「娘に初潮がきたらお赤飯より“かかりつけ婦人科医”を」【子宮の新常識③】

「生理は痛くて当たり前」と思ってやり過ごしていませんか。その我慢、もしかしたらあなたや娘さんの人生には必要ないものかもしれません。『VERY』でもおなじみの産婦人科医・宋美玄先生が、科学的・医学的な知見から知っておきたい性の新常識を伝授。生涯を通して身体を楽に、ヘルシーに保つライフスキルを身につけて、子どもたちにもその知識を引き継いでいきましょう!今回は、“娘に初潮がきたら”してあげたいことについてです。

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\知っておきたいライフスキル③/
娘に初潮がきたら
「かかりつけの婦人科医」をプレゼントする

私たちが中高生の頃はまだピルも浸透していなかったので、「生理はコントロールできるもの」という意識はほとんどなかったはず。でも今は[知っておきたいライフスキル①]でもお伝えした通り、生理の苦しみや煩わしさから逃れられる方法がたくさんある。ですので娘さんに初潮がきたらまず、かかりつけの婦人科医をプレゼントしてあげてほしいなと思います。

5〜8回と妊娠の回数が多かった昔の人は生理が止まる期間も長かったですが、晩産化・少子化の進んだ現代では、最大9倍も月経回数が増えています。毎月生理や排卵があるということは、それだけ子宮に負担がかかっているということでもあります。

生涯の中で「今、子どもが欲しい!」と思う期間はそう長くない。ならば、妊娠を望まない時期はピルなどの薬で子宮を休ませてあげることはとても大切です。実際、子宮や卵管をお休みさせてあげると、ピルを止めた後は妊娠率が高くなります。

その他にもピルのメリットはたくさん。生理痛やPMSを緩和したり、子宮内膜症や卵巣がんの予防ができ、避妊効果もある。部活の試合や受験といった大切な日に生理がかぶらないよう、月経コントロールもできます。

血栓症といったピルの副作用が気になる人は、「黄体ホルモン治療」という方法もあるので、ピルに抵抗がある人もぜひ相談していただき、そのメリットを享受してほしいですね。

私は9歳の娘に、「初潮がきたらホルモン療法で月経を軽くしようね」と話しています。そうして思春期、性成熟期、妊活、産後、更年期、老年期と、生涯切れ目なくホルモンのサポートを受けることで、生理の苦痛や望まない妊娠を「自分でコントロールする」スキルを持つことができます。自分の健康、妊娠・出産を自らが決めて管理する「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の重要性を子どもにも伝えていきたいですね。

ただ、子どもが親に対して初潮を報告する義務はありません。娘の生理は、娘のプライバシー。親は子どもがいざという時に困ることのないよう、事前に生理用品の使い方や置き場所を教えておいてあげればいいでしょう。

 

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【産婦人科Doctor-S参上!】

宋 美玄(そん み ひょん)先生

産婦人科医・医学博士。1976年兵庫県生まれ。2010年に発売された『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)がシリーズ累計100万部を超えるベストセラーとなり、TVや雑誌などでも活躍する。2017年には「丸の内の森レディースクリニック」を開院。患者と向き合う日々を大切にしている。9歳の女の子、5歳の男の子の子育て真っ最中。

『産婦人科医 宋美玄先生が娘に伝えたい 性の話』
(小学館/税込1,430円)

生理、妊娠、ピルといった学校では教えてくれない〝正しい性知識〟を漫画で教えてくれる一冊。男の子に知ってほしい知識も満載です

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取材・文/小泉なつみ マンガ/辻井タカヒロ 編集/フォレスト・ガンプ Jr.
*VERY2021年9月号「娘に伝えたい「子宮の常識」アップデート」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。