【性教育ワーク連載vol.5】射精の話、どう伝えたらいい?

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親子の15分性教育ワーク。今回のお題は、射精についてです。

「射精の話とかありえない」とページを閉じようとしている方、ちょっと待って!

たしかに射精には変なイメージがつきまとっていますが、落ち着いて考えてみると「射精」は、「心臓で全身に血液を送る」、「肺を使って呼吸をする」といった、色々なからだの仕組みの中のひとつ。なので、子どもとワークをやるかどうかは置いておき、とりあえず今回の記事を読んで頂けたら嬉しいです。

射精はからだの仕組みのひとつなのに、「エロいもの」「汚いもの」としてタブー視されることが多く、射精に対して罪悪感を抱いている人もいます。そして「射精ができる」=「男らしい」みたく変に持ち上げられて、男らしさを押し付ける際に利用されることも。

また、都市伝説もたくさん存在します。たとえば「精液がたまりすぎると、からだに悪い影響がある」。これは真っ赤なウソなんですが、性教育の調査(第8回 青少年の性行動全国調査報告)の中で、男子高校生にこれを〇×クイズ形式で出題したところ、なんと正解(つまり、ウソだと知っていた)できたのは38.1%だけでした。ちなみに女子高校生の正解率は10.5%です。

「射精の話について、夫から子どもに話して欲しい」「夫が子どもに話してくれない」という声を聞くことがありますが、さきほどの調査結果にあったように男性であっても射精についてよく分かっていない人は多く、「話してくれない」というよりも、「話せない」とか「話し方がわからない」というのが実情だと思います。

でも、射精のことは、赤ちゃんが出来る仕組みや避妊の話と直結しているので、避けては通れません。

そこで、今回のワークは、からだの仕組みの一つとして、男の子も女の子も、性別に関係なく、ぜひ取り組んでみて欲しいです。

今回の15分ワークのお題

①「卵子と精子って知ってる?」と聞く
②イラストを見せて、「精子はどこにあるでしょう?」と聞く
③射精の仕組みについて話す
④どんな時に射精が起こるのか話す
⑤夢精した際の処理の仕方を伝える

①「卵子と精子って知ってる?」と聞く。

知らないようなら「女の人のからだの中には卵子という赤ちゃんのもとがあって、男の人のからだの中には精子と言う赤ちゃんのもとがあるよ」と説明すると、理解しやすいです。

4年生の保健の授業、5年生の理科の授業でも、精子と卵子という言葉は出てくるので、学校で習ったかも聞いてみましょう。

②イラストを見せて、「精子はどこにあるでしょう?」と聞く。

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「精子は精巣の中にたくさんつまっているよ。10歳ぐらいになると、頭の中から『ホルモン』というものが出て、精巣の中で精子が作られるよ」「ひとりひとり数が違うけど20才ぐらいの人で、10億個もあるんだって」と話してみてください。精子の数に驚く子は多く、ここから先のワークに興味をもってもらえます。

③射精の仕組みについて話す

「精巣で作られた精子は、精管というストローみたいな管を通って、おちんちんの先から出ていくよ。これを射精というよ」「1回の射精で1億個ぐらいの精子が出るよ」と説明してみてください。
「射精」という大人にとって恥ずかしさの出やすい言葉がついに出てきましたが、からだの仕組みに力点を置いて、イラストを見ながら説明すると、案外話しやすいです。

④ どんな時に射精が起こるのか話す

「射精は、ちんちん(ペニス)をさわったりした時にでるよ。あと夢精と言って、寝ている間に自然に出てくることもあるよ」と話してみましょう。ちなみに「ちんちん」「おちんちん」「ペニス」などどの言葉でも大丈夫です。

「ちんちんをさわって射精するって、どういうこと?」と興味をもったら、セルフプレジャー(自慰行為)について説明する良い機会です。「精子が精巣の中に出来てくると、それを体の外に出したくて、ちんちんをさわりたくなる人もいるんだって」「さわっても良いんだけど、人に見られないところで、優しくさわるようにしてね」と伝えられるといいですね。

⑤夢精した際の処理の仕方を伝える

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「夢精すると、ベタベタしている液がちんちんの先から出てくるよ。もしそうなったらパンツを新しく変えて、○○してね(ここはベタベタしたところをティッシュで拭いてから洗濯カゴにいれる、洗面台で手洗いするなど、各家庭の洗濯のやり方に沿って話してください)」

何も知らずに夢精して、「自分は病気なのではないか」と思い悩んでいる子もいます。また学校の宿泊研修(林間学校や修学旅行)中に夢精したらどうしようと不安を抱えている子の話も聞いたことがあります。学校で夢精をした後の処理の仕方を教わることはほとんどないので、ぜひ話してみてください!

次回は、悩みを持つ子も多い、「思春期のからだの変化」についてです。

〈次回へつづく〉

イラスト/ばばめぐみ ※イラストは12月28日発売の書籍「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」(ほるぷ出版)から抜粋

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アクロストン

妻・夫であり、12歳、10歳の子を育てる親でもある、医師2人による性教育コンテンツ制作ユニット。
公立小の保健の授業や楽しく性について学べるワークショップを日本各地で開催。
家庭ではじめられる性教育のヒントや性に関する社会問題についてなどを発信している。

著書:「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」 (ほるぷ出版)、「3~9歳ではじめるアクロストン式 『赤ちゃんってどうやってできるの?』」、「いま、子どもに伝えたい性のQ&A 、思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!」(ともに主婦の友社)
監修:シールでぺたぺた「おうちせいきょういくえほん」(主婦の友社)

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