ベストセラー小説が映画化! 井上祐貴さんが語る『明け方の若者たち』の注目ポイント

12月31日(金)に全国ロードショーを控える映画『明け方の若者たち』。ベストセラー小説を映像化したこの作品の魅力を、主人公<僕>の友人役を演じた井上祐貴さんがプレゼン! 

PROFILE

井上祐貴(いのうえ ゆうき)●1996年生まれ、25歳。2017年に開催された「第42回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞し芸能界入り。2019年にドラマ『ウルトラマンタイガ』でテレビドラマ初主演を果たし注目を集める。2021年に2本の主演映画が公開され、年末12月31日(金)全国ロードショーの映画『明け方の若者たち』では主人公の<僕>を見守る親友、古賀尚人役を演じる。

理想と現実の狭間でもがき続ける姿に、どこか共感できるはず

今回の映画『明け方の若者たち』では、主人公の親友役を演じられていますね。

僕が演じる尚人は、(北村)匠海くんが演じる主人公の<僕>の会社の同期。新入社員として入社するシーンから登場するんですけど…尚人は、会社に入る前までは「こういう風に働きたい」「こんな仕事がしたい」って具体的な理想を持っていたんですよね。でもいざ働き始めると、理想とは全く違う現実が待っていて。そんな中で苦しみながらも毎日を楽しんで、なんとか前に進もうとする姿を魅力だと感じました。

主人公の<僕>は恋に突っ走る性格な一方、尚人は少し現実的な役柄でしょうか。

尚人の“今を頑張って生きる”ところは、映画を観てくださる方も共感しやすいんじゃないかと思いますね。理想と現実のギャップに悩みながらも、それでも自分たちの理想に近づこうともがいている姿って、絶対どこかしら共感できるポイントがあると思うんです。今の現実に満足していない人もいらっしゃると思いますし、恋愛にすごい盲目な<僕>に共感できる人もいると思います。分かっているけど好きな気持ちを止められない…とか。そういう苦しさも、懐かしさも一度に味わえる作品になっていると思うので。この作品を見て今悩んでいる人たちが、ちょっと環境を変えてみようかなって思うようなきっかけになったらいいですね。

苦手な野球のシーン。バッティングセンターに通ったけれど…

「特にこの尚人を見てほしい!」という井上さんイチ押しのシーンはありますか?

バッティングセンターでのシーンですかね。ストーリーとしてもそこから伏線が回収されたり、物語が大きく動き出す大事なシーンなんですけど、個人的にもそのシーンには思い入れがありまして。僕、実は野球をあまり得意としていないんです。スポーツ好きですし、スポーツなら全般できるつもりではいるんですけど、昔から野球だけが苦手で。台本を初めて読んだときに「これはヤバい! ちゃんと打てなかったら尚人として芝居が成立しない…本番中打てなかったら、僕のせいで撮影を止めることになる…」ってすごいプレッシャーに襲われたんです(笑)。それでクランクインの1ヶ月半前からバッティングセンターに通いました。バットを握り慣れていないから、手もすぐにマメだらけになっちゃって。

秘密の特訓! その成果はいかがでしたか?

バッティングセンターに行き始めた頃は20球中3球くらいしか当たらなかったんです。でも、みっちり練習して20球中3球当たらないくらいまでに仕上げました。自分の中で「よし!」って自信もつけて、現場に行ったんですよね。そしたらそのシーン、結果的にCGだったんです…(笑)。でも本当に大事なシーンだったので、結果として球を打つことに気を取られず、芝居に集中できて良かったです。バッティングセンターの成果で、当たるフォームも身についてましたし。自分の経験としてポジティブに捉えているんですけど、是非その背景も踏まえて見てほしいですね。

自分が納得するまで努力を続けることが、自信を持つための近道

先ほど“理想と現実のギャップ”というお話がありましたが、井上さん自身は理想と現実にギャップを感じた時、どのように向き合いますか?

とりあえず何かしら行動に移します。解決するためのヒントを探すとか。何もしない時間が自分としては、一番怖いんです。なので、その課題をクリアするためにどうしたらいいかを考えたり、ヒントを探したり。あまり周りに相談しないタイプですし、悩みって自己解決がほとんどなんですけど、それでも答えが見つからない時は先輩やマネージャーさんを頼ったり。ちょっとでも理想に近づけるように、自分で努力を続けますね。

野球のお話にも通ずると思うんですけど、ご自身が納得するまで努力を続けるタイプなんですね。

そうですね。努力する時間みたいなものが、好きなのかもしれないです。自分はこれだけやったから成し遂げられたんだっていう感覚とか、努力を続けたことによる自信とか、あると思います。「ホリプロタレントスカウトキャラバン」を受けた時、ステージでダンスを披露したんです。実はダンスはやったことなくてめっちゃ下手だったんですけど、真正面からぶつかって練習して臨みました。今まで自分が苦手とすることに時間を費やしてこなかった人間だったんですが、とにかく練習しまくりましたね。経験者に比べたらクオリティは低かったかもしれないですけど、でも「あれだけ練習したんだ!」っていう自分の中での確信があったから、ステージには自信を持って出れました。

その時、苦手なことでも努力すれば、自信を持てるようになるっていう感覚を覚えて。その達成感みたいなものを忘れられなくて、努力すればなんでもできる!っていう考えを持つようになりました。今後ダンスとか野球みたいに苦手なものがやってきたとしても、時間さえいただければ僕はとことん向き合いますよ!っていう姿勢でいます。

青春を感じるシーンが多く散りばめられた作品だと思いますが、井上さん自身が「これは青春だったな」と感じた瞬間はいつですか?

高校の卒業旅行です。男5人で関西方面に行ったんですけど、このメンバーで揃って旅行に行くのも最後かな…って思うと楽しみ方が全然違って。僕は広島出身ですし、関西って行こうと思えばいつでも行ける距離なんですよ。家族と行ったこともありますし、もちろん別のタイミングで友達と行ったこともあります。ただ誰といつ、なぜ行くかのシチュエーションが大事だなと思って。卒業旅行中、すごく楽しいのに、ちょっと悲しいなって感じる瞬間があったんです。実際その後その時のメンバーで旅行に行けたこともないし、集まれたこともないんです。そう思うと、あの一回の旅行って最高に輝いていたんじゃないかなと思います。ユニバなんて、待ち時間すら楽しくて(笑)。何してもめちゃくちゃ楽しくて、青春だったなって。

(C)カツセマサヒコ・幻冬舎/「明け方の若者たち」製作委員会

映画『明け方の若者たち』12月31日(金)全国ロードショー
Twitter フォロワー14 万人以上を誇る人気ライター・カツセマサヒコの小説家デビュー作『明け方の若者たち』を映画化。東京・明大前で開かれた就活生の飲み会で<僕>(北村匠海)は、<彼女>(黒島結菜)に一目ぼれをする。退屈な飲み会を抜け出し、急速に惹かれ合う2人。デートを重ね<僕>の世界が<彼女>で満たされていく一方、いつかこの時間に終わりがくることを<僕>は分かっていて…。恋愛や憧れの社会人生活など、理想と現実の狭間でもがき続ける若者たちを描く。

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撮影/花村克彦  取材/所 優里  編集/宮島彰子(JJnet編集室)