不調や体調にとらわれないためには。紫吹淳さんの更年期の過ごし方
更年期時期のさまざまな不調は女性ホルモンの問題はもちろん、体と心のバランスが乱れることも大きな原因。特にメンタルが及ぼす影響は計り知れません。今回ご登場の紫吹淳さんは自分の気持ちをポジティブにキープすることで乗り切ると言います。
◯ 紫吹 淳さん(53歳・女優)
1968年11月19日、群馬県生まれ。 宝塚歌劇団月組トップスターとして活躍、退団後は女優としてドラマや舞台などで幅広い活動を行う。最近はバラエティ番組でもキュートなキャラクターが人気となり、引っ張りだこに。「紫吹淳Special Live 2022」(4月7日・横浜Billboard、4月19日・大阪Billboard、4月28日・東京CottonClub)を開催予定。
自分がアガるスイッチを
いくつも持つことで
不調や悩みにとらわれません
いくつも持つことで
不調や悩みにとらわれません
『おかげさまで、更年期症状というものはほぼなくて、ちょっと冷え性(*1)という程度です。家の中にいても膝下が冷えて痛くなるほどなので、レッグウォーマーが手放せないほど。
今年の冬は極寒だと聞いて、知り合いが勧めてくれた「毎日必ず生姜茶を飲む」ことを心がけたら冷えもかなり解消。平常体温も35度台から36度台に上がりました。そこで改めて、食べたもので体が作られる、食材というのは体を変える力が本当にあるんだということに気づきました』
※写真は四谷にある「やす秀」さんで。極上の素材を丁寧な手仕事で提供してくださる大人の隠れ家。店主・綿貫さんの誠実なお人柄がお寿司にも表れています。
【 *1・冷え性 】
女性モルモンの急激な減少によって引き起こされる、更年期症状のひとつが冷え。特に足先や手先といった末端冷え性や、お腹だけが冷えるという症状もあり、血流を良くする運動や体を温める食べ物を多く摂るなど、毎日コツコツ続けられる改善努力が望ましいとされています。
— 元宝塚歌劇団月組トップスターの紫吹淳さんは、退団後もその歌唱力、ダンスの表現力などを発揮し、数多くの舞台で活躍する女優です。 またピュアでお茶目なお人柄でバラエティ番組でも大人気。明るい笑顔とスレンダーなスタイルも多くの女性たちの憧れの的になっています。
そんな彼女が更年期世代と向き合ううえで大事にしていることは「情報のアンテナを常に張っておき、いいかもしれないと思ったものはすぐに試す」というフットワークの軽さ。いいなと思ったらすぐ試して、好きか嫌いかで判断して取捨選択しているそう。
『実は、食事に対する意識はこの2年ほどのコロナ禍で激変したんです。それまでは外食も多く、美味しかったら OK(笑)。栄養素には気がまわっていませんでした。でも外で食べる機会が減り、自炊をするようになって、素材がそれぞれ持つ力が顕著に食物で体調が変わることを痛感しました。どうせ作るならビタミンがあるもの、抗酸化作用がある素材などを調べて調理する」ように。
またお野菜、お肉、お魚をバランス良く食べること、お野菜はなるべく栄養価の高い皮ごといただくことなども心がけています。でも、食べるのは基本的にはお腹が空いたら食べるという方式で、昼夜どちらかのタイミングで1日1食いただくスタイルです。
それとお水は1日3lは飲むようにしています。500mℓ入る大きなマグカップがあるのですが、まず午前中にそのカップで2杯飲んで午後に2l飲んでいます。普段も抗酸化作用があるということで抹茶入りのペットボトルを持ち歩いています。抹茶をいただくようになって風邪もひかなくなりました。
コロナ禍になって変化したのは食生活だけではありません。コロナ太りするのは避けたかったので、動画を見ながらベリーダンスもやり始めました。以前はトレーニングにも行っていたんですが、感染拡大の影響で通えなくなり、ベリーダンスをやり始めたらトレーニングをしていたころより体重が落ちて引き締まりました。
YouTubeにある動画を見ながら分やっただけで汗びっしょり。こんなに汗をかくのか、と思うくらい効率がいいんです。ベリーダンスは器具も使わず、畳1畳あったらできますからすごくオススメ。また、免疫力を上げるために1日9時間という睡眠時間とその質は大事にしています。
こういう状況になって改めて新しく習慣にできたことがひいては更年期症状を軽くすることにもつながっている気がします。健康でいるために、免疫力を上げるためにどうしたらいいのか。そう考えることが更年期対策にも一役買っている気がします。常日頃から五感をいろんなものに傾けておいて、情報を入れることも大事だと感じます』
