【漢字】「斉唱=さいしょう」は間違い! 実は読めない漢字3選|CLASSY.

当たり前のように目にしているのに、実は意外と読み間違っていた漢字ってありますよね。実際、声に出して読まなければいけない時に、自信を持って読めなかったり、間違っていることに気づかずに何度も誤読していたなんて経験は誰にでもあるでしょう。
クイズ形式ですが、「この漢字が日常生活の中で出てきたらどう読むか」と考えてみてください。今回は、二文字の熟語から選んでみました。

 

1.「斉唱」

最初は、「式典で国歌を斉唱する

最初は、「式典で国歌を斉唱する」のように使う「斉唱」です。さて、何と読みますか?

「サイショウ」と「セイショウ」の二つの答えが出たことでしょう。常用漢字である「斉」は「そろえる・ひとしくする」という意味を持つ漢字で、本来の音読みは「セイ」です。
したがって、「大勢が声をそろえて同じ旋律を歌う」のは、「斉唱(セイショウ)」が正解です。
これを「サイ」と読んでしまうのは、恐らくはお名前の「サイトウ」さんから来るのではないのでしょうか?「サイトウ」さんの中には、「斎藤(または齋藤)」ではなく「斉藤」と表記する方もいるため、「斉」を「サイ」と読んでしまうのではないでしょうか。実は、「斉」と「斎」は、「新・旧字体」というわけではなく、本来は意味の違う別々の漢字なのです。
なお、最近のスポーツイベントなどで、お一人の方が国家を歌われることがありますが、あれは「独唱」ですので、「斉唱」としてはいけません。また、大勢の人が異なった旋律を同時に歌うのは、「斉唱」ではなく「合唱」です。

2.「喧噪」

次は、「都会の喧噪から離れる」

次は、「都会の喧噪から離れる」のように使う「喧噪」です。さて、何と読みますか?

「センソウ」と読んだ方はいませんか?「喧」の字の右側には「宣」がありますから、ここから「セン」と読んでしまいがちですが、常用漢字ではない「喧」の音読みは「ケン」で、「さわがしい・やかましい」という意味を持ちます。また、「噪」も常用漢字外ですが、こちらは、同じ構成部分を持つ常用漢字の「操」「燥」がありますから、「ソウ」と読めるはずです。したがって、「喧噪」の正解は「ケンソウ」となります。
この「喧」を使った熟語には、「喧嘩(ケンカ)」や「喧喧囂囂(ケンケンゴウゴウ)」などがありますが、やっかいなのは「喧伝(ケンデン)」があることです。これこそ、「宣伝(センデン)」と誤読してしまいそうですね。ともに「世間に広める」という意味は共通ですが、「宣伝」は「商品を宣伝する」などと使うことが多いので、「広める目的や効果が明確」というニュアンスがある気がしますが、いかがでしょうか。

3.「辟易」

最後は、「彼の毎度の自慢話には

最後は、「彼の毎度の自慢話には辟易してしまう」のように使う「辟易」です。さて、何と読みますか?

誤読候補はたくさんありそうですが、正解は「ヘキエキ」でした。「辟易」とは「どうにもならなくて閉口すること・嫌気がさすこと」という意味で使います。「辟」は常用漢字ではありませんが、この構成部分を持つ常用漢字の「癖」を思い出してください。訓読みは「くせ」ですが、熟語「性癖(セイヘキ)」「潔癖(ケッペキ)」のように「ヘキ」と音読みしますね。また、常用漢字ではありませんが、「僻地(ヘキチ)」などと使う「僻」も同じ音読みです。
「易」は常用漢字ですが、「エキ」「イ」と二つの音読みを持ちます。「貿易」「交易」などは「エキ」、「難易」「容易」は「イ」です。つまり、「とりかえる」の意味なら「エキ」、「やさしい」の意味なら「イ」と読みます。「辟易」とは、「避けて場所をかえる」からその意味になりました。

では、今回はこのへんで。

《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
・「もっと1秒で読む漢字」(青春出版社)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)