2021年12月02日 7:00
/ 最終更新日 : 2021年12月02日 7:00
STORY
「大病を患って気づいた大切なこと。自分で自分の健康を守る『予防医療』の大切さを伝えることが私の仕事」 矢口マキさん【趣味キャリ生き方図鑑vol.19】
人生100年時代。一つの仕事・肩書だけで働くというモデルそのものが変わりつつあります。結婚や出産等がきっかけで、それまでとは全く違った仕事や働き方をスタートさせるケースも珍しくありません。STORY読者の間では“好き”を仕事にして、耳慣れない肩書で活動している人が増えています。そんな人生のセカンドキャリアをスタートさせた方を取材。10万人に一人という症例の脊髄腫瘍を患い、「健康」の大切さを痛感し辿り着いた「予防医療」の重要性。第19回は自身の体験から、酵素ジュースレッスンを開講し、「予防医療」の大切さを伝えている矢口マキさんのお話しです。
矢口さんのお仕事は…
酵素ジュース・発酵食講師
大病を患ったことをきっかけに、酵素ジュースと出会い、学びを開始。その後、ご近所ママに向け、「酵素ジュースレッスン」をスタートさせました。レッスンと並行しながら自身の学びも進めていく中、健康への意識がより一層高まり、マクロビ・発酵食を学び始めた矢口さん。自身が学んできたことを、もっと多くの人に伝えたいという思いから、レッスン範囲を拡大。コロナ禍の影響によりオンラインレッスンに切り替えたところ、日本全国のみならず、ハワイからもレッスンの申込みが!今年3月には1年間の継続コースを開設。矢口さんの思いを乗せたレッスンが少しづつ広がりを見せています。
好きを仕事にしようと思ったきっかけis…
今でも忘れもしない、長女の中学受験を控えた夏に、私の病気が見つかりました。受験のこともあったので、主治医には「受験が終わった来年の2月頃に手術をしたい」と伝えたところ、「MRIの画像を確認してみると、神経がぺらぺらな状態です。そこを腫瘍が突き破ってしまったら、半身不随。七つある首の骨の上から二番目、呼吸器系の神経があるところが腫瘍によって破裂したら、もう終わりですよ」。その言葉に驚き、愕然としました。判りましたと先生にお伝えし、入院したのは辛くも私の誕生日でした。母親として、娘の受験を、食事面や精神面でのサポートができないことや、まだ二年生の下の子のことなど、自分がするべき役割が家族に出来ないことが辛く悲しかったです。また、私がICUに入ったことで、心配し、悲しむ家族に対し申し訳なく……本当に辛かったです。辛かったのは精神的な部分だけでなく、術後の痛みも辛く……。
まずは、便秘。入院中は動くことがままならず、ストレスや食物繊維やビタミン不足による便秘に悩まされました。また、今まであまりなかった白髪が出たり、身体も重く、ストレスはたまる一方。下剤も毎日2,3錠服用していました。退院後も便秘は続き、下剤が手放せず。
そこで退院後、術後に出会った酵素ジュースを飲み、当時通っていたローフード教室で習った料理だけを口にする、という方法を二週間続けたんです。すると二週間後に良い結果が! もちろんこの結果に個人差はあるかと思いますが、嬉しかったし、気持がパーッと明るくなりました。自身の体験を持って、改めて食の大切さを実感した瞬間でした。
苦しかったあの時の自分と家族の苦しみ。このことを二度と繰り返したくないし、他の人にも味わってほしくないと考えた時、主治医がおっしゃっていた「予防治療」の重要性を感じたんです。医療機関で検査や治療を受けることに慣れた私たちにとって、「予防医療」という言葉はあまりなじみがありません。しかし、医療の目的には治療することだけではなく、病気の重症化や再発など、病状の悪化の予防も含まれます。
また、健康な人が将来、病気にならないようにバランスの良い食事の摂取を心がけたりウォーキングを始めたりすることなど、健康な人が維持・増進する行動も、ある意味医療ですよね。健康維持・増進、病気の予防という視点から、ひとりひとりが今、何をすべきか?という行動指針を示してくれるのが「予防医療」だと思います。その観点から考えていくと、口の中にいれるものは何がいいのか?など日常の中で考えるようになるはずです。
