFILE>
ジェーン・スーさん
コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月〜木11:00〜)のパーソナリティを担当。毎日新聞をはじめ新聞・雑誌で数多くの連載を持つ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』は、第31回講談社エッセイ賞を受賞。
HARUKOさん
モデル。短大時代、『JJ』にて山田明子(はるこ)の名でデビュー。以来、数々のファッション誌で活躍。’03年に結婚後、九十九里浜に移住、長女を出産。’12年に離婚。HARUKOに改名し、現在『STORY』にて活躍中。趣味はサーフィンと読書。
~第41回~
◇ 息子が、大学をやめて保育の専門学校に行きたがっています
昨年東京の大学に進学した息子が、大学をやめて、保育関係の専門学校に通いたいと言い出しました。高校時代は塾に通わせ、私立大学の経済学部に入学し、東京で下宿生活を始めましたが、昨年はオンライン授業で友達ができないとは聞いていました。でも、その状況を嫌がってはおらず、この春からはやっと対面授業になり、元気に大学に通い始めたと聞いていました。ところが、4月下旬になり「将来は大学を卒業して、東京で企業に就職するもの、と思っていたが、今は、大学が楽しいと思えないし、このまま卒業して、就職するよりも、資格を取ったほうがいいのでは?と思うようになった」というのです。
たしかに、男性の保育士や幼稚園教諭も増えていますが、息子が特に子ども好きだったようには見えなかったし、学校が面白くないからと安易に逃げているのではないか、と心配になりました。また、退学してしまったら、大卒の資格がなくなるというのも心配です。せっかく払った入学金や授業料を無駄にしてしまうのも、残念な気がしてしまいます。教育学部などを受け直す方法もあるかと思うのですが、下にも2人息子と娘がいるので、これ以上、長男だけにお金をかけることもできません。息子の人生なので、息子のしたいようにするしかないのですが、親として、今、どういうアドバイスをしてやれば、息子が一番いい選択をできるのかと、悶々と考えています。お二人だったら、どんなアドバイスをされるのか、ぜひ教えていただければと思い、ご相談しました。
(札幌市在住 46歳 パート勤務)
どうして、保育関係の専門学校なのかについて、親として、説明を求めたいですよね。保育関係の仕事は、すごくハードだし、本当に子どもが大好きという人でも大変な仕事。生半可な気持ちで足を、大変なことになってしまうこともあると思うので。息子さんが、ご両親を説得できるくらいの理由があって、ご両親が納得できたら、ようやく次の段階に入れるんじゃないかと思いますよね。このご相談内容からすると、確かに、息子さんが現状から安易に逃げているという可能性もありますよね。大学生とは家、まだまだ子どもだから、「もう1年、頑張ってみれば?」って促したら、木が変わることもあるかもしれない。
保育関係のお仕事っていうのは、資格があった方が就職に有利だから、という理由で選ぶ仕事ではないんじゃないかなと思うんです。保育って、命を預かることだし、子どもに影響与えるわけだから、HARUKOさんがおっしゃったみたいに、本当に子ども好きな人でも、きつくなることもあるだろうし。お給料が仕事に見合っていないという現状もよく話題に上りますよね。一日も早くその状況は改善してほしい問題だけれど。資格云々ではなく、ほかの理由があるんじゃないかな。 だから、HARUKOさんの言うように、親を説得できないなら、1年後にまだやりたいなら、相談に乗るよっていう感じでいいのではないかな。もう、20歳ぐらいだと思うので、「大学進学するにあたっては、このくらいお金がかかったんだよ。それを、親を説得できないような理由で全部無駄にするっていうのはどうかな」と話していいとも思うんですよ。
どうしても大学を辞めたいんなら、保育士以外の資格についても広く考えてみたら? 別の選択肢もありますよね。
当連載は毎週金曜日配信です。
お二人に相談したいことを募集中です。storyweb@kobunsha.comまでメールでお送りください(お名前はイニシャル等匿名で掲載します)。採用された方にはQUOカードをプレゼントいたします。
撮影/吉澤健太 取材/秋元恵美