— 「最近、ちょっと健康オタクっぽくなってきたみたい」と笑う紫吹さんですが、ただストイックに生活するだけではありません。時には美味しいものを食べに出かけたり、家にいる時間も彼女らしい工夫で楽しくすることも忘れません。
『数カ月前から時々お世話になっているのが、四ッ谷にある後楽寿司「やす秀」(やすみつ)さん。住宅街の中にある目立つ看板もない一軒家の1階で営業されているのですが、ごく普通の玄関ドアを開けても薄暗く、一面壁になっていて、どこに入口があるのかわからない、まるでからくり忍者屋敷のよう。何とか扉を開けて中に入ると清潔で明るく広々とした空間が。「それもおもてなしのひとつ、サプライズ」と語る店主の綿貫さんが粋なんです。
なかなか手に入らない食材を丁寧に下ごしらえしてお寿司にしてくださるうえに、店主のお人柄やトークも温かくて、気分良く楽しくお食事ができる。そんな空間を知っているだけで豊かな気持ちになれます。
また香りフェチなので、家の中はいつも好きな香りで満たします。しばらく前まではアロマキャンドルを愛用して いたんですが、天井が煤で真っ黒になってしまったので、今はディプティックのアロマディフューザー、ルームスプレーを使っています。
そして何よりも、心身を不調から守るためにいちばん必要なのはポジティブな気持ちです。楽しいこと、笑うことを生活の中で取り入れることが40代以降、もっと も大切なのではないでしょうか。
考えてもしかたがないことに時間を費やすことは無駄だと私は思います。くよくよしててもしょうがないから楽しいことを考えよう、と気持ちを切り替える。友達と喋っていても私たちはマイナスのことは一切言わないようにしているんです。ちょっと言い出したら「ネガティブワードはNG」と戒めあってます。口から出る言葉は良いものだけ。私はそれを宝塚時代に悟りました。いつも笑顔で素敵だなぁと思う人はいつもポジティブだと気づいたんです。
そして他の人のマイナス、ネガティブな意見に同調しない。小さなコミュニティでは「へえ、そうなんだ」と言っただけで自分も同意見だと思われかねないことが多々あります。そんな環境で過ごしていたので今ももし周囲で噂話などが持ち上がった時は口を開かないように心がけています。もし何か聞かれたら「わかんない」と答える。周囲にバカだと思われても無知だと思われてもいいんです。これも自分のポジティブメンタルを維持するために必要なことだと考えています。
そして気持ちがプラスに働くスイッチをいくつか持っておくことが重要かなと感じます。それが香りや運動やお料理だったり、いろいろです。毎日お掃除しなくちゃ大変だなぁと思う時も、私はクラシック音楽をBGMにして掃除機をかけたりします。
何をどうしたら自分の気分が上がるか。それは自分にしかわからないし、自分を大切にしてあげられるのは自分しかいません。パートナーや家族にも 100%はわかってもらえないか ら、自分で自分の機嫌の取り方、トリセツを知っておくこと。これが更年期をうまく乗り切っていくコツなんじゃないかと思っています。
実はよくある更年期症状はないものの、42歳くらいの時に急に体に湿疹ができたことがあります。40代はやはりホルモンバランスの節目かもしれません。特に私の場合は宝塚時代、ある意味気持ちのうえで女性ホルモンを抑制していた生活でした。そのころにはもしかしたらテストステロンが優勢で、体の中でホルモンが混乱しちゃったのかもしれない。20代で女性ホルモンを使うべき時に全く使っていないから、今50代にも持ち越されて更年期が軽く済んでいるのかもしれないと思ったり。いや、もちろん個人的な感想ですよ(笑)』
※青山にあるアグノスさんには3週間~1カ月に一度くらいの頻度でネイルのメンテナンスをしていただいています。モチが良くて自分の好みをわかってもらえる点がお気に入り。
撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/北 一騎(permanent) スタイリスト/山本隆司 取材/柏崎恵理 ※情報は2022年4月号掲載時のものです。
こちらの記事もおすすめ!
・40歳で不調に…かとうれいこさんは更年期をどう乗り越えたか
・卒母したらどうなる?50歳以降の自分の楽しみ方を人気女医に教わりました
・漫画家・桜沢エリカさん、子育ては「細かいことは言わない、深く干渉しない」