【大人の歯ケア】40代からやっておくべきことって?

マスク生活で口呼吸が増え、乾燥しがちな口の中はトラブルの温床!歯にしっかり向き合ういいタイミングかもしれません。素朴な疑問から本格的な治療の話まで、知っておくだけで「一生嚙める歯」に一歩近づけるかも。80歳で20本の歯を保つために、まずは歯の基本をおさえておきましょう!

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そもそも「8020(ハチマルニイマル)」って?

28本ある永久歯を「80歳になっても20本以上保とう」という、1989年より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している運動。口腔内の健康は全身に影響するため、歯の残数だけでなく健康の基盤を整えるという意味も。ワンピース¥57,200(セミクチュール/アノア)ピアス¥462,000(ジュエル・ジェイジー)

Q:8020を達成できてる人ってどれくらいいるの?

A:2016年のデータでは、男性女性を問わず、80歳以上で自分の歯が20本以上残っている人は全体で50%を超えるくらい。年々、達成率は上がってきていますが、まだ半数なんです。

 

Q:歯がなくなる原因って?

A:40歳までは、歯がなくなる原因の第1位は虫歯。次が外傷、3位が歯周病と言われています。60歳を超えると歯周病がもっとも多くなります。ちなみに歯周病の発症はだいたい40代半ばで、早い人で36歳。30代で発症すると歯がなくなる確率がかなり高くなります。

 

Q:どんな歯医者さんを選べばいい?

A:歯の健康に重要な歯周病予防は、実は歯科衛生士の領域。なので衛生士の人数が多い歯科医院がおすすめ。具体的には、HPで衛生士の多さをアピールしていたり、予防に力を入れている「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」を謳っているところがいいですね。

 

Q:虫歯は大人でもよくなるもの?

A:生まれた時は口の中が無菌状態ですが、一度虫歯菌が入り込むと、もう二度といなくなることはありません。60歳を超えると歯周病が原因で歯が抜け始めますが、この時に歯周病に気を取られて、増殖する「大人虫歯」を放置してしまうことが問題になっています。子供虫歯の場合は歯の頭のエナメル質の部分に穴があき、大人虫歯の場合は、歯ぐきが痩せてむき出しになった歯の根っこに虫歯菌が巣くいます。根っこの部分はエナメル質ではないので、虫歯菌に弱いのです。なので大人になってからも虫歯には注意が必要です。

 

Q:「治療しなくてもいいけど虫歯になりかけている」という診断が…放っておいたら元通りになる?

A:虫歯は昔よりも判断基準が厳しくなっています。肉眼では確認できない場合でも病名がつくので、穴が空いているとすぐわかる状態はすでに重症!進行する前に治療を。今は塗り薬(※歯科医のみで施術可能な医療者向けの製品のため、一般の方は購入できません)もあるので、削らずに治療することも可能。今や虫歯は早期発見して治す時代になっています。

 

Q:歯医者さんにはどれくらいの頻度で通うといい?

A:3〜4ヶ月に一度とよく言いますが、大事なのは習慣化すること。検査が必要な場合はその頻度で。できれば月1でクリーニングを。

 

Q:虫歯の治療法はどんなものがある?

A:金属で詰める場合と、歯と同じ色の素材で詰め物をする「セラミック治療」があります。金属の場合は歯と金属の隙間に入れるセメントに少しずつ唾液が入り、虫歯が新たにできる可能性も。セラミックは自費診療で料金が高いですが、長く使えるというメリットがあります。

 

Q:歯にいい食べ物屋飲み物ってあるの?

A:素材感がわかる、食べ応えのあるもの。じつは厚揚げも推奨食材なんです。飲み物は豆乳。酸性度が低く、虫歯や歯周病のリスク減に。

 

Q:唾液は歯に影響する?

A:飲食をすると虫歯菌が活動を始め口の中が酸性になりますが、唾液にはそれをアルカリ性に戻してくれる働きが。病原菌を流してくれる機能もあります。女性は更年期に入ると唾液が減り、マスク生活での口呼吸でも唾液量が減ってくるので、唾液を出しやすくするマッサージもおすすめです。

 

Q:歯周病が他の病気のリスクにもなるって本当?

A:歯周病菌の一つであるPG菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)は、血液に入り込んで全身に移動できる最恐の菌。脳に侵入すると認知症、心臓に侵入すると虚血性心疾患、関節に侵入すればリウマチに。これだけが原因ではありませんが、発症率や重症度が上がることがわかっています。

 

Q:歯周病はどの状態から病名が付くの?

A:歯周病菌は大勢で大皿をつついたり回し飲みをすることで口の中に入り込んできます。ただ、菌が存在しているだけでは歯周病とは言いません。歯石や歯垢があるだけでの状態でも病名はつきませんが、それらが原因で歯ぐきから出血し出すと歯周病と言います。

 

Q:歯周病が悪化するとどうなるの?歯槽膿漏との違いは?

【健康な歯肉】
【歯肉炎】
【歯周炎】

A:歯周病には具体的に段階があります。最初は歯周病菌が歯茎の表面で悪さをし、炎症が始まります。つまり赤く腫れて出血しやすくなっている初期段階を「歯肉炎」と言います。さらに歯周病菌が侵入し、症状が悪化すると、菌が歯の根元に入りこみ、歯や歯ぐきをどんどん破壊していきます。これが「歯周炎」。「歯槽膿漏」は文字の通り膿が漏れているという意味で、重度の歯周炎の歯ぐきの状態を示します。以前は歯周病が悪化して膿が出てくる末期のことを歯槽膿漏と言っていましたが、現在は膿は最終段階ではなく、歯槽膿漏=重度の歯周炎という考えに変わってきています。

 

Q:歯周病は完治するの?

A:歯周病菌も一度口の中に入ると出て行ってはくれません。出血していないのは完治ではなく、ただ菌を抑えている状態にすぎません。

 

Q:自宅のケアはどうすればいい?

A:歯ブラシは2種類使い分けて。朝は虫歯用のブラシ先が真っすぐなもので、歯の表面を磨きましょう。歯周病菌は寝ている間に活動するので、夜は歯周病用のギザギザのブラシで歯と歯の間を磨いて。忙しい日中はマウスウォッシュや電動歯ブラシも◎。

Q:40代50代で特に注意すべきなのは?

A:意識して欲しいのは、歯周病が起こる歯と歯の間を磨くこと。歯ぐきの方までゴシゴシすると歯ぐきが痩せてしまうので注意して!

 

コレだけはやっておこう!歯の3カ条

 

1:なるべく月1で、歯医者さんでクリーニング

2:朝、昼、夜で予防ポイントを替えてセルフケア

3:歯ぐきはこすらず歯と歯の間&歯の表面を磨いて

 

愛知学院大学歯学部卒業後、アデレード大学歯学部に留学し、その研究で歯学博士を取得。海外でも医学論文を数々発表、TV・ラジオなどのメディアで話題の歯科医師として活躍中。ご自身が実体験した『レモン水うがいダイエット』(あさ出版)も話題。

教えてくれたのは……歯科医師・口腔外科評論家 宮本日出先生

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