好きを仕事にするまでのスケジュール
2002年
夫の留学、出産のため丸9年間勤務した政府系金融機関を退職
第一子出産
2014年
頸椎に腫瘍が見つかり、脳外科にて8時間におよぶ大手術を受ける
2015年
ローフード・酵素ジュースを学ぶ
2017年
近所ママに向け「酵素ジュースレッスン」をスタートさせる
2019年
健康への意識がより一層高まり、マクロビ・発酵食を学ぶ
2020年
「自分で自分の健康を守る」という脳外科、内科ドクターの指導により、「予防医療」の大切さを学ぶ。コロナの影響により対面レッスンからオンラインレッスンへと切り替えたところ、全国から生徒さんが集まるように
2021年
1年間の継続コースを開講。酵素ジュースを作る他、ローフード・マクロビ・発酵食・脳の改善法を取り入れ、身体を中庸に持っていくためのサポートなど、予防医療の普及に努める毎日
レッスンに関することは全て自分で行っています。PC作業があまり得意ではないほうでしたが資料作成に必要なスキルは自分自身で学びながら、培ってきました。SNSの更新などに時間を要することもありますが、生徒さん達との繋がりが持てるSNSは嬉しい反応が返ってきたり、それを見て興味を持ちましたという話を聞くと、一気に疲れが吹き飛びます。
週に一度の、低学年担当の塾バイトは私の癒しの時間です。大学1年と中学3年の娘がおりますが、低学年のお子さんはまだ幼くて可愛い!まるで孫を愛でる祖母状態。楽しみながら働いています。
矢口さんに3つの質問!
酵素ジュースに使用する食材のこだわりとは?
現在、一年間の継続コースを中心に行っているオンライン教室では、毎月酵素ジュース作りに使用する食材をお届けするコースがあります。「無農薬・減農薬」を基本として、選定は私自身が口コミや知り合いからの情報を参考に選ばせていただいています。なかなか市販では手に入りにくいものも多く、今年の八月には中沢さんの「奇跡の桃」もお送りしました。調達には苦労していますが、口から入るものなので、こだわりを持って選定しています。
リラックスタイムにすることは?
お酒が飲めない私にとって紅茶はリラックスタイムに欠かせません。どの銘柄にするかはその日の気分によって選びます。その際にもう一つ大切なことは、どのカップでいただくか。最近のお気に入りは牧歌的な絵が美しいブルーで描かれたイタリア食器。カラフルで太陽燦々!というイタリアのイメージとは少しだけ違いますが、とても気に入っています。夫の留学に伴い、イギリス滞在中に出会った紅茶と食器。お気に入りのカップで美味しい紅茶をいただく……至福の時です。
最近興味のあることは?
「予防医療」を中心に、私の興味は広がっています。きっかけは自身の病気。中でも、治療及び大手術の執刀を行ってくださった脳外科の先生からは多くのことを学ばせていただきました。現在も先生が主催する脳についての勉強会に参加し、脳の使い方等について学びを進めています。使い方を学び、知ることで「ストレス耐性」を向上させていく……。ドクター主催の勉強会はとても難しいのですが、身体のことを知ることは、健康にもつながると感じています。健康や身体についての興味、関心はまだまだ尽きることはなさそうです。
ネットやテレビ、様々な情報が溢れている今、“いい”と言われるものには飛びつきがちですよね。でも、健康維持のために何が自分に合うかは、その人の体質・体型によって大きく違うと思います。私自身、大病を患い健康という事にフォーカスし学んだ結果、心も身体も中庸に保つことがとても大切だという事に気づきました。私自身、ローフード、マクロビや酵素ジュースなど、色々なことを学び、試しながら自分自身や家族の体を中庸に持っていくことを心がけています。中庸とは「全てバランスよく」。今の世の中で時に心も体もそうなることは難しいこともありますが、そのお手伝いがしたい。今までもこれからも、その気持ちを持ちながら活動を続けていきたいと思います。
撮影/BOCO 取材/上原亜希子